94話 我慢
テントはあらかた設営し終わったようで、休憩の騎士達が何人もいた
中には騎士同士で剣術の練習をしている者もいる
「元気ねぇ」
ヴィッキーが呆れ気味に呟いた
アンディはクスリと笑うと
「まだ日が高いからね
騎士達は日頃から鍛えているしまだ体力も十分残っているんだよ」
剣術の練習をしている中には女性騎士もいる
「すごいわね」
ヴィッキーは感心してしまった
しばらくブラブラ歩いていると
「アンドレアス様!」
と背後から声を掛けられた
アンディは声の主が誰なのかわかったが、振り返らずにスタスタと歩を早めた
一緒に歩いているヴィッキーはそんなアンディを見て笑ってしまった
「アンドレアス様!」
ヘンリーがすぐ側まで来てしまったので、もはや聞こえないフリは出来ない
アンディは諦めて歩みを止めると振り返った
「ヘンリー卿、何か?」
ヘンリーはアンディ達の側まで来ると歩きながら更に距離を詰めて来た
「一緒に散歩でもしませんか?」
「何故、僕が?」
アンディは明らかに怪訝な顔つきになった
「恋人同士という者はデートをするものです」
「誰と誰が恋人なんですか」
「俺とアンドレアス様です」
「何でそうなるんですか!?」
アンディは逃げ出したい気分だ
「ヘンリー先輩、アンディのことは諦めて下さい」
ヴィッキーが救いの一言を放った
ヘンリーはヴィッキーを見ると、やれやれといった表情になった
「ヴィッキー、男というのはいずれ浮気をするものだ」
「えっ!?」
「僕は浮気なんてしません」
「アンドレアス様の浮気相手が女性だと正妻と妾の確執なんかもある」
「そ…そうね」
「だから僕は浮気なんてしませんって!」
「妾に子供が生まれたら、また大変だ」
「それは大変だわ」
「いや、だから僕は浮気なんてしないって!」
「だが浮気相手が男だとそんな問題は起こらない」
「本当だわ!」
「ちょっと…」
「俺がアンドレアス様と付き合う事は、ヴィッキーのためにもなるんだよ」
「そうなのね」
「全然ためにならないよ、って言うか僕は浮気なんてしないよ!」
ヘンリーとヴィッキーはアンディを見た
「浮気する男は必ずこう言う」
おいっ!
アンディはヘンリーの一言に心の中でツッコんだ
「もう、ヴィッキーに変な事を吹き込まないで下さい」
アンディはそう言うとヴィッキーの腕を引いて近くにあったテントへと入って行った
テントに入り
「ふう」
とため息をつくと、ヴィッキーがまじまじと聞いてきた
「アンディ、浮気するの?」
えっ!?
ヘンリー卿の言った事を本当に真に受けた!?
アンディは両手でヴィッキーの両肩をガシッと掴むと
「…ヴィッキー
僕は浮気なんてしないよ」
と真面目な顔で言った
「でも…」
ヴィッキーは不安そうだ
アンディはヴィッキーをじっと見つめると
「ヴィッキーは僕がどれだけヴィッキーの事を好きなのかわかってない」
と言って微笑んだ
「本当に?」
「本当だよ
僕はすっごく我慢してるんだよ?」
「そうなの?」
ヴィッキーは小首をかしげた
もう!なんて可愛いんだ!
アンディは片方の手を肩から離すと、そっと頬に手を添えた
そのままキスをする
突くようなキスから、やがて深いキスへと変わる
「…ん」
ヴィッキーの可愛らしい声が耳に入った
あ、ヤバイ
止まらない
たった今、『我慢している』と言ったのにその我慢が出来なくなりそうだ
アンディはキスをやめると少しだけ顔を離した
「結婚するまで我慢してるんだよ?」
アンディが情けない顔をしているので、ヴィッキーは可笑しくなった
両手でアンディの頬に手を添えると、ふふっと笑って再びキスをした
キスをしながらアンディはヴィッキーを抱き上げると、奥にあるベットへと行きヴィッキーを座らせた
ずっとキスはやめない
そのままヴィッキーを押し倒した
アンディは仰向けのヴィッキーに覆いかぶさった体勢のままキスをしていたが、少し顔を離した
「…我慢出来ないよ」
「アンディ」
アンディは再びキスをする
深く激しいキスだ
右手でそっとヴィッキーの胸に触れると、ヴィッキーがビクリと反応した
「俺、このテントにしようかな」
突然、デイブの声と共にテントの入口が開いた
アンディとヴィッキーは驚き、入口を見とデイブと目が合ってしまった
デイブから見ればベットで仰向けになっているヴィッキーの上にアンディが覆いかぶさっている
「………悪い」
デイブはそう言うとテントの入口をシャッと閉めて外へ出た
外ではソフィアの声がする
「どうしたの、デイブ?」
アンディとヴィッキーも固まっていたが、ようやく我に返った
アンディは慌ててヴィッキーから離れ、ヴィッキーも起き上がった
「デ、デイブ!大丈夫だよっ!」
アンディは真っ赤な顔で叫んた
ヴィッキーもベットに座ったまま真っ赤になって下を向いている
だが外からは
「ち、違うテントにするわ
ソフィ、あっちのにしよう」
とデイブの声がして、遠のく足音だけが聞こえた
♪♫♬ ♬♫♪
夕食時は気まずかった
アンディもヴィッキーもデイブも黙って食事を取っている
ソフィアとダニエルとエマは「?」となっていた
「食事が終わりましたらお風呂へどうぞ
お風呂は女性から先に入る事になっています」
エマが食事の手を止めて話した
「そうなの?じゃあ食事が終ったら入らせてもらうわ」
ソフィアは喜んでいる
「どんなお風呂になったか楽しみね?」
ソフィアがヴィッキーにそう言うと
「そうね」
とヴィッキーも微笑んだ
「でも私達よりトンプソン辺境伯の方がお先では?」
とヴィッキーが聞くと、トンプソン辺境伯はワインを飲みながら
「ここでは女性からが決まりです
普段もエマや女性騎士から入っているから、ご心配なく」
と微笑んだ
「そうなんですね
それでは遠慮なく入らせて頂きます」
ヴィッキーはそう言うと、ソフィアとふふっと笑った
デイブはアンディに
「あの後、上手く行ったのか?」
と小さな声で聞いてきた
アンディは顔を赤くして
「何もしてないよ」
と、ぶすっとした顔で答えた
「何だよ、せっかく離れてやったのに」
「あのまま続けれる訳ないだろ」
あの時点で誰がどのテントを使うか決めていない
デイブはソフィアを連れて離れて行ったが、ダニエルやエマが入って来ないとも限らない
いや、そもそもデイブが入って来た事で驚いて続きを出来る訳がない
アンディはガックリと項垂れてしまった
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