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83話 辺境伯

夕方になり、ようやくトンプソン辺境伯の城が見えて来た


遠くに見える城をもっとよく見ようと、ヴィッキーは窓を開けて顔を出した


「あれがトンプソン辺境伯のお城ね!

立派だわ!」


ヴィッキーが言うだけあり、城は城壁も高く長く続いている

城壁の中にある城は遠目でも3つはある


中央の城が一番立派で、高さもあり先の方が尖っている塔のような物が3棟見える


両脇に見える城は四角い形をしていて、攻め込まれた時の攻防戦をする為のような造りだ


「お姫様、慌てずとももうじき着きますよ」


窓から顔を出して城を見ているヴィッキーにヘンリーが声を掛けた


「馬車移動は退屈だったんです」

ヴィッキーはぶすっとした表情で返事をした


ヘンリーは笑いながら

「まだ1日目だよ?

ホワイト帝国の首都までは、まだまだだ」

と言いながら馬を馬車に近づけると、風でなびくヴィッキーの髪に触れた


「ほら、髪が乱れるよ

中に入ってるんだ」


ヴィッキーは驚いてパッと馬車の中に戻った


顔は真っ赤だ


アンディは窓を閉めようと、窓に手を延ばすとヘンリーと目が合ってしまった


ヘンリーはアンディを見つめながらニヤリと笑った


アンディはムッとして窓をピシャリと閉めた


「ヘンリー先輩は相変わらずプレイボーイね」

ソフィアがやれやれといった感じで話した


「プレイボーイなの?」

アンディが聞くと

「誰にでもああやって振る舞うのよ

中には誤解しちゃう女の子もいたわ」


ソフィアもあまり良くは思っていないようだ


「親切で優しくて良い人なんだけど、その人に気があるように振る舞うから、学生の頃からモテたけど女の子同士の争いもあったわ」

「でもヘンリー先輩はエレン先輩と付き合っていたじゃない?」

ヴィッキーがソフィアに聞いた


「確かにヘンリー先輩は女の子に気を持たせるけど、付き合っていたのはエレン先輩だけよね」

「ね?

ヘンリー先輩は誰にでも優しいだけよ」


アンディにしてみればヴィッキーを愛称で呼び、軽く声を掛けるので面白くない

そしてヴィッキーも警戒していないので心配が尽きない


そう考えていると、外から馬車をトントンとノックする音が聞こえた


アンディが再び窓を開けると、ヘンリーが

「もう着きます」

と教えてくれた


トンプソン辺境伯の城の方を見ると、確かにもう目の前だ


「ありがとう」

アンディはそう返事をすると、窓を閉めた


「もう着くよ」

アンディがそう言うと、ソフィアはソワソワとし始めた

「デイブはもう来ているのかしら?」


「ホントね

ホワイト帝国の首都からここまで7日くらいかかるって言ってたけど、来たのかしら?」

ヴィッキーがそう思うのも無理はない


デイブが魔法陣を使ってライシャワー公国からホワイト帝国に帰ったのが4日前だ


普通に考えればデイブはまだ到着していない


していないハズだった


だが何故か、デイブはトンプソン辺境伯と共にアンディ達を出迎えた


馬車から降りた3人は

「「「何でデイブがいるの?」」」

と固まってしまった


「何だよ、ここで落ち合おうって言っただろ?」

デイブは3人を驚かせる事に成功したので上機嫌だ


「いや、まだ到着出来ないと思ってたから」

アンディは固まったままだ


ホワイト帝国では極力魔法は使わないようにしている


移動魔法も使わずにどうやって来たんだ?


3人は不思議だった


するとデイブの後ろで控えていた騎士が

「デイビット様は昼夜を問わず、馬を飛ばして来られたんですよ」

とやつれた風貌で話した


「…デイブ」

デイブと共に強行軍でこのトンプソン辺境伯の城まで来た人達に同情したのはアンディだけではないだろう


アンディはデイブの隣にいるトンプソン辺境伯に近づいた


「お久しぶりです、トンプソン辺境伯

この度はお世話になります」


トンプソン辺境伯はニコッと笑うと

「お久しぶりですな、アンドレアス皇子」

と挨拶をした


「僕はもう皇子ではありませんよ」

アンディは苦笑いしながらそう応えた

「そうでしたな

スーは元気かな?」


アンディはスザンナからトンプソン辺境伯とは色々と縁があり、親しくしていると聞いていた

だが愛称呼びをする程、親しいとは知らなかった


「はい、元気に過ごしています」

「フレッドのヤツもデレデレなんだろうな」


えっ?師匠とも親しいの?

それは聞いてなかった


養父上(ちちうえ)とも親しいのですか?」


アンディはフレッドを普段は『師匠』と呼ぶが、この様な場では『養父上(ちちうえ)』と呼んでいる


これをフレッドが聞いたら、多分大泣きするだろう

そんなフレッドが容易に想像出来るので、アンディは滅多に言わないようにしている


だがもうアンディにわだかまりはなかった

いつでもフレッドを『父上』と呼んでも良いのだが、いざとなるとなかなか言えないのだ


「それでは、今晩の夕食時にフレッドとのくされ縁の話でもしてあげよう」

トンプソン辺境伯は高笑いしながらそう言った


「それは楽しみです」

アンディも笑顔で応えた


アンディはソフィアに手を向けて

「ソフィア・アデル・ミッチェル侯爵令嬢です」

と紹介した


「はじめまして、トンプソン辺境伯

お世話になります」


トンプソン辺境伯はソフィアの手を取ると、そっとキスをした


「はじめまして、ソフィア嬢

何もない辺境の地だが、温泉が出るのでゆっくり旅の疲れを癒して下さい」

と挨拶した


「まぁ!温泉が出るのですか?それは楽しみです」

ソフィアがキラキラした目になった


「ここの温泉は美肌効果があります

ヴィクトリア嬢とゆっくりお入りください」


「楽しみね、ソフィ!」

ヴィッキーがソフィアの後ろから両肩に手を置いて喜んでいる


ソフィも楽しみなのだろう

「ええ!」

と言ってヴィッキーと喜び合っている


ソフィアの為に強行軍で来たデイブは温泉にソフィアを奪われてしまった

「ソフィ…俺の努力は?」


デイブが情けなくソフィに語り掛けた

ソフィアは「ああ」とようやくデイブに近づいた


「デイブ、会いたかったわ」

「ソフィ!」


デイブの顔がパアッと明るくなった


一通り挨拶も終ったのでトンプソン辺境伯は

「さあ、中へどうぞ」

と自分の城へと招き入れた


ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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