82話 旅立ち
フレデリック大公家にはミッチェル侯爵夫妻が来ていた
今日、愛娘のソフィアがホワイト帝国のレイモンド皇帝陛下の結婚式に出席する為にアンディとヴィッキーと共に出発するので見送りに来ているのだ
ソフィアの大量の荷物は既にホワイト帝国のウィリアムズ大公家へ発送してある
このライシャワー公国からホワイト帝国の首都までは普通に行けば10日はかかるが、アンディ達は国境まで一気に移動魔法で移動する
だがホワイト帝国に入ってからは魔法は極力使わないようにするので、地道に馬車での移動となるのだ
国境を過ぎるとホワイト帝国のトンプソン辺境伯の領地となり、今日はトンプソン辺境伯の城で泊まる予定だ
トンプソン辺境伯の領地からホワイト帝国の首都までは7日程かかるので、その道中の荷物等は先に数台の馬車で国境に待機させてある
今日は先に国境で待機している先陣隊と合流して、トンプソン辺境伯の城を目指す予定だ
先陣隊は3日かけて国境まで行ったので、今日と明日はトンプソン辺境伯の城で休ませてもらい、出発は明後日だ
その間にデイブともそこで合流する予定となっている
「それじゃあお父様、行ってきます」
ソフィアはミッチェル侯爵と母親に抱きついた
「気をつけてな」
「気候が違うから、体調に気をつけなさいよ」
侯爵夫妻は心配そうだ
だがフレッドも心配だ
なんせ、その結婚式にはボルジアのローレッタ王女が参列するのだ
何かまた企んでいる可能性もあり、フレッドは心配でまたらない
「アンディとヴィッキーも気をつけるんだよ
くれぐれも無茶はしないように」
「もう、伯父さまは心配性ね」
「気をつけます」
フレッドの心配をよそに、ヴィッキーとアンディは旅が楽しそうなのでワクワクしている
フレッドは長いため息を漏らしてしまった
アンディ達は国境まで2回の中継を取る
3人の使い魔は既に1回目の中継地点にいるので、その使い魔目指して移動するのだ
「「「行ってきます!」」」
子供達は楽しそうに挨拶をすると消えてしまった
親達は心配でしょうがないのに、子供達は気楽だ
「親の心、子知らず…だね」
「うむ」
フレッドとミッチェル侯爵はため息をつくのだった
♪♫♬ ♬♫♪
アンディとヴィッキーとソフィアは2回の中継をはさみ、無事に国境で待機している先陣隊と合流した
荷物も多いため、この一行は大人数となってしまった
アンディとヴィッキーとソフィアが乗る馬車
侍従達や侍女達が乗る馬車
荷物を積んだ荷車
そして護衛の騎士達だ
アンディ達が到着すると、騎士団の団長と副団長が挨拶に来た
団長はフレッド位の年齢だろうか?
だが体格は鍛えているだけあり、筋肉質で大きい
黒く焼けた肌に茶色の髪を短く切っているので、肌と髪の境目がわからないくらいだった
「お待ちしておりました
私は今回皆様の護衛の指揮を取るロバートです」
「よろしくお願いします、ロバート卿」
アンディが微笑みながら応えた
ロバートは斜め後ろにいる男性に顔を向けると
「この者は副団長のヘンリーです」
と紹介した
男性は一歩前に出ると
「副団長のヘンリーです」
と挨拶した
するとヴィッキーが
「ヘンリー?
ヘンリー先輩ですか?」
と声を掛けた
ヘンリーと名乗った男性はニッコリと笑うと
「ヴィッキー、久しぶり」
と応えた
するとソフィアも
「えっ!ヘンリー先輩?
本当に!?」
と2人で驚いている
「ソフィも久しぶり」
ヘンリーがソフィアにも挨拶すると、ロバート団長が「ゴホン」と咳払いした
するとヘンリーは笑顔から真面目な顔に戻ると
「勤務中はヴィクトリア嬢とソフィア嬢と呼ばせて頂きます」
と言うと、二人にウインクをした
アンディは訳が解らずにいると、ヴィッキーが
「魔法学校で2期上の先輩なの
とても優秀で、学生代表も務めてたのよ」
と教えてくれた
「へぇ、そうなんだ」
魔法学校という事は、魔法騎士なのか
きっとロバート団長もそうなんだろうな、とアンディは考えた
ヘンリーは
「馬車はあちらです
ご案内致します」
と言うと手を差し出した
ヴィッキーはすっとアンディの腕に手を通し、ソフィアがヘンリーの手を借りて馬車へと向かった
馬車はなるべく普通の物を用意してある
無駄に派手にすると、山賊に狙われやすいからだ
ヴィッキーとソフィアが馬車に乗り込み、アンディが馬車に乗ろうとすると、ヘンリーと目が合った
ヘンリーはニヤリと笑っている
アンディはヴィッキーとソフィアが喜んでいたので水を差すつもりはないが、あまりこのヘンリーに良い印象を持てなかった
♪♫♬ ♬♫♪
馬車に乗り込むと、ヴィッキーとソフィアはお互いに両手を握りしめ喜んだ
「まさかヘンリー先輩と会えるなんて!」
「驚いたわ!
でも相変わらず爽やかでステキだったわね」
2人はきゃあきゃあ騒いでいる
確かに薄っすら日焼けはしているが、ロバート団長と違い強烈な日焼けではない
体格もロバートほど筋肉質ではないが、それでも騎士らしく逞しく見えた
髪は赤髪で茶色の瞳のヘンリーは、アンディが見ても爽やかな青年風だった
ガタンと馬車が揺れ、出発した
今日の夕方にはトンプソン辺境伯の城に到着するだろう
アンディは盛りあがっていヴィッキーとソフィアとは裏腹に眼を閉じると眠ってしまった
♪♫♬ ♬♫♪
ガタン!と馬車が大きく揺れ、アンディは目を覚ましてしまった
目の前に座っているヴィッキーとソフィアはお互い寄りかかって眠っていた
どれくらい眠っていたんだろうと思い、アンディが馬車の窓を開けると馬車に並走するように馬を操るヘンリーがいた
ヘンリーはアンディに気がつくと
「お姫様達はお休みですか」
とニッコリと微笑んだ
「すいません、僕も眠ってしまったようで…
今どの辺りですか?」
「もうすぐ昼食の休憩を取る予定です
この先に広い場所があるのでそこで昼食にします」
きっと使い魔を使ってトンプソン辺境伯の城までの道のりを確認してあるのだろう
アンディは窓から顔を出して進行方向を見た
やはりホワイト帝国が近いからか、ライシャワー公国の首都よりは過ごしやすい気候だ
ふと何か視線を感じてヘンリーを見ると、じっとこちらを見ている
アンディは自分の後ろで眠っている2人に気がついて、窓を閉めた
女性が男性に寝姿を見られたら、あまり良い気はしないだろう
それに何よりもアンディがヴィッキーの寝姿を見られる事が嫌だった
きっと久しぶりに2人に会ったから見ていただけなんだろう、とアンディは考えた
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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