81話 予言書
ミッチェル公爵家を訪れたティファニーはソフィアに案内されて、ソフィアがホワイト帝国で着るドレスを見ていた
ドレスはホワイト帝国のデザイナーをわざわざ呼寄せて作ったので間違いはないだろうが、やはり大公妃にチェックを入れてもらいたい
ドレスや靴、アクセサリーなど、ものすごい数のチェックだ
午前中にミッチェル邸に来て昼食も頂き、食後も再びチェックする
今は休憩を取っていた
ティファニーと共にデイブも来ていたが、この作業に男は口出し出来ないので手持ち無沙汰だ
これならアンディとボードでもしてた方が良かったな、と考えたが口には出さなかった
ここでポロリとそんな事を言ってしまったら、ソフィアの形相が変わるのが目に見えている
デイブも随分と学習したのだ
3人で冷たい飲み物とお菓子を食べて疲れを癒した
「ドレスも用途別にちゃんとあるから、問題ないわ〜
今度の結婚式に出席するドレスも大丈夫よ」
「良かったです」
ソフィアは安心した
「ただね肌寒く感じる事があるから、ショールがあるといいわ
私もホワイト帝国の気候に慣れるまで随分使ったわよ〜」
以前デイブに少し寒いと聞いていたので、ソフィアは心配になった
「やっぱり寒いんですか?」
「すごく寒いって事はないけど、やっぱりライシャワー公国よりは寒いわ」
デイブと全く同じ回答だ
さすが親子
「ドレス類は先にウィリアムズ家に送るんだろ?」
「ええ、荷物は先に送るわ
私とヴィッキーとアンディは5日後に出発するわ」
「俺は明日、父上と母上と一緒にホワイト帝国に帰るよ
その後、トンプソン辺境伯の領地に向けて出発する予定だ」
「わざわざ迎えに来なくてもいいのに」
「そういう訳にはいかないよ」
「もう、デイブは心配性ね」
デイブとソフィはティファニーの存在を忘れて2人の世界に入ってしまった
だがそこで気を利かすとかしないのがティファニーだ
「じゃ、その荷物の最終チェックを再開するわよ」
ティファニーの声でデイブとソフィは現実世界に戻された
「は、はい!」
ソフィアは顔が真っ赤になってしまった
♪♫♬ ♬♫♪
マシューはフレッドに呼ばれて、執務室に来ていた
身体はすっかり良くなり、今はギルバートの元で魔法使いとしての修行と、魔法騎士を目指す事にしたので騎士団で見習いをしている
魔法も剣もそれなりに使えるので、すぐに一人前になるだろう
「それじゃあ、そのローレッタとかいう第三王女が参謀なんだ?」
フレッドが執務用の机に肘を付き、顔の前で指を絡めながら聞いた
「そんな感じでした
あの王女はホワイト帝国の事には異常なくらい興味を持ち、そして詳しかったんです」
マシューの話しにアンディは不思議に思った
「詳しいって…ホワイト帝国内に内通者がいるって事かな?」
「いえ
…王女が言うには、自分はホワイト帝国で起きる事を知っているそうです」
「知っている?」
アンディが驚いた
「その…よくわからないのですが、『げーむ』という物があり、それをしていたので知っているのだと」
「何それ?」
アンディの問いにマシューは困ってしまった
「俺もわからなくて
ただその『げーむ』という物はレイモンド皇帝が結婚される所までらしくて、王女がホワイト帝国の事を知っているのはそこまでだそうです」
話しを聞いていたフレッドは顎に手を当てて考えた
「予言書のようなものかな?」
「そんな感じだと思います
王女はその知識を利用してボルジア王にホワイト帝国を手に入れる計画を持ち掛けました」
「王女が言い出したんだ!?」
アンディもフレッドもてっきりボルジア王の野望だと考えていたので、意外だった
「王女はとにかく不思議な言葉を使うのですが…
その『げーむ』もそうですが、『攻略対象者』やあのアヤカとかいう女の事も『ひろいん』と呼んでいました
王女はホワイト帝国を手に入れればその『攻略対象者』を全て集める事が出来るとよく言っていました」
「ではその『攻略対象者』を集める為に王女はボルジア王にホワイト帝国の侵略を持ちかけたと
その為に武力を強化するのにライシャワー公国の魔法使いを使おうとして拉致していた?」
フレッドがマシューの話しをまとめた
「はい、俺の知っている事はそうです」
いまいち動機がよくわからないが、首謀者はローレッタ第三王女らしい
「アンディ、今度の結婚式にはボルジアからそのローレッタ第三王女が参列するそうだ」
「そうなんですか!?」
ホワイト帝国とボルジア国は同盟国ではない
だが隣接した国なので結婚式に使者を派遣するとは思っていたが、まさか首謀者が来るとは思わなかった
「その王女が予言書で知っている事柄がレイモンド皇帝が結婚するまでならば、干渉出来るのもこれが最後となる
今までは人を使ったが上手く行かないので直に動く事にしたんだろう」
確かにそうだろう
しかしアンディは
「王女はマシューを失いました
何か仕掛けるにしても手段はないかと思います」
だがマシューは不安要素があった
「ボルジアには俺のように売られたり拉致られた魔法使いがまだいます
実際、俺と一緒に居た魔法使いの中には商人が所有していた魔法使いを献上させてます」
フレッドは「ふむ…」と唸った
「また魔法使いを調達して使うかもしれないという事か…
アンディ、今度の結婚式は危険かもしれない
辞退しよう」
フレッドにとってスザンナとアンディは何よりも大切だ
自分の目が届くならば良いが、今回は別行動となる
しかも首謀者がわざわざ出向く場所だ
行かせる訳にはいかなかった
だがアンディは慌てた
「でもデイブやソフィが参列します
ヴィッキーもウィリアムズ大公家の小公女なので参列しない訳にはいきません
僕だけ辞退するなんて出来ません」
アンディの気持ちも最もだ
フレッドにとってもデイブとヴィッキーは子供の頃からここで一緒に暮していたので自分の子供のようなものだ
ティファニーに至っては実の妹だし、ジェフェリーは良い友人であり妹の夫だ
「わかったよ
何か対策を練るよ」
フレッドは辞退を諦めて、皆の安全を考えなくてはと頭を悩ませなくてはならなくなった
ご精読、ありがとうございます
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次話もよろしくお願いします!
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