77話 完遂
ローレッタはほろ酔いで上機嫌だった
長椅子に横たわりながら再びグラスにワインを注がして、思いを巡らせていた
レイモンド様を手に入れたら、ジェシカの目の前で睦み合おうかしら
デイビット様にはいっぱい私を愛していると囁かせて
アンドレアス様は跪かせて私の足を舐めさせて…
ケント様は焦らして焦らしてイジメましょうか
神官のネイサン様は女性を知らないから、濃厚な睦み合いで堕落させて…
騎士のレオン様は敢えて他の女達も入れて、数人で攻めましょう
ローレッタはそんな事を考え、ゾクゾクしている
だが突然、身に付けていたネックレスの石がパンと砕けた
驚いて身体を起こし、砕け散ったネックレスに手を当てた
このネックレスに付けていた石はサーヴァントに付けてある魔導具の発動器具だ
ローレッタは何が起きたのかわからなかった
「誰か!」
ローレッタが叫ぶと、侍女が部屋に入って来た
「お呼びでしょうか?」
「サーヴァントを呼んで」
「畏まりました」
侍女は一礼して部屋を後にした
何だろう?
何か嫌な予感がした
しばらくすると騎士が部屋にやって来た
「王女様!
奴隷達の小屋はもぬけの殻です!」
「何ですって!?」
ローレッタは長椅子から立ち上がると、騎士はローレッタの前で跪いた
「どういう事!?」
ローレッタはワナワナと震えている
「奴隷小屋の方が何か明るくなり、何人かが様子を見に行ったそうです
すぐに元通り暗くなったそうですが、念の為奴隷小屋の確認をしたら誰もいなかったそうです」
騎士は顔を上げずに報告した
「明るくなった?」
「はい」
これはよくゲームや小説で見る、大きな魔法が使われた時の状況ではないだろうか?
だが奴隷達の中には、そんな大きな魔法を使える者はいない
一体、何が起きたのか?
「サーヴァントは?」
ローレッタが聞くと、騎士は更に顔を下に向けて
「いません
奴隷どもは全員消えました」
毒に侵され動く事もままならないのに、全員が消えた?
一体どうやって?
いや、それよりサーヴァントが消えてしまったら、アヤカに施している変装魔法はどうなっているの?
ローレッタは混乱した
♪♫♬ ♬♫♪
アンディ達がボルジアでの救出を決行する少し前
ホワイト帝国では夜会が行われていた
バムフォード伯爵は会場に入るとブリタニーと別れて他の貴族達と話しをしていた
数人の貴族と話しをして、そしてジェフェリー大公に挨拶をした
バムフォード伯爵とジェフェリー大公はシャンパンを片手に和やかに話しをしている
…ように見せていた
「孫娘の夜会服をボーアン夫人に頼みましてね
ボーアン夫人が言うには、デニス元伯爵の令嬢と非常に体格が似ていると言っていましたよ
それはもう、本人のようだと」
バムフォード伯爵の話しにジェフェリーは微笑みながら
「そうですか」
とだけ答えた
ジェフェリーはすぐさまレイモンドの元へとやって来た
玉座に座っているレイモンドの横に立ち、少し近づいて話し掛けた
「ボーアン夫人がドレスを作る為に採寸し確認してもらいました
体格も体形もまるでアヤカのようだと証言したそうです」
レイモンドは何事もないような顔をして
「…決まりですね
ティファニー大公妃は?」
「ティフはいつでも良いと言っていましたよ」
ジェフェリーが会場を見渡すと、ティファニーは他の婦人と談笑している
レイモンドもそれを確認すると
「では我々が庭園に向って、誘い出しましょう」
レイモンドに言われ、ジェフェリーはコクリと頷いた
念の為もうしばらくこのままでいて、時間をおいてから2人は席を立ち庭園へと向かった
ティファニーはレイモンドとジェフェリーが庭園に向かったのを見ると、喋っていた婦人達に
「ちょっと失礼しますね」
と挨拶をして、その場を去った
ジェフェリー達が庭園へと姿を消すと、後を追うように金髪の少女が庭園へと向かった
ティファニーも少し間を開けて庭園へと向かった
♪♫♬ ♬♫♪
アヤカはレイモンドとジェフェリーの跡をつけて庭園にいた
手入れの行き届いた生垣に身を潜め、レイモンドとジェフェリーの様子を伺う
上手くレイモンドが一人にでもなってくれればチャンスだった
だが突然、アヤカは背後から肩をポンと叩かれた
驚いたアヤカは「ひっ!」と声を上げてしまった
恐る恐る後ろを振り返るとウィリアムズ大公妃が立っていた
「ウ、ウィリアムズ大公妃!」
突然、背後から肩を叩かれ、アヤカの心臓はドキドキと激しく鼓動していた
「何をなさっているの?」
ティファニーがニッコリと微笑みながら聞いた
「あ…私は…少し酔ってしまったので、風に当りに…」
アヤカはあたふたしている
するとまた背後から
「アヤカ嬢」
と声を掛けられ、アヤカは振り返った
声を掛けたのはジェフェリーだ
側にはレイモンドもいる
「レイモンド皇帝陛下!」
アヤカはパアッと笑顔になった
2人きりとはいかなかったが、こんなに近づいて話すチャンスが訪れたのだから
ティファニーはパチンと指を鳴らした
アヤカは何をしたんだろうと不思議に思いながらティファニーを見た
再びジェフェリーが
「アヤカ嬢」
と声を掛けた
ジェフェリーに呼ばれ、ジェフェリーの方を向くと
「アヤカ・ロン・デニス、逮捕する」
えっ!?
アヤカは驚いた
すると生垣の影から騎士が4名走り寄り、2人の騎士がアヤカの両脇に立ちアヤカの両腕を掴んだ
「な、何をするの!離して!
私はブリタニーよ、アヤカじゃないわ!」
アヤカはジタバタ暴れている
ジェフェリーはそんなアヤカの側に来ると
「君の変装魔法は解けているよ」
と告げた
「えっ?」
アヤカは何も考えられなくなった
暴れて乱れてしまった髪が垂れている
その髪を見ると金髪ではなく茶色だ
えっ!?
魔法が解けている?
アヤカは慌てて辺りを見渡した
いつも側にいる使い魔の筒鳥がいない
本当に解けてるの?
アヤカは呆然とした
ジェフェリーはそんなアヤカにかまう事なく
「連れて行け」
と騎士に命令した
騎士達はアヤカをズルズルと連行する
「ちょっ、ちょっと待って!
私は…」
そうアヤカは叫んでいるが、騎士達は構う事なく連れて行ってしまうのだった
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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