75話 順調
ボルジアではマシューがローレッタ王女の部屋で、ホワイト帝国の夜会の成り行きを語っていた
ローレッタは長椅子に横たわり、ワインの入ったグラスを片手にマシューの話しを聞いていた
「レイモンド様のご様子は?
少しはあの女に興味がありそう?」
ローレッタにそう聞かれてマシューは
「そうですね…」
とレイモンドを見た
マシューの使い魔の筒鳥は開け放たれているテラスの手摺に留まっていた
レイモンドを見るとジェフェリー大公と何か話しをしている
「今は大公と話しをしています」
マシューがそう報告すると、ローレッタはチッと舌打ちをしたが
「レイモンド様の動きに気をつけているのよ」
と命令した
しばらくは何事も起こらなかったが、レイモンドはジェフェリーと共に庭園へと向かった
「皇帝が大公と庭園に向かいました
あの女も気付いて動き出したようです」
「あら、やっとチャンスが巡って来たかしら?」
ローレッタは侍女に空になったグラスにワインを注がせた
筒鳥はレイモンド達に近い木に留まり様子を見ていた
「大公が会場へ戻りました
皇帝は近くのベンチに一人で座っています」
ローレッタは少し酔いもあり、マシューの語りに楽しそうに反応した
「あら!?本当にチャンスね!
あの女は?」
「今、近づいています
…話し掛けました」
ローレッタは楽しそうに聞いている
「皇帝があの女の手を取り、隣に座らせました」
マシューの話しに
「あら!」
とローレッタは少し興奮気味になってきた
「距離はどのくらい?」
「そうですね…割と密着していると思います」
「まぁ!」
一旦アヤカをレイモンドの后にして、ボルジアがライシャワー公国へ攻め入っても、ホワイト帝国がライシャワー公国に加勢しないように仕向ける
ライシャワー公国を手に入れたら、魔法使いをふんだんに使った軍隊を編成し、次はホワイト帝国を攻める
その時もアヤカには内々から工作させ、ボルジアが有利に攻める事が出来るようにするのだ
ボルジアがライシャワー公国とホワイト帝国を手に入れれば、自分は攻略対象者を全て集め、侍らすのだ
あぁ、夢に一歩近づいた
ローレッタはゾクゾクが止まらない
「皇帝があの女の手を取り、キスをしました」
上手くいっている!
ローレッタはニヤリと笑った
「皇帝が立ち上がり、会場の方へと戻りました
あの女はベンチに座ったままです」
「上手く行ったのかしら?
聞き出せる?」
ローレッタに言われてマシューはしばらく集中しているような見えた
「明日の夜、再びここで会おうと約束したそうです」
マシューの報告に
「まぁ!やったわね!」
ローレッタは大喜びだ
「一旦バットエンドを迎えたけど、やはりヒロインね
事がちゃんとヒロインの為に進むんだわ」
マシューには何の話かわからないが、ローレッタはブツブツと呟いた
「サーヴァント、明日の夜も仕事よ」
「はい」
ローレッタの側に控えてるマシューにローレッタは白い錠剤を2錠渡した
「明日、上手く行ったらもっとあげるわ
今日はもう下っていいわ」
「ありがとうございます」
マシューはそう言うと立ち上がった
ローレッタは長椅子に横たわったまま、ワインの入ったグラスを揺らして微笑んでいた
マシューはそのまま部屋から出た
よし!急いで帰らなくては
マシューの気が焦る
だがいつもと違うと自分を見掛けた人が変に思うかもしれない
マシューは平静を装いながら、魔法使い達が住む建物へと向かった
♪♫♬ ♬♫♪
アンディとデイブは計画決行の朝、宿屋を後にしていた
ボルジアの街中を見て回り、市場なども見て来た
普通に活気もあり、賑わっている
決して他国に干渉しなくてはいけない程、衰退してはいない
何故、ボルジア王はホワイト帝国に干渉しているのだろう?
アンディとデイブは不思議だった
夜になり、街の料理店に入り腹ごしらえをする
昨夜、魔法使い達のいる建物を観察したが、見張りがいるわけでもなかった
魔法使い達は毒に侵されている事と薬欲しさのため、逃げ出す事がないのだ
唯一ボルジアの兵士が訪れるのは、毒入りの食事を持って来る時だけのようだった
アンディとデイブは食事を終え、しばらくその店で会話を楽しんでいる旅人を装い、使い魔には魔法使い達の住む建物と宮殿に何か変化はないか、見張らせていた
夜が更けた頃にアンディとデイブは店を出た
もう道を歩いている人もいない
だが念には念を入れて、アンディとデイブは街から出て、人気のない場所まで行ってから移動魔法を使った
2人は直接、マシューの部屋へ移動した
部屋は真っ暗だ
まだリアも来ていないし、マシューも王女の側に居るのだろう
マシューの部屋だけ鍵がないので、この部屋に移動する事にしたのだ
「マシューはまだ来ないだろう
リアさんを待つか?」
デイブがアンディの意見を求めた
「うーん、先に皆を集めようか?
リアさんが来て魔法陣を造ったら、皆に付いているチョーカーを外すんだよね?」
「そうだ」
魔法陣を造ったら、ここからは時間との勝負だ
リアは全員に付けられているチョーカーをまとめて一気に外すと言っていた
以前、フレッドがチョーカーの発動器具を壊した時、チョーカーが消えてしまった
なので逆の可能性もあると想定した
チョーカーを外すと、王女が持っている発動器具が消えるか壊れると仮定した
そうすれば奴隷達が何かしているとすぐに気付かれる
王女達が動き出す前に、魔法陣を発動させ移動を完了するのだ
リアとマシューが来れば、いよいよ決行だった
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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