71話 旅人
アンディとデイブはボルジアの街の中を歩いていた
旅人らしくフードを被り、革袋を肩に担いでいる
アンディは銀髪だと目立つので、金髪にしていた
街の中はそれなりに賑わっている
ホワイト帝国の首都が大都市ならば、ライシャワー公国の首都はリゾートのような造りだ
ボルジアは山々に囲まれているので、どうしてもホワイト帝国やライシャワー公国の首都より見劣りしてしまう
街の中を歩いていたアンディとデイブは宿屋を見付けた
ドアを開けて中に入ると、目の前にフロントがある
入口の右側は食堂のようだ
2人はフロントに近づくと、カウンターの中にいる男に
「部屋はあるかい?」
とデイブが聞いた
フロントに居る店員は
「はい、空いてます
一部屋ですか?」
と聞いてきた
「ああ、一部屋だ」
「お食事はどうされます?
今日の夜と明日の朝のお食事をされますか?」
「そうだな
夜と明日の朝の分を頼むよ」
「畏まりました
お食事はお部屋までお持ちする事も可能ですが?」
デイブとアンディは顔を見合わせた
アンディは少し首を振った
デイブはそれを確認すると
「いや、そこの食堂でいいよ」
「畏まりました
お食事込みの一泊料金はこれだけになります
料金は前払いでお願いします」
店員は金額の書かれた紙を差し出した
デイブはその紙を受け取ると、担いでいた革袋を下ろし、中から小さな革袋を出した
小さな革袋には金貨や銀貨が入っている
デイブはそこから金貨を1枚出すと、店員に渡した
「多めに出すから、風呂も準備してくれ」
「畏まりました」
店員は金貨を受け取るとカウンターの下へ片付けた
「それではお部屋へご案内致します」
店員はそう言うと、フロントの横のドアからデイブ達の居る方へ出て来た
店員はアンディ達を3階の一番奥の部屋へと案内した
部屋に入ると、店員は窓のカーテンを開き窓も開けると、暗かった部屋に外の日差しが差し込んだ
「それではごゆっくり」
店員はそう言うと部屋から出て行った
デイブはドアの鍵を掛けると、フードを脱いだ
アンディもフードを脱ぐ
2人でキョロキョロと部屋を見渡し
「なかなかいい部屋だね」
アンディがそう言うと
「金貨1枚出したんだ
上等の部屋じゃなかったら暴れるぞ」
デイブはあたり前のように言った
「今夜は下で食事しながら情報収集だね」
「そうだな」
デイブは窓際にあるテーブルに向かうと、椅子にドカッと座った
「夜は使い魔で城内の警備態勢と捕まっている魔法使い達の居場所の確認だ」
「うん」
決行は明日の夜中を計画している
リアとは明日、落ち合う手はずだ
「まずは風呂に入ろうか」
デイブは早くサッパリしたいようだ
それはアンディも同じで
「うん、そうしよ」
と言うと、早速お風呂に入る準備を始めた
♪♫♬ ♬♫♪
お風呂から上がりサッパリした所で、ちょうどお腹もすいてきたので、2人は1階の食堂へと向かった
食堂は既に混雑している
宿泊客ではない人も食事を取りに来ているようだ
アンディとデイブは空いている席を見つけて座った
すぐに若い女の子が注文を聞きに来る
「ボルジアでは何が食べられるの?」
アンディがそう聞くと、女の子は
「山で獲った兎の肉料理は、外国の方でも食べやすいと思いますよ」
「じゃあそれ!」
「山菜料理もオススメです」
「それも食べてみようか」
デイブが即決する
「山鳥の石火焼きも柔らかくていいと思います」
「いいね、それも」
「飲み物はいかがなさいます?」
「ぶどう酒でいいよ」
「畏まりました」
女の子はオーダーを取り終えると戻って行った
料理が来るまで、アンディとデイブは周りの会話に耳を澄ませた
やはり宿屋なので旅人の会話が多い
しばらくするとデイブが奥のテーブルで食事を取っている3人組の男達を親指で指した
「アンディ、あの3人組の会話…魔法で音を拾え
使い魔と視覚の共有をする時みたいに、奴らの会話に集中しろ」
デイブにそう言われて、アンディは集中する
3人組の方へ吸い込まれるような感覚がしたと思ったら、彼らの会話が聞こえてきた
「……の奴隷はいいのがいないよ」
「その点、お前は魔法使いを手に入れたんだから、いいよな」
「そうだな
かなり高額だったけど、やっと魔法使いを手に入れたよ」
「…デイブ!」
アンディはデイブを見つめた
デイブはコクリと頷く
「使い魔にあの男の後を追わして居場所を突き止めよう
後で伯父上に報告する」
「うん」
そう話していると、先程オーダーを取りに来た女の子がぶどう酒と山鳥の石火焼きを持って来た
「おっ!美味そうだな」
デイブが嬉しそうに言うと
「タレが2種類あるので、お好みで選んで下さいね〜」
と女の子も嬉しそうに教えてくれた
「頂きます!」
アンディとデイブはタレに山鳥の肉を付けて一口食べる
「うん、美味しいね」
「柔らかいな」
2人は次々と食べて行く
途中、ぶどう酒を飲み干してしまったので、山菜料理を運んで来た時に、ぶどう酒をお代わりした
違うテーブルでは下級騎士が4人でお酒を飲んでいる
「ローレッタ王女はいつもあの薄汚い魔法使いを連れているな」
「たかが魔法を使えるってだけで、ローレッタ王女の側に置いてもらって…」
「何だ、お前たち
ヤキモチか?」
「ち、違う!ただ魔法が使えて、少しばかり顔がいいからって側にいやがって…」
「だから、それがヤキモチだろ」
アンディはぶどう酒を飲みながら
「…ローレッタ王女」
と呟いた
フレッドが国王に最も近い王女が魔法使いを側に置いていると言っていたので、その王女の事だろう
「いつも側に置いてるのかな?
明日の決行の時に、他の人達と一緒にいなかったらマズイね」
アンディがそう言うと
「今夜、それも確認しよう」
デイブが答えた
料理も食べ終えたので、アンディとデイブは部屋へと戻った
アンディとデイブは早速、使い魔を使って城内を確認する事にした
「夜中に飛びまわっても違和感のない梟にしよう」
デイブが提案した
アンディとデイブは左腕を延ばすと、オオフクロウが現れた
「同じ種類を出すとは…」
「凄いね」
梟の種類をあまり知らないので、出した使い魔がかぶってしまった事に呆れてしまったデイブと、感心してしまったアンディだった
ご精読、ありがとうございます
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