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69話 花火

ボートは中央から後方まで全てソファのようになっている

大きさはダブルベットくらいだ


船尾には天蓋が付いていて、クッションが何個も置いてある


ヴィッキーがソファに乗ると、思いのほかふっくらしていて居心地が良かった


「柔らかいわ、いいわね!」

ヴィッキーが喜んでいる


隣のボートにもデイブとソフィが乗り込み、ソファに乗ると

「わぁ!ふかふか!」

とソフィは楽しそうに叫んだ


アンディもソファに乗りヴィッキーの居る中央付近まで来ると、ボートの進行方向に身体を向けて座った


ボートのプロペラが回るように魔法で操ってみると、ボートははゆっくりと進み出した


「わっ、動いた!」

動かしたアンディが驚いている


デイブも同じようにボートを動かした


「アンディ、湖の中央辺りまで行ってみよう」

「うん」


そう言うと、2艘のボートは並んで湖の中央へと進み出した


最初はスピードの調整が難しかったが、進むにつれ慣れて来た

「アンディ、曲がってるわ」

ヴィッキーに言われたが、止める事も出来ない


「あっ、ぶつかる!」

アンディは叫んだがどうする事も出来ずに、デイブ達が乗るボートにぶつかった


「うわっ」

「きゃあ」

「ごめん!大丈夫!?」


アンディが焦って声を掛ける


「大丈夫だ

魔法で防御シールドが付いてるみたいだ」


デイブの返事に安心した


その後も何度かアンディの操るボートとデイブの操るボートがぶつかった


「デイブ、真っ直ぐ進めないの?」

アンディがデイブを誂った

「アンディだってフラフラしてるじゃないか」

デイブの反撃も鋭い


ぶつかる度に4人は大笑いしている


湖にはいろいろなボートが出ているので、他のボートや小さなボートに注意しながら、デイブとアンディはボートを進めた


ようやく湖の真ん中辺りまで来れた


「この辺りでいいかな?

花火が上がるのを待とう」

デイブはそう言うと、プロペラを止めてゴロンと横になった


アンディもプロペラを止めて横になり、夜空を見上げた

「星がすごいな」


ヴィッキーもアンディの横で寝転がり夜空を見上げた

「ホントね、綺麗」


ヴィッキーとアンディは手を繋いだ


「去年の今頃はこんな風にヴィッキーとライシャワー公国で過ごせるなんて、思いもしなかったよ」

「そうね

なんだか怒涛の1年だったわ」


そう

あの呪いがなければ、きっと今でもホワイト帝国で皇帝陛下や兄上の好き放題に幻滅しながら、ジェフェリー大公から宰相としての仕事を学んでいただろう


だがあの呪いで状況は一変した


ホワイト帝国は新たな皇帝・レイモンドにより、以前と違い普通に機能し始めた


レイモンドの婚約者のジェシカも、レイモンドと想い合っていたらしく、ジェイムズが亡くなったので何の障害もなくレイモンドと結婚出来る


他の皇太子妃候補者達の中には皇妃になりたくない者も居たそうだから、彼女達も助かった


皇妃になりたかった令嬢は残念だろうが…


そしてフレッドとスザンナは想い合っていながら20年近く離れ離れだったが、ようやく一緒になれた


…あれ?

何だろう?

アンディは違和感を覚えた


ドン!


花火が上がった


「わあっ!」

ヴィッキーが叫んだ


ドン!ドン!!

次々と花火が上がる


湖の真ん中で真上に上がる花火を、ボートで仰向けになり見ると迫力がすごい


「凄いや!火の粉が降って来そうだ!」

アンディは嬉しくなって両手を花火へ延ばした


ヴィッキーも真似をして両手を延ばす

「本当!火の粉に触れそうで恐いくらいだわ!」


真下から見る花火は大迫力だ

身体に響く花火の音にも驚かされる

「凄い!凄いね、ヴィッキー!」

アンディは喜んでヴィッキーを見た


ヴィッキーもアンディを見る

「うん!」


アンディとヴィッキーは大はしゃぎするのだった


  ♪♫♬ ♬♫♪


デイブとソフィはボートの後方に付いている天蓋の辺りで、クッションを重ねて背もたれにして、そこで花火を見ていた


「凄いな」

デイブも花火の迫力に驚いていた


「こんな風に花火を見たのは初めてだわ

凄いわ!」

ソフィは嬉しそうに花火をもっと見ようと、ソファの真ん中辺りまで身を乗り出している


すると背後からデイブがソフィをグイと引き寄せた


ソフィはデイブの胸の中にすっぽりと収まってしまった


「デイブ?」

「何だか火の粉が当たりそうで」

「……」


ソフィはぷっと笑ってしまった


「心配性ね、デイブは」

「慎重なんだよ」


ソフィは笑いながら、デイブにもたれかかって花火を見た


「ホワイト帝国に行っても、毎年妖精祭りには帰って来ような」

「うん」

「またボートをレンタルしてさ、子供が出来たら人数に応じてボートを大きくしていこう」

「いいわね」


ソフィは嬉しそうにデイブの顔を見上げる


デイブもソフィを見ると、自然と口付けをした


その後は2人、静かに花火を鑑賞するのだった


  ♪♫♬ ♬♫♪


妖精祭りの翌日、アンディとデイブとヴィッキーで朝食を取っていると、フレッドがやって来た

手には新聞を持っている


えっ!


3人は去年の事が頭を過ぎった


何かした!?

今年は何もなく過ごしたハズだけど!?


3人はマジで焦った


「お、伯父上!」

デイブが食事の手を止めて立ち上がる


フレッドは真っ直ぐデイブの所に来た


また俺!?


フレッドは黙ってデイブに新聞を渡した


えっ?やっぱり俺?何かした!?


デイブは恐る恐る新聞の記事を見ると黙って読み出した


今年は何!?


アンディとヴィッキーは冷や汗を流している


デイブは顔を上げると

「アンディ、マズイぞ」

と深刻な顔で言った


ヴィッキーとアンディは驚き

「「な、何!?何が書かれてるの?」」

と叫びながらデイブの後ろに立ち、新聞を覗き込んだ


新聞の見出しには


貸しボート、来年の妖精祭りまでの予約完売!


と載っていた


見出しの下には

デイヴィット小公子とソフィア侯爵令嬢

アンドレアス小公子とヴィクトリア小公女

殿下方はお借りになった中型の貸しボートでそれぞれ花火をご鑑賞なされた


お二組はとても楽しそうにお笑いになられ、思い出に残る花火鑑賞となられた


お二組にあやかろうと、花火終了後から貸しボート店に同じ中型ボートの予約が殺到し、来年の妖精祭りまで予約は完売となった


などなど書かれている


「これって…」

アンディが呟いた


「来年はボートが借りれないってこと!?」

ヴィッキーは頭を抱えて叫ぶのだった


ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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