64話 看破
ホワイト帝国の宮殿の中庭ではお茶会が催されていた
主催者はジェシカだ
ジェシカは訪れる来客に丁寧に挨拶をしていた
「ウィリアムズ大公妃」
ジェシカがティファニーに気付き、近づいて声を掛けた
「ようこそお越し下さいました、ウィリアムズ大公妃」
まだレイモンドと結婚していないジェシカは侯爵令嬢なので、ティファニーより身分は低い
だがティファニーは気さくな性格なので
「ご招待、ありがとう
そんなに畏まらないで〜」
と微笑むのだった
そんなティファニーの次に訪れた人物が、ジェシカとティファニーの側に来た
近づいて来た人に気付き、ジェシカとティファニーがそちらを向くと、バムフォード伯爵と若い女性だった
バムフォード伯爵は2人に近づくと
「お久しぶりぶりです、ウィリアムズ大公妃」
「バムフォード伯爵、お久しぶりです
今日はどうされたの?」
「孫娘を案内してきました」
バムフォード伯爵はティファニーにそう言うと、ジェシカに視線を移した
「ジェシカ嬢、孫娘を突然参加させて頂き感謝致します」
「とんでもございませんわ、バムフォード伯爵」
バムフォード伯爵はアヤカの背中に手を添えて、少し前に進ませる
アヤカはぺこりと頭を下げ
「初めまして
ブリタニー・フェイ・バムフォードです」
と挨拶した
「ジェシカ・ルイーズ・ガルシアです
ようこそお越し下さいました」
ジェシカも微笑みながら挨拶した
ティファニーはじっとアヤカを見ている
「それでは私は一旦、帰るとしよう
楽しんでおいで」
バムフォード伯爵はアヤカにそう言うと、庭園を後にした
「さ、あちらにお席が用意してありますわ
参りましょう」
ジェシカが声を掛けると、ティファニーはジェシカと共に歩き出した
アヤカも2人の後に続くように付いて行った
♪♫♬ ♬♫♪
お茶会はとても華やかだった
少し離れた所では音楽も演奏されていている
アヤカはジェシカとは随分離れた席に案内された
ジェシカの方を見ると、ティファニー大公妃や皇太子妃選別の時にいたレベッカ・グレース・ウォーカー伯爵令嬢やベアトリス・ナイトレイ・ターナー男爵令嬢がいる
レベッカはまぁ良い、伯爵令嬢だから
だがベアトリスは男爵令嬢だ
男爵令嬢より下の席を充てがわれた事が気に入らなかった
ギリリと歯ぎしりした時に、隣にいた令嬢が
「ボルジアからいらしたと聞きましたわ
ホワイト帝国にはもう慣れましたか?」
と声を掛けて来た
アヤカは笑顔を作ると
「はい、とても過ごしやすくて随分慣れました」
と答えた
その会話を聞いていた周りの令嬢も
「ボルジアはどのような所ですか?」
「ボルジアのお菓子はどのような物がありますの?」
などと次々に聞いてくる
アヤカは愛想笑いしながら
そんなの知ってる分けないでしょ!
ジェシカに近づくチャンスがなくなるじゃない!
と心の中で怒っていた
ティファニーはお茶を飲みながら
「庭園のお花もとても綺麗ですね」
と言いながら周りを見渡した
近くの木には筒鳥が留まっている
ジェシカはニッコリ微笑むと
「パトリシアさまはお花が大好きなのです
ですからレイモンド皇帝陛下が常にお花が咲いているようにと庭園のお花のお手入れに気を付けていらっしゃるのです」
「ジェシカさまは離宮にいらした時からパトリシアさまと仲が良かったですものね」
レベッカがニコニコ笑いながら言った
「レイモンド皇帝陛下とご一緒にお仕事もされて…
実はあの頃から私達、お二人はお似合いだと言ってましたのよ」
ベアトリスはレベッカと2人で頷きあった
「私もスザンナさまから聞いていたわ
とても仲が良いと仰っていらしたわよ」
ティファニーにもそう言われると、ジェシカは赤くなってしまった
ティファニーは再びお茶を飲むと、チラリとブリタニーを見た
周りの令嬢から質問攻めにあい、アタフタしている
側の木に留まっている筒鳥は、まるでお茶会を観察しているようだ
ティファニーはフッと笑ってしまった
♪♫♬ ♬♫♪
その日の夜、ティファニーはジェフェリーにお茶会の話しをした
「バムフォード伯爵が連れてきたご令嬢…魔法で変装していたわ」
ジェフェリーは夕食後、ティファニーと2人並んでソファに座り、ゆっくりお茶を飲んでいたのにむせてしまった
「ジェフ、大丈夫?」
ティファニーがジェフェリーの背中をトントン叩いた
ジェフェリーは少し咳き込みながら
「ま、魔法で変装?」
と聞いた
「ええ
それに使い魔の鳥がお茶会を見ていたわ
どちらも雑な魔法だったわ」
「そうなんだ」
ジェフェリーが考えた
「実はバムフォード伯爵には協力してもらっているんだ」
「協力?」
ティファニーは可愛らしく首を傾げた
「ボルジアから来た令嬢だ
最初、レイに近づいてね
アンディの亜空間での警告があったから、レイはバムフォード伯爵に彼女を探るように頼んだんだよ」
「そうだったの」
「その令嬢は魔法使いならば、ライシャワー公国の人間か…」
ジェフェリーがそこまで言うと、ティファニーは
「いいえ」
とその考えを否定した
「彼女自身から魔力は全く感じなかったわ
使い魔も彼女とは関係ないわ
でも彼女に掛かっている変装魔法と使い魔は同一人物の魔法ね」
「ふむ…」
ジェフェリーは考え込んだ
「とっても雑な魔法だったの
あの使い魔も視覚を共有している程度だわ
伝達に使ったりも出来ないんじゃないかしら」
以前、皇帝と皇太子に呪いを掛けた魔法使いはとても優れていた
今回は全く違う
「フレッドに連絡してくれるかい?
僕はバムフォード伯爵にその女性の様子を聞いておくよ」
「わかったわ」
ティファニーがそう返事をすると、フワリと鷗が現れ、床に着地した
ティファニーはソファから立ち上がると鷗の側に行き、鷗を抱き上げる
ジェフェリーも一緒に側に行き、2人でテラスに出た
ティファニーはテラスの縁で鷗を空へと離すと、鷗はスーっと飛び去った
ティファニーはジェフェリーを見つめて
「あの変装魔法、私が暴いてもいいわよ?」
と言う
だがジェフェリーは愛するティファニーに少しでも危険な事はさせたくないので
「ダメだよ
まずはフレッドの意見を聞いてからだよ」
と釘を刺した
ご精読、ありがとうございます
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