61話 帰郷
ロドリーの家があるテネシーまでは馬で1日半程かかる
フレッドとアンディだけならば使い魔を先行させ、そこまで移動魔法を使って移動出来るが、ロドリーがいるので地道に馬で向かったのだ
アンディの前に乗っているロドリーはフレッドとアンディの使い魔を見て自分も鳥を出してみたいと言うので、馬を進めながらアンディはまず練習用の球体から始めた
「指先に集中して」
アンディがそう教えると、ロドリーは自分の人差し指を凝視して集中する
すると指先に赤い霧のような物が渦を巻く
「あっ!」
それを見たロドリーが嬉しくなって声を出した途端、赤い霧は消えてしまった
「あー」
集中が途中で途切れてしまったのだ
アンディはクスリと笑う
以前ヴィッキーが子供の頃は集中力が続かないので呪文を使うと言っていたがこの事か、とアンディは納得した
「もう一度
今度は集中を止めないでね」
「はい!」
二人は移動の間、ずっと練習をしていた
フレッドの使い魔が見付けた川に到着したので、その川辺で今夜は休む事にした
アンディはロドリーに馬の世話も教えた
馬から鞍を外し、手頃な枝に鞍を引っ掛ける
馬銜も外し、馬を川へ連れていき水を飲ませた
暑いので水浴びも兼ねて川の中まで連れて行く
十分に水を飲んだら、草の生えている木陰のある木の枝に繋いだ
フレッドは川に向かい、魔法を使って魚を追い込み捕まえる
アンディとロドリーは川に沿って群生している木々まで行き、焚き火に使えそうな折れた枝などを拾い集めた
木や枝を持ってフレッドの元へと戻り、焚き火の準備をする
するとフレッドが
「ロドリー、魔法で火を付けてみるかい?」
と聞いた
「そんな事も出来るんですか!?
やってみたいです!」
ロドリーは興味津々だ
フレッドがロドリーの背後に立ち、両肩に手を置く
「そうだなぁ
杖のような物があればイメージしやすいな」
フレッドがそう言うと、アンディは集めてきた木の中から小枝を見付けて持って来た
「これを使って」
そう言いかながら、小枝をロドリーに渡す
「ありがとうございます」
ロドリーはアンディから小枝を受け取ると、お礼を言った
「ではその杖で火を付ける場所を指して」
フレッドに言われて、ロドリーはその通りにする
「魔力を集めて、そしてそれを右腕に…右手に…人差し指に…」
フレッドは触れている両肩から、ロドリーの魔力の流れを感じ取りながら指示した
「よし、火を飛ばして」
フレッドに言われて、ロドリーは少し小枝を振った
「えいっ!」
すると小枝から火の塊が飛び出し、焚き火用に積まれた枝の山へ飛んでいく
ボッと火が付いた
「わぁっ!出来た!!」
ロドリーは嬉しくて飛び跳ねた
クルリと振り返りフレッドを見ると
「出来ました!」
と満面の笑みで叫んだ
「うん、上手く出来たね」
フレッドもロドリーの頭を撫でながら微笑んだ
その後はフレッドが捕まえた魚を焼き、3人は焚き火を囲んで眠った
♪♫♬ ♬♫♪
翌朝は早々にその場を後にした
念の為、焚き火の痕跡も消しておいた
フレッドは使い魔を先行させ、テネシーまでの道程と安全を確認しながら進んだ
ボルジアを出て一旦ホワイト帝国に入るが、すぐにライシャワー公国に入る
その日の夕方前にはテネシーに入った
小さな村なので、家は点在している
ロドリーの案内で家に向うが、途中ロドリーの知り合いに何度か会い
「ロドリー!」
「どこに行ってたの!?」
と声を掛けられた
ロドリーは「ただいま」と笑顔で返事をしていた
ロドリーの家に着き、アンディが馬から降りて、次にロドリーを降ろした
ロドリーは走って家に向う
「お父さん!
お母さん!!」
ロドリーは叫びながら走った
すると家のドアが荒々しく開き、父親らしき男性が飛び出して来た
「ロ、ロドリー!!」
男性は駆け出してロドリーを抱きしめた
母親らしき女性もすぐに家から飛び出すと、男性と共にロドリーを抱きしめた
「ロドリー!
あぁ!ロドリー!!本当にロドリーね!?」
女性は大泣きしている
ロドリーも泣いていた
フレッドとアンディは馬を引いて3人に近づいた
それに気付いた父親が顔を上げる
ロドリーが父親の視線の先にフレッド達が居る事に気付き
「助けてくれたんだよ」
と話した
「助けた?」
男性が怪訝な顔をする
フレッドは被っていたフードを脱いだ
「!!
フレデリック大公?」
男性は驚きながら聞いた
「奴隷市場に潜入していたら、ロドリーが捕まっていたんだ」
「奴隷市場!」
母親は両手で口を押さえて青ざめた
「フレデリック大公とアンディさまがボクに助けて下さったんだよ」
ロドリーがそう言うと、父親と母親はロドリーを抱きしめたまま
「ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
と何度もお礼を言った
フレッドは両親の側へ行くと
「いや、こんな事が起きてるなんて知らなくて…
ごめんね」
と誤った
「とんでもない!大公閣下!!
息子を救って頂き、本当に感謝致します」
と父親はフレッドの手を取って自分の額を付けた
♪♫♬ ♬♫♪
日も暮れ始めたので、今日はテネシーの領主の家に泊めてもらえる事になった
大きなテーブルにはフレッドとアンディ、そしてロドリーの父親とテネシーの領主が居る
更にその土地に根付く魔法使い、賢者も居た
ロドリーから聞いた経緯を話した後、フレッドが聞いた
「ロドリー以外に行方不明になっている子供はいないの?」
すると領主と賢者が顔を見合わせた
領主は
「実は…あと2人行方不明です
ですがこの2人は魔法使いではありません
皆、海で見掛けたのが最後だったので、波にさらわれたと思っていました」
と答えた
「普通の人か魔法使いかはわからないからね
手当たり次第、攫っているんだろうね」
フレッドが怒り気味に言う
「魔法使いを含ませた警備隊を派遣して、国境に近い村を守らせるよ
他の村でも行方不明者がいないか、帰ったら調べないと…」
フレッドは攫われた他の子供達の救出も考えなければならない
さて、どうしようかな…
フレッドは頭を悩ませた
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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