55話 闇市場
最近、ヴィッキーとアンディはフレッドの仕事を手伝っていた
ライシャワー公国に帰った翌日から早速、フレッドの仕事の山に手を付けた
スザンナはまだ手伝えないが、スザンナが加われば恐らくこの書類の山は凄まじい勢いでなくなるだろう
ギルバートもスザンナの介入を心待ちにしている
「奥様に早くこの山を崩して頂きたいです」
ギルバートがポツリと呟いた
「悪かったね、僕一人で崩せなくて」
フレッドはブスッとした
「貴方が逃げるからですよ」
「逃げなかったら他の事が出来ないだろう」
「それが悪循環を生んでいるんです!」
「僕が憤死するぞ」
2人はぎゃーぎゃー言い合っている
ヴィッキーとアンディは書類の整理をしながら黙って聞いていた
2人は言葉には出さないが、フレッドとギルのこのやり取りが仕事をためこむ要因なのではないだろうか?と思っていた
ふとヴィッキーがひとつの資料が気になった
「伯父さま、どうしてこんなに孤児院の詳細を管理なさってるの?」
ギルバートと言い合っていたフレッドがヴィッキーに聞かれ「ああ」とギルバートとのやり取りを止めた
「以前、子供を奴隷市場に売っていた孤児院があったんだよ
だから孤児院には毎月、子供の生活記録提出や出納のチェックなど厳しくしたんだ」
「奴隷市場なんてあるんですか」
アンディは驚いた
ホワイト帝国で皇子として生活し、また若いので政務にも関わっていなかったので、このような闇での事は全く知らなかった
ハッキリ言えば世間知らずなのだ
「子供は奴隷としてよく売られるよ
まして魔法使いだったら更に高値だ
ライシャワー公国に魔法使いを貸して欲しいとの要求はまだマトモな仕事だ
でも奴隷として闇で売られている魔法使いはどんな仕事をさせられてるのか、わかったもんじゃないよ」
フレッドは少々、怒っているようだ
「でも魔法を使えば逃げるなりやっつけたり出来るでしょ?
普通の人より魔法使いの方が絶対に有利よ?」
ヴィッキーが不思議に思い、フレッドに聞いた
「奴隷市場で売られている魔法使いは首と両手首、そして両足首にチョーカーのようなものが巻かれているんだけど、それが主人の持っている何かと繋がってて、反抗すると酷い苦痛を与えるようになっているらしいんだ」
「何かと?」
アンディが聞いた
「主人の持っている物なら何でもいいらしい
苦痛を発動させるスイッチの役割だから」
ヴィッキーは考えて
「それって…魔法ですよね?」
「そうだね」
フレッドが残念そうな顔で答えた
「魔法使いを奴隷として服従させる道工を、魔法使いが作っているんだ」
「どうしてそんな事…」
アンディはわからなかった
「きっと最初は大したキッカケじゃなかったんだろう
でもその道具を普通の人が手に入れてしまい、それを使ってまた同じ物を作らせて…そして今のように魔法使いを服従させ奴隷として売る商売が出来上がったんだと思うよ」
そんな商売が成り立っているなんて…
しかもフレッドが監視を強める前はもっと大勢が売られていたんだろう
アンディはふと、気になった
「ホワイト帝国で皇帝陛下と皇太子殿下に呪いを掛けた魔法使いも、奴隷という可能性があるのですか?」
だがフレッドは首を横に振った
「あれだけの呪いを使える魔法使いはそうそういない
かなりハイレベルな魔法使いなんだよ
そのレベルの魔法使いならば服従させる道具など簡単に壊せるよ」
そうなんだ
そういえば以前、デイヴとヴィッキーも呪いを使う魔法使いはとてもレベルが高いと言っていたな、とアンディは思い出した
「では呪いを掛けた魔法使いは独断でしたのでしょうか?」
フレッドはうーんと考えて
「いや、恐らくどこからかの依頼だろうね」
「そんな依頼が来るんですか?」
アンディは驚くと、ギルバートが数冊の資料をもって近づいて来た
ギルバートはアンディの前にある書類や資料をどかして、自分が持って来た資料を机に置くと
「これがライシャワー公国に来る正式依頼です
我々は依頼内容を見て、受ける受けないを決め、そして受けるならば誰を派遣するか決めます」
アンディはパラパラと資料をめくる
簡単な魔導具の製作や、病気の治療、更にはペット探しの依頼まである
「呪いの魔法いも?」
「稀に呪いも受けますが、ほんとに稀です
今回のような皇族を狙うような依頼ならば、絶対に受けません」
「…という事は、呪いを使った魔法使いはどこからか依頼を受けて勝手に動いた、という事ですか?」
「そうなるね」
フレッドがやれやれといった顔をした
「闇で奴隷市場があるように、依頼にも闇ルートがあるようだ
それはこれから調査しなければね」
魔法使いの長であるフレッドは、ライシャワー公国だけでなく魔法使いも見なくてはいけない
「でも伯父さまは魔法使いの長なんだから、ある程度は魔法使いを把握しているんでしょ?
ホワイト帝国で呪いを使った魔法使いに心当たりがないんですか?」
痛い所を突かれた
フレッドは心当たりどころか、接触もしている
「…そうだね
わかっているよ」
仕方なく白状した
「「わかってるんですか!?」」
ヴィッキーとアンディが同時に叫んだ
「何故、彼女があんな依頼を受けたのかはわからないけど…
ただ金欲しさで依頼を受けるような人ではないから、何か理由があったんだと思うよ
でも今は身を潜めているから見つけれないんだ」
フレッドは苦笑いをしながら答えた
アンディとヴィッキーは呆然とした
いつの間にかフレッドは呪いを掛けた魔法使いを特定していた
「女性なんですね?」
アンディが聞いた
ルシル嬢に成りすましていたのだから女性だろうとは思っていたが…
「そう、僕と同じ銀髪だ」
銀髪!
銀髪は魔力の強さの象徴だ
アンディが知る限り、銀髪は自分とフレッドとクラリッサだ
まだ魔法を学び始めて1年位の自分は置いといて、フレッドとクラリッサは魔法使いの中でも別格だ
その二人と同等な魔法使いという事になる
アンディもヴィッキーも言葉を失った
「そんな方が相手だったんですか?」
ヴィッキーが恐る恐る言った
話せば怖気づくと思い、黙ってたんだけどなぁ
フレッドは思った通りの反応を見せた二人の姿に、苦笑いをするしかなかった
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