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52話 夕食

ホワイト帝国の宮殿ではアンディやデイヴ達がレイモンド皇帝と共に夕食を取っていた


内々の食事会なので、レイモンドの娘のパトリシアもいる


上座にレイモンドが座り、レイモンドから見て右側にジェシカが座り、パトリシアの面倒を見ている


その横にはスザンナ前皇后、アンディと続いていた


左側はウィリアムズ一家が座っている


パトリシアの面倒を見るジェシカを見て、ほのぼのとした目で

「ジェシカさまとパトリシアさまは仲がよろしいのですね」

とヴィッキーが言った


「パット、ジェシカお姉さまが大好きです」

そう言うパトリシアの口元をジェシカがナプキンで拭いている


「ジェシカならばパットを任せられるわ

パットだけでなくレイモンド皇帝も、そして皇后の務めも十分果たせるでしょう」


レイモンドを10歳の時から手元で育て、パトリシアを孫のように可愛がっていたスザンナが言った


「もったいないお言葉です」

ジェシカはとても嬉しかったのか、満面の笑みでレイモンドを見た


レイモンドもそんなジェシカを見てニッコリと微笑む


あら、この二人はお互い想い合っているのね


ティファニーとヴィッキーは気付いたが、男性陣は気付いたかは怪しい


レイモンドは今年で30歳だ

当初からスザンナの推薦もあり、皇后はジェシカと言われていた


だがジェシカはまだ19歳だ

皇后は荷が重すぎる


レイモンドは結婚せずに独り身でいるつもりだった


だがジェシカは

「私がレイモンドさまをお手伝い出来るならば、させて下さい」

と言ったのだ


もともとジェシカに好意を持っていたレイモンドなので、その一言で結婚が決まった


娘のパトリシアもジェシカに懐いている事も要因のひとつだった


パトリシアは母親がジェシカより低い身分であった為に、今は内親王だ


もしレイモンドとジェシカの間に子供が生まれなければ、パトリシアが皇太子となる


身分を重視するホワイト帝国では、母親によって子供の身分も違うのだ


実際レイモンドも亡くなったジェイムズ皇太子の兄ではあるが、母親が第一皇妃だった為に王位継承権はジェイムズ、アンドレアスの次だった


「アンディ、ライシャワー公国はどうだい?」

レイモンドが聞いた


レイモンドとアンディはスザンナが育てたので兄弟のような間柄だ


「最近は海で波に乗るボードという遊びをよくします」

「遊びばかりでなく、学びを疎かにしないでね」

スザンナがピシャリと釘を刺した


「フレデリック大公に(しご)かれてますよ」

ただ最近はフレッドの仕事が忙しくて、魔法を見てもらえていなかった


そのお陰でボードをする時間があるのだが…


レイモンドにはアンディの出生や魔法使いである事、そして前皇帝と皇太子を死に追いやったのが魔法使いの呪いであった事も話してある


この中でその事実を知らないジェシカとパトリシアは『海』という単語に惹かれた


「パット、うみを見てみたいです」

「ええ、私も見てみたいわ」


二人がキラキラした目でお互いを見た


「ぜひお越し下さい

その時は私が泳ぎを教えますわ」

ヴィッキーが楽しそうに誘った


「泳ぐ!?」

パットは驚いている


「アンディも最初は全然泳げなかったよな」

デイヴが(からか)うようにアンディを見た


「今はそれなりに泳げるようになっただろ」

アンディはブスッとした顔だ


子供の頃からライシャワー公国に留学して当たり前のように泳げるデイヴとヴィッキーは、泳げなかったアンディが不思議だったのだ


「パットも泳いでみたいです!」

パトリシアは興味津々だ


反対にジェシカは怖気付いた

「私は見るだけで良いですわ」

「え〜ジェシカお姉さまも一緒に泳ぎましょう」


アヤカの脱獄があったが思いのほか楽しい夕食会になり、皆楽しい時間を過ごしたのだった


  ♪♫♬ ♬♫♪


アヤカは西の塔から脱獄後、馬車の椅子の下に作られた場所に身を潜め、首都を出た


息苦しい椅子の下から外に出れば、すっかり日が暮れていた


「今日はここで休む」

アヤカを連れ出した男は納屋のような小屋を指さした


「これから何処に向うの?」

アヤカが問うが、男はスタスタと小屋へと向かった


アヤカはため息をついて後に続いた


小屋に入ると藁の山があるだけだ

男は藁の山に身体を預けると持っていた袋からパンと干し肉と水の入った瓶を出し、アヤカに差し出した


アヤカは立ったままそれを見ていたが、多分何を言ってもムダだろうと思い、黙って受け取ると、男からは離れた藁の山に座った


西の塔で今朝、食事をしてから何も食べていなかったので、固いパンだが美味しく感じた


干し肉を食べ終わると脱獄した緊張と移動の疲れの為か、アヤカはすぐに眠ってしまった


男は鞘に入った剣を抱きかかえるよう持ち、何かあればすぐに対応出来るように座った態勢で眠った


翌朝からは馬車ではなく、馬での移動となった


アヤカを自分の前に乗せ、馬を進め、更に2日がすぎた


今日は町に入った

久しぶりに宿に泊まる事になり、アヤカは3日ぶりにお風呂に入れた


食事を部屋に運んでもらい、男と食事を取っていた


「もし何か聞かれたら、俺たちは夫婦で、俺の故郷のボルジアに向っていると言え」


アヤカは驚いた

「ボルジア!?

ホワイト帝国の隣国じゃない」


「そうだ

そこまで連れて行く」

男はぶどう酒をイッキ飲みした


久しぶりに水以外で美味しかったのだろう


「一体誰が私を助けたの?

ボルジアに知り合いなんていないわ」

「それは着いたらわかる」


きっと何も語るな、と言われているのだろう


アヤカは聞いても無駄な事は既に学習したので、それ以上は何も聞かずに黙って食事をした


今日は久しぶりにお風呂にも入れて、まともな食事も出来て、そして何よりベットで眠れる


アヤカはそれが何よりも嬉しかった



ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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