50話 新皇帝
アンディは魔法陣を使い、ホワイト帝国のウィリアムズ邸に来ていた
魔法陣を使うと魔法使いであるティファニーやデイヴやヴィッキーは気付くので、アンディがやって来るとデイヴとヴィッキーは出迎えに来てくれた
魔法陣のある地下から階段を上るとデイヴが立っている
「やあデイヴ、久しぶり」
アンディはニッコリ微笑んだ
「一人で魔法陣も使えるようになったか」
デイヴは満足気な顔だ
デイヴはウィリアムズ家を継ぐので、こちらで生活している
ヴィッキーがライシャワー家を継ぐ事になっているので、アンディもヴィッキーと一緒にライシャワー邸に住んでいる
なので今はデイヴとなかなか会う事がなかった
「ティファニー大公妃は?」
アンディが聞くと
「お母さまはお部屋にいらっしゃると思うけど…」
とヴィッキーが考えながら答えた
「ちょっと出掛けに変な事があったんだ
師匠からも注意するために、皆に話しておいて欲しいって言われてるんだ」
ヴィッキーとデイヴが顔を見合わせた
「変な事?」
「僕もよくわからなくて…
ティファニー大公妃にお会い出来るかな?」
「大丈夫だと思うわ」
ヴィッキーはそう言うと使い魔の鳩を出した
鳩はパタパタと飛んで行く
3人は一緒に歩き出した
最近、アンディの身長が伸びてデイヴと同じ位になってしまった
ヴィッキーも女性としては長身だが、デイヴとアンディに挟まれるとやはり小さく見えてしまう
「アンディ、背が伸びたな」
デイヴがアンディを繁々と見た
「そうかな?」
「伸びたわよ!」
ヴィッキーは身長が伸びた事に気付かないアンディが不思議だった
3人で話しをしながら廊下を歩いていると、ヴィッキーの鳩が戻って来た
そして3人を案内するように前を飛ぶ
3人は鳩について行くと中庭に連れて行かれた
中庭ではティファニーがベンチに座りお茶を飲んでいた
ティファニーはアンディに気が付くと
「あらアンディ、いらっしゃい」
と笑顔一杯で迎えてくれた
「ティファニー大公妃、お久しぶりです」
「もう!そんなに畏まらないでよ」
ティファニーはライシャワー公国出身なだけあり、明るく気さくだ
ティファニーは側にいた侍女に皆の分のお茶も準備させた
4人はテーブルの席に着くと、アンディが海であった亜空間での事を話した
「何だそれ?」
デイヴが訳がわからない、といった感じで言った
「僕だってわからないよ」
「誰かしら?
亜空間に人を勝手に移動させるなんて相当よ〜」
ティファニーは頬に手を当てて考えた
「誰かもわからないし、とにかく皆注意するようにって師匠が言ってた」
アンディはようやくお茶を飲み始めた
暑いライシャワー公国で生活していると冷たい飲み物ばかりなので、温かいお茶が久しぶりすぎて熱くてなかなか飲めなかったのだ
「そうね〜
考えてもわからないから、とりあえず注意しましょ」
この中で一番、注意しそうにないティファニーがそう言うと説得力がない
「アンディはこれから宮殿に行くのか?」
デイヴが侍女からお茶のお代わりをもらい、それを飲みながら聞いた
「うん
母上も宮殿にいるし、レイモンド皇帝陛下にもご挨拶しなきゃいけないから」
「スザンナさまはいつまで滞在するの?」
次はヴィッキーが聞いた
「ジェシカ嬢に皇后の仕事をいろいろと教えてるらしいから…
予定だとまだライシャワーには行けないかも」
スザンナは前皇帝と離婚した後、ホワイト帝国の実家に身を寄せていた
だがアンディの勧めでライシャワー大公、つまりフレッドと再婚する事になった
近々ライシャワー公国へ行く予定だったが予定が変わってしまった
前皇帝と皇太子の突然の崩御により、レイモンドは皇帝となってしまった
本来なら皇太子時代に結婚をして、皇太子妃となった女性は皇后からいろいろ学ぶ
だがレイモンドは皇太子でもなかったし妻にも先立たれていたので、皇帝となった今は自身も皇帝としての務めを学びつつ、本来皇后がする事も宰相であるジェフェリーと共にしているのだ
だがレイモンドは半年後に結婚する事になり、スザンナが新皇后に務めを教える為に、ホワイト帝国の宮殿に滞在して、ジェシカ嬢に教えているという訳だ
「ようやくお兄さまもスーも一緒になれるわね〜」
ずっと二人を見てきたティファニーは感慨深い
早くスザンナがライシャワー公国に行かないかと、ヤキモキしていた
「追悼の儀式の後、帰れそうなら一緒にライシャワー公国へ帰ります」
アンディの返事にティファニーは安心した
事実ジェシカ嬢はとても優秀だそうで、スザンナは思いのほか早くに行けるかもしれないと連絡していたのだ
♪♫♬ ♬♫♪
宮殿に到着したアンディは謁見の間でレイモンド皇帝と会っていた
「お久しぶりです、レイモンド皇帝陛下」
「遠い所からわざわざお越し頂き、ありがとうございます」
二人はスザンナが手元で育てたので、兄弟のような間柄だ
畏まっていると、何だか変な感じだ
レイモンドも同様のようで、玉座から立ち上がると、アンディの側までやって来た
「改まると変な感じですね
あちらでゆっくりしましょう」
と言うと、アンディを案内した
もともと何でも自分でやってしまうタイプのレイモンドだ
アンディを案内するのも自ら案内した
侍従たちは困っている
レイモンドが相変わらずなので、アンディは笑ってしまった
「お変わりないようですね」
「皇帝になったからといって、変わるものでもないですよ」
二人は歩きながら話しをした
謁見の間の隣の部屋に入ると豪華なテーブルや椅子がある
部屋自体もとても豪華だ
恐らく来賓の方と話しをする為の部屋なのだろう
アンディはこの宮殿に昨年まで住んでいたが政務に関わっていなかったので、迎賓館には始めて入る
こんな風になってたんだ、と住んでいた場所なのに驚いてたいた
椅子に座わりレイモンドが侍女に飲み物を頼む
それを見たアンディは
「良かった
レイモンド皇帝陛下は自分でお茶の準備をするかと、心配しました」
と笑いながら話し掛けた
レイモンドは
「私がして良いのならばしますよ
でもそれをすると周りの者が困るので…」
と残念そうだ
どうやら自分でやろうとした事があったようだ
相変わらずだなと思いながら、お互いの最近の生活ぶりを語り合った
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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