47話 後継者
フレッド達がホワイト帝国の宮殿に潜入した翌日
早々に登城したジェフェリーはスザンナと話しをした
スザンナは次の皇帝を指名した
第一皇妃の第一子であるレイモンドだ
レイモンドはジェイムズと違い、誠実で真面目だ
そしてスザンナを助け、政治にも精通している
皇帝と皇太子が突然の崩御となっても、多少混乱はするだろうがレイモンドなら大丈夫だ
ジェフェリーはレイモンドに自分の執務室へ来るようにと、使いを出した
そして閣議で皇帝と皇太子の事を公表しなければならない
まさか「呪われて」とも言えないので、やはり病気が妥当か
既に眠れずに悪夢を見る皇帝と、目が覚めれば狂ったようにアヤカを求めるジェイムズは医師が診ている
魔法を知らない人が見れば、二人は精神的な病だ
だがそんな病名は皇室の体裁が悪い
医師に突然亡くなってもおかしくないような病名を見繕わさなければ…と考えた
そこへドアがノックされ、レイモンドが入って来た
「ジェフェリー大公、お呼びですか?」
レイモンドがドアの前に立って、声を掛けた
「ああ、レイ
こっちに来て」
ジェフェリーとレイモンドは付き合いが長い
お互いにスザンナ皇后を助け、一緒に仕事をしてきた仲だ
レイモンドはジェフェリーのいる執務用の机の前に来た
「まず…今から話す事はまだ内密にね」
「はい」
「皇帝陛下と皇太子殿下はあまり長くない
じきお二人共、崩御される」
「えっ!!」
突然の話しだった
二人が病気だったとも聞いていない
自分がスザンナと共に宮殿を離れている間に何があったんだ?
レイモンドは混乱した
「何があったんですか!?」
ジェフェリーはため息を吐いて話し始めた
「僕が見た限り、お二人は精神的な病だ
皇帝陛下は悪夢にうなされ眠る事が出来ず、皇太子殿下はお食事を取ってくださらない」
「…そんな」
レイモンドは信じられなかった
「皇帝陛下は一睡も出来ていない
皇太子殿下は既に4日程、何も召し上がっていない
無理矢理、水を飲ませてはいるけど…
お年を考えると、皇帝陛下の方が先に崩御されるかもしれない」
レイモンドは冷や汗を流した
「スザンナ皇后陛下は?」
「スーは既に離婚が成立しているので、もう皇后ではない
この件に介入は出来ない」
レイモンドは青ざめた
全く執務をこなさない皇帝と皇太子だが、それでも二人が一度に亡くなるかもしれない
そしてこんな時なのに、頼りになるスザンナは何も出来ないのだ
「スーと相談をしてね
次の皇帝はレイモンドに決めたよ」
「えっ!!」
更に驚いた
「ま、待って下さい!
私ではなく、アンドレアス皇子がいらっしゃいます!」
「アンドレアス皇子は、実は皇族離脱を申請していてね
これも既に皇帝陛下から許可が出ている」
レイモンドは頭が真っ白になった
皇帝陛下と皇太子殿下が亡くなる…
そしてアンドレアス皇子は既に皇族から離脱していた
頼りになるスザンナ皇后は離婚されている
最悪の状態だ
レイモンドはパニックになり、何も考えれなくなった
ジェフェリーはレイモンドに申し訳なかった
突然、皇帝になれと言われたのだ
当然の反応だ
「レイ、大変だけど僕も協力するよ」
レイモンドは恐る恐るジェフェリーを見た
「………」
何か言おうとしているが、言葉が出て来ないようだ
「レイ!
忙しくなるよ!!」
ジェフェリーはレイモンドに言ったが、自分も鼓舞したのだ
すると目の焦点が合っていなかったレイモンドだが、目に光が戻って来た
「はい」
ジェフェリーとレイモンドはこれから訪れる波乱に立ち向かわねば、と決意した
♪♫♬ ♬♫♪
アンディの部屋にはデイブとヴィッキーが来ていた
正式に訪問するのは面倒だったので、移動魔法を使って来たのだ
「これから大変ね」
ヴィッキーがため息混じりで呟いた
「呪いの魔法使いに完璧にやられたな」
デイブは悔しそうだ
「これからどうするの?
師匠は呪いを使った魔法使いを捕まえるのかな?」
アンディがそう聞くと、デイブとヴィッキーは顔を見合わせた
「アンディ、それはそちら側の考えだ」
デイブが珍しく真面目な顔で話し始めた
「そちら側?」
アンディは意味がわからない
「魔法使いと一概に言うけど、魔法使いにもいろいろある」
「そうよ
魔法で人々の生活に役立つ物を作ったり、病気を治したり、占いをしたり…」
ヴィッキーの後に続いて、デイブも話す
「もし公国が攻め込まれれば防御する魔法も使うし、攻撃をする魔法も使う
人を殺す魔法や、そして呪いもだ」
アンディは黙って聞いていた
「魔法使いにとって『呪い』は他と同じなんだ
占いは良いけど呪いはダメ、とかじゃないんだ」
「そうなんだ…」
アンディにとって、自分は呪いを受ける側の人間だ
受ける側からすれば呪いは悪い物だけど、掛ける側からすれば他の魔法と同じなんだ
「もし誰が悪い、と言うならば、それは呪いを依頼した人間だよ」
デイブは諭すようにアンディに語った
「…そうだね
魔法使いにとっては、これは当たり前の事なんだ」
アンディは立場が変わると、今まで悪だと思っていた事が正義になり、正義だと思っていた事が悪になると気付かされた
「デイブの言う通り、追うなら魔法使いじゃなくて依頼した人物なんだ」
アンディは納得した
「でもその依頼した人物を探すには結局、呪いを掛けた魔法使いを探さなきゃならないんだけどな」
デイブがそう言うと、アンディはプッと笑った
「そうだね」
久しぶりに3人で笑った
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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