45話 悪夢
アヤカはジェフェリーやアンディやデイヴの反応に驚いた
「君にはこの小瓶の中身がマリンブルーに見えていたのかい?」
今度はジェフェリーが信じられないという感じで聞いた
「そうよ
これはルシルから貰った時からマリンブルーよ
…この人はマジシャン?」
アヤカはフレッドを指さしながら聞いた
まじしゃん?
アンディ達は聞いた事のない言葉に困惑した
フレッドはそこは無視して
やはりルシルか
と考えた
フレッドはこの小瓶の中身が呪いの掛かった物であろうと確信した
「君は幻を見せられていたんだよ」
「え?」
アヤカはまだ状況が理解出来なかった
フレッドは中身の入っている小瓶を取ると
「調べないとハッキリは言えないけど、呪いの掛かった物である事は間違いないだろう」
呪い?
惚れ薬ではなくて?
私はアイテムを間違えたの?
考えてみれば、ここは恐らくハードモードだ
そう簡単に最強アイテムの惚れ薬が手に入る訳がない
偽物を掴まされた!?
アヤカは血の気が引いた
「で、でも皇太子殿下は私を妃にすると言ってくれたわ
これが惚れ薬で、私に夢中だから…」
と言うと、フレッドは残念そうな顔をして
「さっきのあの状態が惚れ薬の効果だと?
僕達が止めなかったら、彼は死ぬまでやめなかったよ」
アヤカはゾッとした
確かにジェイムズの行動は異常だった
アヤカが青ざめているのを見て
「彼に飲ませたのはこれだけかい?」
フレッドはテーブルにバラ撒いた小瓶を見ながら聞いた
「…いえ、まだ…もっと飲ませてる」
アヤカの返事を聞き、フレッドはため息を吐いた
「とにかく君は彼の目に触れないように
彼は君を見たら襲いかかってくるよ」
アヤカは自身をギュッと抱きしめた
恐怖で寒気がした
アヤカを部屋に残し、フレッド達は部屋から出た
「フレッド、皇太子殿下は大丈夫だよね?」
ジェフェリーは何とか皇太子を止めれたので、間に合ったかと考えている
だがフレッドの考えは違った
「かなりの量を飲まされたみたいだし…
この呪いを調べてみないとハッキリは言えないけど、僕の魔力で呪いが解けなければ、呪いを掛けた魔法使いに解かせるしかないね」
デイブは恐らく呪いを掛けた魔法使いでなくてはもう解けない所まで来ていると気付いていた
だがアンディにとって、あの皇太子とは血の繋りはなくあまり良い兄ではないが、それでも兄上と呼んでいた人間だ
アンディの前で手遅れだとは言えないのだろうと考えた
アンディも青ざめていた
これが呪い…
アンディもジェフェリー同様、何とか間に合ったと考えていたが、それでも人をじわりじわりと苦しめる呪いが恐ろしくなった
「ルシルに成りすましていた魔法使いの狙いは皇太子殿下だったという事でしょうか?」
デイブがフレッドに聞いた
「いや…恐らく…」
と言い切る前に
「ジェフ、とにかく皇帝を調べよう」
と言うとジェフェリーもハッとした
「そうだね、行こう」
ジェフェリーは足早に歩き出し、フレッドとデイブとアンディも続いた
♪♫♬ ♬♫♪
皇帝は大きなベットで一人で眠っていた
今まで常に女達を侍らしていたので静かだ
何故、自分は一人なんだ?
ふと皇帝は不思議になった
目を開けると、ムクリと起き上がる
すると枕元に一人の女性が立っていた
「お前は…第一皇妃」
皇帝がそう呼びかけた
第一皇妃と呼ばれた女性は皇帝に近づくと
『私を皇后にするとお約束したではありませんか
何故、お約束を守って下さらなかったのですか?』
と両手で皇帝の頬を包み込みながら聞いた
「お前の後ろ盾は弱い
無理だったのだ」
『それがわかっていて私を騙していたのか!?』
第一皇妃の顔が豹変した
恐ろしいくらいの怒りの表情になった
皇帝は恐ろしくなり、大きなベットの上でズリズリと後退りした
すると今度は後ろから
『お前が私を無理やり手籠にしたせいで、私は夫に殺された』
血だらけの女が皇帝の後ろにいた
「ひいっ!」
皇帝は血だらけの女に驚き、よつん這いでベットから逃れようとした
すると今度は目の前に別の女が恐ろしい形相で待ち構えていた
『貴様に汚された
貴様の勝手な欲望で私は狂わされた!』
「ひぃぃ!」
皇帝は腰が抜けたように立てなくなった
辺を見渡すと、女は他にも大勢いる
皆、恐ろしい形相で睨んでそれぞれ何か言っていた
「た、助けてくれっ」
皇帝が頭をか抱えた時に
「皇帝陛下!」
とジェフェリーが皇帝の肩を抱いた
皇帝はジェフェリーの声を聞き顔を上げると、ジェフェリーにすがりつきながら叫んだ
「ジェフェリー!
この者達を殺せ!!」
「えっ?」
ここには皇帝とジェフェリーしかいない
ドアの入口にフレッドとアンディとデイブはいるが、皇帝は明らかに違う方を指さしている
「な、何をしている!
早くしろ!!」
ジェフェリーは何が何だかわからず、フレッドを見た
フレッドは首を横に振った
♪♫♬ ♬♫♪
皇帝は寝室から出て明るい部屋に来ると落ち着いた
だがソファに座りウトウトし始めると、また同じように怯え逃げ惑う
その様子を見ていたフレッドは顔を歪めた
完敗だった
呪いを掛けた魔法使いはこちらの先手先手を打ってくる
そして既に姿をくらましていた
フレッドの魔力でも二人に掛けられた呪いはもうどうにも出来ない状態だった
ジェフェリーはフレッドに近づくと
「フレッド、皇帝陛下はどうなるんだ?」
と青ざめて聞いた
「眠ろうとすると悪夢を見る
そして眠れずに、どんどん衰弱して…」
とまで答えると、黙ってしまった
アンディは信じられなかった
皇帝陛下がこのまま呪いで衰弱死するのを見ているしかないのか?
改めて呪いの恐ろしさを思い知った
「師匠…何とかならないのですか?」
アンディはすがるようにフレッドを見た
フレッドはアヤカの部屋から押収した小瓶を見て
「希望は少ないけど、これをすぐに調べよう
調べたら何か痕跡が辿れるかもしれない」
だがフレッドはわかっていた
呪いを掛けた魔法使いは完璧だ
これを調べても何も分からないようになっているだろう
重苦しい空気だけが辺りを包んだ
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします
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