41話 集結
皇帝が皇后と離婚すると言い出して1日が過ぎていた
ホワイト帝国の首都から離れた離宮の執務室でスザンナ皇后は、ジェフェリーからの手紙を読んでいる
早馬によって届けられた手紙だ
何かあった事は間違いない
「よくない知らせですか?」
手紙を読み終えたスザンナにレイモンドは心配そうな顔で聞いた
スザンナは手紙をレイモンドに渡すと、レイモンドはすぐに手紙に目を通した
「…離婚?」
レイモンドは驚いた
スザンナは指で米噛みを押さえながら
「何を考えてるのかしらね」
とため息混じりで呟いた
「とにかくすぐに宮殿へ戻る準備をして」
「はい」
レイモンドはすぐに執務室を出ると、まずは自分の部屋に向かった
部屋に入ると娘のパトリシアは長椅子に座って、ジェシカに本を読んでもらっていた
「パパ!」
レイモンドに気付いて、パトリシアは走って抱きつく
レイモンドはパトリシアを抱き上げると
「パット、すぐにお家に帰る事になってしまったよ」
「えっ?」
パトリシアはキョトンとしている
ジェシカはレイモンドに近寄り
「宮殿に帰るのですか?」
と聞いてきた
「はい
先程、ウィリアムズ大公から至急の案件で手紙が届きました
準備が出来しだい、帰ります」
レイモンドとジェシカの話しを聞いていたパトリシアはようやく理解した
「やだ!パットはまだジェシカお姉ちゃまとここにいるの!!」
「ごめんよ、パット
またいずれ来ようね」
レイモンドにそう言われ、パトリシアはポロポロ泣き出した
「やだ~
パットはジェシカお姉ちゃまといたいの〜」
「ごめんよ、ごめんね」
レイモンドは大泣きするパトリシアの背中をポンポン叩いてなだめた
そんな二人を見ていたジェシカは意を決してレイモンドに話しかけた
「レイモンドさま
至急、帰らなくてはならないのですか?」
「はい、そうです」
レイモンドは大泣きしているパトリシアをなだめながら返事をした
「では私がここでの後始末をして帰りますので、皇后陛下とレイモンドさまは先にお帰り下さい
パトリシアさまも私が責任を持ってお連れ致します」
レイモンドは驚いた
だが確かに後の事をジェシカに任せれば、皇后はすぐにでも出発出来る
ジェシカはレイモンドに抱かれているパトリシアに近づくと
「パトリシア、私と一緒にお祖母様とお父様をお見送りして、お片付けを済ませたら一緒に帰りましょう?」
と優しく話し掛けた
パトリシアはぐすぐす泣きながら
「ジェシカお姉ちゃまとまだ一緒に居られるの?」
と聞くので
「そうよ
それに帰っても私は宮殿に居るからいつでも会えるわよ」
ジェシカはニッコリ微笑みながら両手を差し出すと、パトリシアはジェシカの方に身体を預けた
「どうぞ、レイモンドさま
後はお任せ下さい」
ジェシカはキリッとした顔つきでレイモンドに告げた
「……
ありがとうございます
離宮の者達には、ジェシカ嬢の指示に従うよう言いつけておきます
後をよろしくお願いします」
ジェシカはニッコリ微笑む
「はい、お任せ下さい
レイモンドさまもお気をつけて下さい」
レイモンドはパトリシアのおでこにキスをする
そしてジェシカごと抱きしめた
それは一瞬だった
「じゃあパット、いい子にしてるんだよ」
そう言うと、踵を返し部屋から出て行った
ジェシカは何が起きたかわからずぼーっと立っていたが、レイモンドが部屋から出るとようやく我に返り、顔が赤くなってしまった
♪♫♬ ♪♫♬
ウィリアムズ大公の屋敷にはフレッドとデイヴとヴィッキー、そしてアンディも居た
ジェフェリーとティファニーも交えて広いテーブルに地図を広げて、皆立ったままその地図を見ていた
「ここがネルソン伯爵の屋敷だ」
ジェフが地図の一点を指し示した
フレッド達が来てすぐに、ネルソン伯爵の屋敷に魔法の結界のようなものがあると話したからだ
フレッドは少し考えて
「見に行ってみようか」
と言うと、肩に鳩が現れた
「デイヴ、アンディ
君たちも付いておいで」
「「はい」」
デイヴとアンディが返事をすると、フレッドと同じように肩に鳩の使い魔を出した
三羽はパタパタと飛び立つと、壁をすり抜けて飛んで行ってしまった
ネルソン邸はウィリアムズ邸とは同じ首都にあるので、鳩はすぐにネルソン邸の上空に着いた
屋敷の上空を三羽で旋回してから屋敷近くの木を留まり、屋敷を見つめた
「本当だ
結界が貼られているね」
フレッドは椅子に座りながら、顎に手を当てて考える
「デイヴ、アンディ
結界がわかるかい?」
「はい、わかります」
デイヴはそう答えたがアンディは
「僕は何か薄い膜があるように見えます
これが結界ですか?」
と聞いた
「そうだよ
さて、どうしようかな
これに触れると、結界を張った魔法使いには気付かれてしまうな」
出来れば結界を張った魔法使いには気付かれたくない
フレッドはうーんと考えた
「それじゃあ、私が正面からルシル嬢を訪問するのはどう?」
ヴィッキーが手を上げて提案した
「ダメだよ、ルシル嬢は妃候補としてと後宮にいるんだ
訪問する理由がないよ」
ジェフが残念そうな顔で言った
「ライシャワー公国にいたから知らなかったとか、適当に言い訳すればいいわよ
中に入ればもちろんいいけど、入れなくても少しは様子が見れるわ」
「そうだね…」
フレッドは考えてから
「ではヴィッキーとデイヴに訪問してもらおう
私とアンディは外で見ているよ
何か異変があれば、私も屋敷に突入しよう」
「えっ…ヴィッキー、大丈夫なのかい?」
この中で唯一、魔法使いではないジェフェリーが心配した
「大丈夫よ!
デイヴもいるし、いざとなったら結界を破って移動魔法で逃げるから!」
「そうなのかい?」
ジェフェリーはそれでもまだ心配だ
ティファニーをチラリと見る
それに気付いたティファニーは
「デイヴもヴィッキーも大丈夫よ」
と太鼓判を押した
ジェフェリーは諦めて
「わかったよ
でもくれぐれも無茶はしないでくれよ」
とヴィッキーに甘えたい仔犬のような目つきですがった
「もう!心配しないで、お父さま
それじゃあ、訪問の準備をしてくるわね」
ヴィッキーはそう言うと部屋から出て行った
フレッドはアンディを見ると
「何かあったらここから一気に使い魔の所まで移動するよ
出来るね?」
と聞いた
「はい」
アンディには初めての体験だ
いつもは庭園で見える場所への移動だった
しかも距離も短い
だが今回はかなりの距離だ
ただ幸いなのは使い魔を送っているので、使い魔目指して移動すれば良いのだから、既に道は出来上がっている
さほど難しくないはない
これが実戦…
アンディは胸がドキドキして、その音が周りの人に聞こえないか心配だった
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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