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39話 呪い

アンディとヴィッキーはデイヴも連れて、フレッドの執務室に来ていた


執務室に来る途中でデイヴに会い、デイヴは訳も解らずに一緒に連れて来られたのだ


アンディとヴィッキーは、お茶会での呪いは魔法使いの誘導作戦だったのではないか?と推察した事を話した


「その可能性はあるね」

話しを聞いて、フレッドが答えた


「呪いはね、時間がかかるんだ

呪いの準備をしたり、何度も繰り返し呪いを掛けたり…

色々な方法がある


だけど僕たちが皇后や皇妃達に気を取られている隙に、本来のターゲットに呪いを掛けていたのか、準備していた可能性もあるね」


「やはり狙いは皇帝陛下でしょうか?」

アンディが聞いた


「皇后のお茶会を狙ったんだ

それが目眩ましだとすれば、狙いは皇后より位の上の者…つまり皇帝となるね」


アンディはわからなかった


「ホワイト帝国は事実上、母上…皇后陛下とウィリアムズ大公によって成り立っています


皇帝陛下を狙う意味がわかりません」


「そういう事を知らないとか?」

ヴィッキーが言った

事実、デイヴやヴィッキーもホワイト帝国に帰って来るまでは、普通に皇帝が務めを果たしているものと思っていた


「そうなると、魔法使いに依頼したのはホワイト帝国の人間ではなく、他の国の人間かもしれないね」

フレッドが考えながら答えた


「とにかく一度、ホワイト帝国に行った方が良さそうだ」

フレッドが椅子から立ち上がると、アンディは意を決したように顔を上げた


「僕も一緒に行ってはダメですか?」


アンディの一言にフレッドとヴィッキーは驚いた


「呪いを扱う魔法使いはかなりの手練だ

アンディにはまだ危険だ」

デイヴが止めた


「でも…」

「だけど俺が一緒なら、大丈夫じゃね?」

デイヴが親指で自分を指して、ビシッ!とキメた


「ダメよ!呪いを掛けられたらどうするのよ!?」

ヴィッキーは反対した


だがフレッドはいずれアンディは魔法使いの長にならなくてはいけないと考えている


呪いの魔法も見せるべきだと考えた


「いいよ、一緒に行こう

でも絶対に僕やデイヴから離れないようにね」

フレッドが許可してくれた


「伯父さま!」

ヴィッキーはフレッドに駆け寄った

フレッドはヴィッキーを見ると

「大丈夫だよ

呪いを使う魔法使いはそれを生業にしている

だから僕達に呪いを掛ける事はまずないよ」


「でも…」

それでもヴィッキーはまだ心配げだ

アンディはそんなヴィッキーに近寄ると


「無茶はしないよ

それに師匠とデイヴもいる」

「…うん」


ヴィッキーはようやく納得してくれた


「じゃあ、すぐにティフに使い魔を送って、ジェフと日時を決めようか」

フレッドはそう言うと左手を伸ばした


するとフレッドの左腕に見たこともない、美しく大きな鳥が表れた


全体的にはクリーム色をしていて、先端に行けば行くほど濃くなっている

尾は長く床まで届いていた

羽根を広げれば優に2mはありそうだ


「この鳥は?見たこともない鳥です」

アンディが鳥の美しさに見惚れながら聞いた


「僕が創造した鳥だよ」

「実在しない物も創れるんですか?」

「創れるが、やはり実在している物の方が創りやすいんだよ」


「こんな事が出来るのは伯父上とクラリスさまだけだよ」

デイヴがアンディの肩をポンポンと叩いた


いつか自分もこんな美しい鳥を創ってみたい

アンディはフレッドの使い魔に一目惚れしてしまった


  ♪♫♬ ♬♫♪


ホワイト帝国では皇帝が体調を崩し一時騒然となったが、今は落ち着いていた


皇帝も少し休めば元通りとなり、医師達もどこも悪くないと口を揃えて言った


ジェフェリーも医師からの説明を聞き、一旦屋敷へ帰って来た


今度は今までの経緯をスザンナに報告しなければならない


スザンナが今いる療養先の離宮は馬車で半日以上かかる


既に夜も更けているので出発するなら明日の朝だ


だが今は魔法使いの尻尾を掴んだところなので、時間が惜しいし首都を離れたくはない


ここはティファニーに頼もうか、と考えていた


急いでティファニーに話しをして、スザンナ皇后へ使い魔を送ってもらわねば


ジェフェリーはそう決めると、足早にティファニーの私室へと向かった


  ♪♫♬ ♬♫♪


皇帝は広い部屋の中央にある大きなベットで、今日は一人で眠っていた


今朝からの体調不良は良くなったが、大事をとって今日は1人ゆっくりと休むよう、医師から言われたからだ


ふと、目が覚めた

何気無く、暗い部屋を見渡すと部屋の隅に誰か立っていた


「誰だ?ジェフェリーか?」

皇帝がそう声を掛けると、ゆっくりと歩き出し皇帝に近づいて来た


自分の枕元まで来ると、窓から差す月明かりで顔が見えた


まだ若い娘だ

見た事がある

誰だったか?

皇帝は考えたが思い出せなかった


「誰だ?」

「ルシル・アン・ネルソンです」


皇帝の枕元に表れたルシルはニッコリ微笑んだ


皇帝は身体を起こそうとしたが動かない


「正確にはルシル・アン・ネルソンの姿を借りていた者です」

ルシルがそう言うと、ルシル自身がゆらりと揺らぎ、先程までとは全く違う姿になった


真っ黒な髪が長い女だ

黒い服を着ているので部屋の暗さに溶け込んでいるが、唇だけが真っ赤でそれが浮き立って見えた


皇帝は声を上げようとするが、声が出ない

身体も全く動かなかった


女は手のひらを上に向けると、掌に黒い球体が現れた

その黒い球体はどんどん大きくなる


皇帝は汗を流しながらその光景を見ていた


「これは、お前によって苦しめられた者達の怨念だ」

女はニヤリと笑いながら説明した


球体は皇帝が見ても禍々しさがわかる


「私がこの宮殿に来て数ヶ月だけど、それでもこんなに集まったわ」

女は球体を見つめる

球体は女の身長の半分くらいの大きさになっていた


「時間があればもっともっと集まったでしょうね

でもこれだけでも十分」


女はそう言うと球体から皇帝に目を移した


「お前はこの怨念を受けて、呪われて死んでいく


ただ死ぬ前にお前は、お前に関わる全ての人間を開放しなければならない

そして一人寂しく死んでいくの」


皇帝は目を見開き、何とか人を呼ぼうとするが、声を出す事も動く事も出来ない

ただ汗だけが流れる


「それじゃ、さようなら」

女はそう言うと球体が浮かんでいる手を振りかざし、皇帝の顔目掛けて球体を押し付けた


「うわぁぁぁ!!」

皇帝は叫びながら飛び起きた


体中、汗びっしょりだ

慌てて部屋を見渡すが誰もいない


ドアがノックされ、ドアの向こうから

「皇帝陛下、いかがいたしました!?」

と声がした


夢だったのか?

…どんな夢を見た?

思い出せないが、とにかく凄い恐怖だった


「皇帝陛下?」

更にドアの向こうから声がする


「大事ない、嫌な夢を見ただけだ

水を頼む」

「畏まりました」


そう言うとドアの向こうでカチャカチャと音がする


恐ろしい夢だったが、夢で良かった


皇帝は額に手を当てて、大きく息を吐き安堵した


そんな皇帝を窓の向こう側に見える別の建物の屋根から見ている人影があった


先程の女だ


「フレデリック大公かクラリッサが出張る前に姿を隠さねばならないのよ

お前とジェイムズが呪われながら死ぬのが見れなくて残念だわ」


皇帝に聞こえる訳ではないが、女は笑いながら言った


…さて

フレッドが来る可能性が高いかしら?

ここに辿り着くまで回り道も用意したから、身を隠す時間は十分あるわね


女はそう考えながら真っ暗な空を見上げると、フッと消えてしまった





ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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