38話 異変
ジェフェリーは謁見の間で皇帝に会っていた
デイヴの結婚の許可をもらう為だ
「ホワイト帝国とライシャワー公国の繋りを強固なものとする為にも、良い話しだ
問題はない」
皇帝はあっさり承諾した
と言うか、この皇帝は仕事は全てジェフェリーに丸投げなので、ジェフェリーが決めた事に異を唱える事はほとんどない
「ありがとうございます」
ジェフェリーは一礼した
顔を上げると、皇帝は席を立ちジェフェリーに近づいて来た
顔色が良くない
「陛下、お疲れなのでは?」
ジェフェリーが心配げに聞いた
皇帝は弟であるジェフェリーの肩に手を置いて
「うむ…
今朝から体調が思わしくなくてな
すまんが、休ませてもらうぞ」
「はい」
ジェフェリーは皇帝を支えた
「衛兵!」
ジェフェリーが呼ぶと、衛兵が数名近づいて来た
「陛下を寝室へ
それと宮廷医を招集しろ」
「はっ」
ジェフェリーが指示を出すと、衛兵はテキパキと対応した
♪♫♬ ♬♫♪
カーテンを締め切った部屋で、昨晩皇帝の部屋に侵入した黒髪の女性が椅子に座って考え込んでいた
計画はアヤカを利用する事で、短縮出来た
だがネルソン伯爵邸に探りを入れられた
自分を探っているのは、恐らくウィリアムズ大公だろう
ウィリアムズ大公の妻であるティファニー公女の姿をお茶会で見掛けた
ティファニー公女ならば、魔法が使われた事に気付くだろう
だが問題はなかった
自分を特定まで出来ないのは、わかっていたからだ
ネルソン邸に探りを入れられたのは、予想より早かった
これでフレデリック大公かクラリッサが呼ばれれば、自分の存在は明白となってしまうだろう
更に計画を早めるしかない
女性は立ち上がると
「さて…どうしようかしらね」
と呟くとニヤリと笑った
♪♫♬ ♬♫♪
アヤカの部屋の前には騎士が立っていた
ジェイムズ皇太子がずっとアヤカの部屋に滞在しているのだ
そこへジェイムズ皇太子の補佐官であるケントが訪れた
ドアの前に立つ騎士に
「殿下にお取次ぎを
大至急だ」
だが騎士は困った顔をして
「誰も取り次ぐなと言われています」
と答えた
だが事は急を要する
皇帝陛下が体調を崩されたのだから、皇太子であるジェイムズに報告し、ことによっては皇帝代理を務めなくてはならなくなる
「緊急だ」
「しかし…」
騎士は命令されているのだから、この対応はわかる
ならば自分が動くしかない
ケントはそう判断すると、ドアをノックして
「皇太子殿下、至急の要件です
入ります」
と告げてドアを開けた
部屋には誰もいない
となると、隣の寝室だな
ケントはズカズカと寝室に向かって歩き出した
ドアを開けようとノブに手を置くと、中から女性の喘ぎ声が聞こえる
またか…
ケントはため息を吐いた
さすがに最中に部屋に踏み込む事は出来ない
しばらく待つしかなかった
部屋の中では、アヤカとジェイムズが交わっていた
日に日にアヤカを求める回数が増えてる
また絶頂に達しても、ジェイムズはすぐにアヤカを求める
これも薬のせいか?とアヤカは考えていた
だがそのお蔭で、ジェイムズはほぼアヤカの言いなりだ
ジェイムズは夢中でアヤカを抱く
激しく、何度も
そんなジェイムズにアヤカも常に惚れ薬の入った飲み物を飲ませていた
飲ませるチャンスがあれば何度でも飲ませるように教えられていたからだ
ルシルの事を信用しきっているアヤカは、ジェイムズの様子がおかしい事に気付きもしなかった
♪♫♬ ♬♫♪
ライシャワー公国ではアンディが練習として、使い魔をクラリッサに向けて放ったところだった
念のためヴィッキーも隼を一緒に飛ばす
二羽は仲良く飛び去って行った
「街の外れだけど、今のアンディなら大丈夫と思うわ」
テラスで遠のいていく二羽を眺めながらヴィッキーが言った
風が強いのでヴィッキーの長い金髪がなびいている
ヴィッキーは乱れた髪を手で押さえていた
「ヴィッキー達は呪いとか使えるの?」
アンディの問にヴィッキーはニッコリ笑いながら
「呪いは特殊だから、得意とする人以外は殆ど使えないわ」
「そうなの?」
「呪いが誰にでも簡単に扱えたら、魔法使いの思いのままの世界になってるわよ」
ヴィッキーが悪戯っぽく笑った
「逆に言えば、誰にでも簡単に扱えない魔法なんだ?」
「そうよ
かなりハイレベルな魔法使いになるわ」
アンディは考えて
「じゃあ、お茶会で呪いを使った魔法使いは相当な手練という事だね」
「そうね
あの場には私もお母さまも居たけど、魔法使いの存在には気付かなかったわ」
アンディは魔法を使うようになって最近わかってきたが、魔法使いが魔法を使う時は、すぐに気がつく
それを隠して魔法を使っていたなら、本当にかなりの手練だろう
一体、何が狙いだったんだ?
「どんな呪いだったの?」
アンディが更に聞いた
「軽く体調を崩すような、そんな系統の呪いだったわ」
「そんな手練な魔法使いが軽い魔法を?」
確かに変だ
ヴィッキーもそう考えた
呪いを請け負っている魔法使いならば、もっと強力な呪いを使えたはずだ
「…狙いはあのお茶会に出席していた方々ではない?」
ヴィッキーが呟いた
アンディもそう考えた
そっちに気を取られているスキに本命を狙った?
アンディとヴィッキーの視線が合った
同じ事を考えていた
「叔父さまに話しましょ!」
「うん」
アンディとヴィッキーはテラスを後にした
鷹と隼はそれでもちゃんとクラリッサの屋敷に着いたのだった
ご精読、ありがとうございます
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