37話 報告
ライシャワー大公邸ではミッチェル侯爵夫妻とソフィアを招いて晩餐会を開いていた
ジェフェリーはミッチェル侯爵夫妻に
「明日、ホワイト帝国に帰ったら、すぐに皇帝陛下に結婚の許可を頂いて来ます」
と告げた
「よろしくお願いします」
ミッチェル侯爵がそう言うと、夫妻はナイフとフォークを置き、ジェフェリーに礼をした
ティファニーはソフィアを見ると
「向こうには私も居るから、安心してね」
と微笑んだ
するとソフィアも
「よろしくお願いします」
と頭を下げた
ソフィアの婚約の許可は既にフレッドが出しているので、後はデイヴの許可がでれば、晴れて2人は正式に婚約者となる
アンディはホワイト帝国の皇室を出るつもりなので、このような面倒な手続きは取らずに済む
ヴィッキーも堅苦しい事は苦手なので、その方が気が楽だった
晩餐は和やかに進み、夜は更けていった
♪♫♬ ♬♫♪
ミッチェル侯爵一家が帰った後は、皆で今後の相談をした
まずスザンナが宮殿に帰るのを延期するので、アンディもそれに合わせてまだライシャワー公国に滞在出来る
そしてスザンナが宮殿に帰る時にアンディも一旦は宮殿に帰り、正式に皇族から離脱する手続きを取る
その際、あくまでもアンディは第二皇子としてであり、フレッドの息子である事は秘密にする
ここまで打ち合わせをして、ジェフェリーはフレッドを見た
「フレッド、以前話したお茶会での呪いの件だが…」
「ああ
僕も魔法使い全てを把握している訳ではないから…」
と前置きして、話し始めた
「呪いを得意とする魔法使いは数名、把握出来ている
その中で消息不明なのは2名だ」
2名まで絞れた!
だがその2名もただ呪いが得意というだけで、ホワイト帝国で呪いを使ったという訳でもない
「この2人は呪いを請け負う仕事をしている
可能性はあるね」
フレッドが続けた
「呪いの請負人か
どこにいるかは探せないのかい?」
ジェフェリーは顎に手を当ててフレッドに聞いた
「かなりハイレベルな魔法使いだから難しいね
今度、僕がホワイト帝国に潜入して探った方が早いと思うよ」
流石!としか言いようがない
フレッドは自分が現地に行けば、何かしら痕跡を見つけれると確信しているようだ
ティファニーもハイレベルな魔法使いではあるが、フレッド程ではない
魔法を感じる事は出来るが、その魔法の出処や、魔法使いの居場所まで特定は出来ないのだ
この2人から見れば、デイヴもヴィッキーもまだまだひよっ子だ
もしかしたら、自分は卵かもしれないとアンディは考えてしまった
♪♫♬ ♬♫♪
翌日、ジェフェリーとティファニーは早々にホワイト帝国へ帰って来た
魔法陣のある地下から1階へ上がると、かなり年配の執事が待ち構えていた
「ベス、まさか一晩中ここにいたんじゃないだろうね?」
冗談ではなく、本気でジェフェリーは聞いた
「お帰りなさいませ
いえ、今朝からです」
それでもかなりの時間、ここで待機していた事になる
「ベス、お前ももう年なんだから、そんなに無理しなくでくれよ」
「無理と判断しましたら息子に任せますので、ご心配なさらずに
旦那様、お手紙が何通か届いております」
ベスはジェフェリーが子供の頃から侍従として側で仕えていた
結婚をして臣籍降下する時もジェフェリーに付いて来たので、ジェフェリーの信頼も厚い
そしてベスの息子も執事として、デイヴに仕えている
ベスの妻は主席侍女で、ティファニーに仕えている
一家でこのウィリアムズ家に仕えているので、この魔法陣の事も知っているのだ
ベスはジェフェリーとティファニーの前を歩いている
「ベス、デイヴが結婚する事になったよ
皇帝陛下にお許しを頂きに行くから、準備して」
「若君さまがご結婚ですか!?
それはおめでとうございます!」
ベスは足を止めると、振り返りそう言う
凄く喜んでいるのが、よくわかった
ベスにしてみれば曾孫…とまではいかないが、産まれた時から仕えているとデイヴィットだ
結婚する事はとても嬉しかった
ティファニーは途中でベスの妻に伴われ私室へと向かい、ジェフェリーはまず手紙に目を通す為に執務室へとやって来た
執務室の机の椅子に座ると、ベスはトレイに何通かの手紙を載せて持って来た
ジェフェリーは差出人を確認すると、中にエマ・ケイト・トンプソン令嬢からの手紙がある
すぐに封を切って中を確認する
報告したい事があるので、お時間をとって頂きたい
と短く書いてあった
何かしらまた進展があったのかもしれない
どうせ登城してもすぐには皇帝に会えないのだから、先にエマの話しを聞こうと、ジェフェリーは返事を書き始めた
♪♫♬ ♬♫♪
宮殿の宰相の執務室へエマがやって来た
エマはジェフェリーの机の前に立つと報告を始めた
「アヤカさまは、単独で襲撃依頼したようです
デニス伯爵は関係ないようです」
「そうですか
では襲撃事件の方はほぼ解決ですね」
男達を依頼した侍女も捕えているので、こちらの件は決着が付きそうだ
「そして最近、アヤカさまに接触しているルシルさまですが…」
エマが一呼吸置いてから、話しを続けた
「ルシルさまのご実家であるネルソン邸は魔法で結界のようなものが張られている為に、調査出来ませんでした」
「魔法!?」
ジェフェリーもエマと同じ考えを巡らせた
ここで繋がった!
「ルシルさまはお茶会に出席されています
ルシルさまの侍女に扮した魔法使いが居たと考えてもよろしいかと存じます」
確かにそれが一番可能性が高い
魔法使いと接点のないホワイト帝国の人間で、魔法によって屋敷を守らせている
その家の娘が出席したお茶会で魔法が使われたとなれば、それはルシルが誘導したと考えるのが妥当だろう
「ただネルソン邸への侵入に失敗しましたので、向こうの魔法使いにネルソン伯爵が探られている事を気付かれたと思われます」
「そうですね」
ジェフェリーは考え混んでしまった
やはり一度フレッドに来てもらうのが良いかもしれない
「魔法使いを頼んで、ネルソン伯爵を探ろうか
これは私の方で手配出来るので、エマ嬢はルシル嬢を更に探ってもらえますか?」
「大丈夫です、お任せ下さい」
ようやく糸口が見えた
トンプソン辺境伯の介入で、今まで何もわからなかったのに、急に動き出したのだ
トンプソン辺境伯に依頼したスザンナ皇后の人選も素晴らしい
ジェフェリーはエマを見ると
「よろしくお願いしますよ」
と力強く言うのだった
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いします!
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