31話 接触
クラリッサはアンディの不思議そうな顔を見て
「何度か妖精がお前に接触しているね
まだこの現実の世界では無力だが…例えば夢などで接触してきている」
「!!」
アンディは思い出せない夢の事を考えた
とても心地良い夢だった事だけは覚えている
「アンディ、鷹の方に神経が向いてないよ」
「あ!すいません」
そう言うと、アンディは意識を鷹に戻した
本当だ
球体と全然違う所を飛んでいる
球体を探して、再び球体を追う
「ここに来て何度か、すごく心地よい夢を見たんです
でも夢を思い出せなくて…」
「お前の魔力は相当だから、妖精達がお前に興味を示しているんだ
もう少し魔法の精度を上げれば、妖精との接触も出来るようになるよ」
「本当ですか!?」
アンディが嬉しくなって聞いた
「すぐに会えるかもしれない
もしかしたら時間がかかるかもしれない
妖精は自由気ままだ
あまりガツガツしても向こうの気持ち次第だから、当てにせずゆっくり待っていればいいよ」
「そうなんですね」
少し残念だった
確かに思い出せない夢はここに来て2回しか見ていない
「その為にも魔法の精度を上げようね」
「はい」
アンディは再び、やる気満々になるのだった
♪♫♬ ♬♫♪
スザンナは療養先の離宮の執務室で手紙を読んでいた
宮殿にいる侍女に最近の様子を報告させたのだ
思っていた通り、皇帝と皇太子は好き放題やっているようだ
皇帝はその日その日で相手が変わる
また一度に何人も侍らしている
だが皇太子は妃候補の一人に集中している
あの皇太子が一人に夢中?
スザンナは違和感を覚えた
すぐさまペンを取り、首都にいるジェフェリー・エドワード・ウィリアムズ大公と、妃候補であり辺境伯の娘でもあるエマ・ケイト・トンプソン令嬢に手紙を書くのだった
♪♫♬ ♬♫♪
庭園ではレイモンドの娘が蝶を追い掛けて走り回っている
「パット、危ないよ!転んでしまうよ」
レイモンドは幼い娘の後ろを心配げに付いて回る
庭園に置かれたテーブルにはお茶やお菓子が並べられ、そこにはジェシカとレベッカとベアトリスが椅子に座り、お茶を飲みながらこの微笑ましい光景を眺めていた
レベッカは
「初めてレイモンドさまにお会いした時は皇太子殿下にそっくりなので驚きましたが、似ているのはお姿だけでしたわね」
と微笑みながら言う
「本当に!私もそう思いましたわ」
ベアトリスも同意見だったのが嬉しかったのか、ニコニコ笑いながら同意した
ジェシカは
「お仕事も皇后陛下をお助けになり、それはそれは一生懸命に取り組んでいらっしゃいます」
お茶を一口飲んでそう話した
3人は口には出さないが
『皇太子と真逆だ』
と思っていた
そこへスザンナ皇后が現れた
3人は席を立ち、淑女の礼をする
スザンナはそんな3人を見て
「ここではそんなに畏まらないで」
と言うと手をすっと上げた
3人は礼を解く
すると遠くから
「ばぁば〜」
と言ってパトリシアが駆け寄って来た
「パット!走らないで!危ないよ」
レイモンドは幼い娘の後ろで、転んでも支えれるように両手を広げて追いかけている
スザンナはパトリシアを見ると、かがみ込んで
「パトリシア、よく来たわね
待っていたのよ」
と言いながら抱きついてきたパトリシアを抱きしめた
「お菓子は食べたの?」
スザンナがそう聞くと
「ん〜まだ」
とパトリシアが答える
「じゃあ、ばぁばと一緒に食べましょう」
「うん」
そう言うとスザンナは立ち上がり、パトリシアと手を繋いでテーブルの方へと歩き出した
ばぁばって呼ばせてるんだわ!
3人は驚いたが、同時に笑いも込み上げて来た
ジェシカ達の居るテーブルの横にもうひとつテーブルがあり、スザンナはそこに向かう
椅子に座ると、レイモンドはスザンナの隣にパトリシアを座らせた
「パットはどのお菓子が食べたい?」
レイモンドが聞くと
「ん〜」
と指をくわえながらキョロキョロ見渡す
「あれ!」
と指さしたのは、隣のテーブルのお菓子だった
「これ?」
ジェシカがそう聞くと
「うん!それ!」
とパトリシアは大喜びで答えた
ジェシカはお皿を取ると、パトリシアが言ったお菓子を取る
席を立つとレイモンドが近づいて来たが
「大丈夫ですわ
私がパトリシアさまにお届けしますよ」
「ありがとうございます」
ジェシカとレイモンドは2人で並んでパトリシアの側に行くと
「はい」
と言ってお皿をパトリシアの前に置いた
「ありがとう!」
パトリシアはフォークを鷲掴みしてお礼を言った
「あら、ちゃんとお礼が言えて、パトリシアさまは良い子ですね」
ジェシカがそう言うと、パトリシアは
「パパが教えてくれたの」
と答えた
可愛らしい!
ジェシカは抱きしめたいくらいだった
「ばぁば、食べていい?」
「どうぞ、お食べなさい」
「はい!頂きます!」
またまた可愛い!
ジェシカは後ろに立つレイモンドを見上げながら
「とても可愛いですわね!」
と微笑んだ
レイモンドもそんなジェシカを見つめて、微笑み返した
レベッカがベアトリスに小声で
「あのお二人、お似合いじゃありません?」
と言うと
「私もそう思っていました」
ベアトリスも小声で答えた
レベッカとベアトリスはお互いを見ながら、2人でふふっと笑いあった
ご精読、ありがとうございます
m(_ _)m
次話もよろしくお願いいたします!




