27話 策略
デイヴとフレッド大公は応接室にいた
新聞に『婚約(か?)』の記事が掲載されてから、まだ数時間しか経っていない
ソフィの父であるミッチェル侯爵が早々に大公邸を訪れたのだ
「経緯はソフィから聞きました」
そう切り出したミッチェル侯爵の表情は硬い
デイヴは昨晩、ようやくソフィの気持ちが聞けたのに、それから半日も経たないうちに、こんな重苦しい事になるとは思ってもみなかった
「若君はどちらの公爵家をお継ぎになるかはまだ決めかねていらっしゃるのですか?」
きた!
そーだよな、もしかしたらホワイト帝国に娘を取られるかもしれないんだから、そこは重要だよな
「はい
この事は私の一存で決めれる問題ではありません
叔父上やホワイト帝国の父、そしてヴィクトリアとも話し合わねばなりませんので」
「うん、それはそうだね」
フレッドはうんうんと頷いている
ミッチェル侯爵はそんなフレデリック大公を睨むと
「フレッド、楽しそうだな」
「そう見えるかい?」
「見えるな」
フレッドは手で口を押さえて、笑いを隠している
フレッドはこのライシャワー公国の大公であり、統治者だ
更に言えば、魔法使いの長でもある
だがミッチェル侯爵は、そんなフレッドにタメ口だ
この2人は幼馴染みなのだ
「他人事だと思って…
こちらは娘をホワイト帝国に嫁がすか、お前のライシャワー大公家に嫁がすかの、究極の選択なんだぞ」
究極の選択って言われてしまった
「…だが本人同士の気持ちが大事だしな」
ミッチェル侯爵は溜息をついた
「すいません」
謝るしかない
なんせどっちにしても究極の所へ嫁がすのだから
ミッチェル侯爵はデイヴを見ると
「とりあえず早めに婚約はしよう」
「婚約…ですか」
「何か問題でも!?」
「いえ、全然!!」
あまりにも急激に話しが進むので驚いたら、怒られてしまった
「この子達がホワイト帝国に帰る時に僕が送るから、その時にジェフに会って来るよ」
フレッドが笑いながら言った
ミッチェル侯爵はフレッドに視線を戻し
「そうだな、頼む」
と軽く頭を下げた
話しがどんどん進む
ホント記事って恐い…
デイヴは今度からは周りに気を付けなくては、と反省した
♪♫♬ ♬♫♪
ホワイト帝国の後宮の一室、アヤカの部屋に来客が来ていた
今回、皇后と一緒に行った妃候補者はアヤカもよく知るキャラ達で、この宮殿に残っている候補者達は全員知らないキャラだ
そのうちのルシル・アン・ネルソン伯爵令嬢がアヤカの部屋を訪問しているのだ
知らないキャラはどんな行動を取るかわからないので要注意だ
「単刀直入に申し上げますわ
私、アヤカさまが皇太子妃に選ばれて頂きたいのです」
驚いた
このゲームはライバルとの蹴落とし合いだ
なのに自ら戦線離脱するはずはない
「何か理由があるのでしょう?」
アヤカは怪しんでいる事を隠さずに聞いた
「普通に考えれば、皇太子妃は侯爵令嬢であるジェシカさまです
ジェシカさまは既に他の有力貴族を後ろ盾お持ちです
そうなれば、私たち皇妃の待遇もジェシカさまのお気持ちひとつとなるでしょう
ですがアヤカさまが皇太子妃になられるなら変わってきます」
ルシルはここまで話しをするとお茶を一口飲んだ
「どういう事ですか?」
アヤカはまだ真意がわからないので警戒をとかない
「ハッキリ申し上げますわ
アヤカさまを皇太子妃にする協力をしますので、アヤカさまが皇太子妃になられたら、私の後ろ盾となって頂きたいのです」
「ご自身が皇太子妃となられれば、その必要はないのでは?」
「先程も申し上げましたが、このままではジェシカさまが皇太子妃になられるでしょう
それを阻む為には、今皇太子殿下の寵愛を最も受けていらっしるアヤカさまが対抗出来る唯一の方なのです」
なるほど…
話しはわかった
だがルシルがアヤカの協力者になる事はゲームの趣旨から外れている
アヤカが考えていると、ルシルは更に続けた
「アヤカさまが皇太子妃になられたら、ジェシカさまは第一皇妃になるでしょう
私達は第二、第三皇妃となりますが、アヤカさまが後ろ盾となっていて下さるならば、ジェシカさまが第一皇妃となられても安心なのです」
確かにジェシカ・ルイーズ・ガルシア侯爵令嬢は手強い
綾香がゲームでやっていた時も、かなり難しい相手だった
皇太子妃としての教育を受け、更に真面目で思いやりもある
勝てる確率は五分五分だった
ルシルの申し出はゲームの流れなのか?
ハードモードでは悪役令嬢も出て来るので、ヒロインに補助機能のようなものが付いているのか?
アヤカが悩んでいると、ルシルは微笑みながら
「不審に思われるのは、当然ですわ
ですから、私もアヤカさまの味方である事を証明します」
「どうやってですか?」
ルシルはニッコリと微笑んだ
「私達が手を組んだ所でジェシカさまに対抗出来る訳ではありません
…ですが皇太子殿下の一言があれば全て片付きます
『アヤカ・ロン・デニスを妃とする』と皇太子殿下に宣言して頂くのです」
それが出来るくらいなら、こんなにあれこれ考えてないわ、とアヤカは思った
「私、父の伝手で、ある薬を手に入れましたの
いわゆる惚れ薬という物です」
でた!
ゲームでも惚れ薬は最強アイテムだ
これはなかなか手に入らない
「何故、ご自身でお使いにならないのですか?」
「惚れ薬自体、完璧ではありません
使われる方がある程度、使った方に好意を持っていれば、効果は上がるそうです
アヤカさまは今一番、皇太子殿下の寵愛を受けていらっしゃる
おわかり頂けましたか?」
ルシル自身が使えれば一番良かったのだろうが、確かにジェイムズはアヤカを寵愛している
アヤカは惚れ薬というアイテムも手に入れたかったので、心を決めた
「その薬はどのように使えば良いのですか?」
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