21話 暴走
アンディが魔法の練習を始めてから3日が過ぎた
魔法の流れも操れるようになってきたので、今日は息抜きに街へ来ていた
「あ、あのお店よ!」
ヴィッキーがスイーツ店を指さすと、ソフィと2人で駆け出した
何故、女子はあんなにスイーツが好きなんだろ?
デイヴとアンディは口には出さなかったが、そう思った
店に入ると、中は涼しい
「涼しいよ?」
アンディが不思議そうに尋ねた
「店員に魔法使いでもいるのかな?
魔法で冷気を起こしてるんだ」
「そんな事も出来るんだ」
アンディが驚いている
「魔法使いにも得意分野と不得意分野がある
俺は攻撃的な魔法が得意だけど、こーゆー身の回りの魔法は苦手なんだ」
「そうなんだ
僕はどうなるかな?」
「色々な魔法を使ううちに自分の得意分野がわかってくるよ」
そこまでたどり着くにはまだまだのような気がする
既にヴィッキーとソフィは席に着いている
デイヴとアンディも席に着いた
ヴィッキーとソフィはケーキやお菓子をあれこれ注文している
男子はとりあえず飲み物を頼んだ
「デイヴ、今度のお祭りはどうするの?」
ソフィが聞いた
「せっかくだからアンディに見せてやろうかと考えてるよ」
「お祭り?」
デイヴはアンディを見ると
「妖精祭りと言って、昔は妖精に感謝する祭りだったらしい」
「昔は?」
「今は昔程、妖精との繋がりがないんだ
でも祭りだけは残ってる」
アンディには意外な話しだった
「昔は妖精との繋がりがあったの?」
「そうらしい
なんせ大昔だから、ホントかウソかはわからないけどな」
デイヴはやれやれと言った感じだ
「色々な夜店が出たり、イベントがあるのよ
花火も上がるし、とっても賑やかで楽しいわ」
ヴィッキーが楽しそうに話した
「いつあるの?」
デイヴが「えーっと」と考える
見るに見かねたソフィが
「1週間後よ」
と教えてくれた
「楽しみだね」
アンディはニッコリと微笑んだ
だいぶん元気になってきた
デイヴとヴィッキーは安心した
♪♫♬ ♬♫♪
夜になり、アンディは自分の部屋にいた
窓際の椅子に座って夜風に当たっている
自分の掌をながめながら、まさか自分があんなに憧れていた魔法使いになれるとは…と思っていた
人差し指を立てて指先に魔力を集める
すると指先に小さなシルバーの球体が現れた
今度はその球体を操ってみる
部屋の中で自分が思った方向へと飛ばして、部屋や物に当らないように避けたりしながら操った
再び自分の目の前まで戻すと、今度はもう少し球体を大きくした
それを窓から外へと飛ばす
その時、ふとひらめいた
球体じゃなくて、鳥の形にならないかな?
イメージを作ると、球体は燕に変わった
「変わった!すごい!!」
アンディは嬉しくなった
もっと別の鳥に…カッコいい鷹とかにならないかな?
燕はアンディの側に戻って来たので、手を伸ばすと燕は腕に留まった
燕に魔力を注ぎつつ、鷹をイメージする
すると燕は大きな鷹に変わった
「すごっ!」
鷹を腕に載せたまま、テラスに出る
腕を伸ばすと、鷹はバサリと羽ばたいて飛んで行った
旋回しながら、上空へと上がっていく
暗い夜空に白い鳥が飛んでいてキレイだった
突然、アンディの脳裏に遙か上空からテラスで鷹を見ている自分が見えた
「えっ…?」
一瞬だったが、確かに見えた
アンディは左手で顔を押さえる
するとまた見えた
手で顔を押さえている
間違いなく、今の自分だ
なんだ、これ?
そう思った瞬間、体の奥底から魔力が溢れ出したような感覚が起きた
一瞬、建物が揺らいだかと思った
だがデイヴはこれがアンディから発せられた魔法だとすぐにわかった
「まずい、暴走してる?」
デイヴはすぐに移動魔法を使って、アンディの部屋へと移動した
まるで大きな風船にでも弾き返えされたかのような感じだった
「うわっ!」
「きゃあ!」
デイヴはアンディの部屋の前の廊下に現れた
同じようにヴィッキーも現れている
ただ2人は部屋の中に移動しようとしたのに弾き飛ばされたのだ
デイヴもヴィッキーも廊下で転んでいる
「ヴィッキー?」
「デイヴ!?アンディが暴走してる!」
「わかってる」
そう言うと、自分達の後に誰か居る事に気が付いた
フレッド大公だ
「叔父上!」
「大丈夫かい?」
フレッドはそう言いながら、ヴィッキーの手を取り、立たせてあげた
フレッドは部屋のドアを開けて入って行く
デイヴとヴィッキーも付いていく
まるで見えない水の中を進んでいるかのような感覚だ
部屋に入って見渡すがアンディはいない
だがテラスに目を向けると、アンディが膝と両手をついている
今にも倒れてしまいそうだ
「アンディ!」
ヴィッキーが前に進もうとするが、アンディに近づけば近づく程、見えない抵抗が強くなる
最初は水の中のような抵抗だったのに、今はゼリーの中を歩いているようだ
部屋の真ん中辺りまで来たが、デイヴとヴィッキーは進めなくなった
「アンディ!私を見て!!」
ヴィッキーが一生懸命に叫ぶ
「アンディ!!」
デイヴも名を呼ぶ
アンディは何かに押し潰されそうだった
そして息が出来ない
頑張って呼吸をしようとするが、身体が息の吸い方を忘れてしまったかのように、どうしても息が吸えない
息を…吸わなきゃ…吸うんだ
そう考えるのに、どうしても息を吸えない
苦し…
「大丈夫」
アンディの肩にフレッドが手を添えた
フッと息が吸えた
「はあっ、はあっ」
「大丈夫だから」
アンディは少しだけ顔を向ける
フレッドが優しく微笑んでいた
「呼吸が落ち着いたら、魔力を抑えるよ」
「…はい」
「僕が導くから、安心して」
アンディは大きく息を吸った
「はい」
「よし
では魔力を片付けよう
そうだな、箱に片付けるような感じで」
言われた通りの事をイメージする
自分の肩に触れているフレッドから、まるで道を案内されているかのように魔力が自分の内に内にと戻っていく
「そう、上手いよ」
どんどん魔力は箱の中へ戻っていく
デイヴとヴィッキーは少しづつ前に進めた
魔力のほとんどを箱に片付けた
「よし、蓋をして」
フレッドに言われて、アンディは蓋をする
するとフッと楽になった
「はぁ…」
アンディはテラスの床に座り込んだ
「「アンディ!」」
デイヴとヴィッキーが駆け寄る
ヴィッキーはアンディの前にしゃがみ込んでアンディの顔を触る
「大丈夫!?」
「うん、何とか…」
バサリと鳥の羽ばたきが聞こえた
顔を上げると、フレッドの腕にアンディが創ったシルバーの鷹が留まっている
「お前が原因だね」
フレッドに言われて、鷹は軽く羽ばたいてアンディの肩へと移った
「こいつは?」
デイヴが聞く
「練習の球体を鳥の形にしてみたんだ」
「「……………はぁ!?」」
デイヴとヴィッキーに叫ばれてしまった
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