20話 練習
フレッド大公は自分の部屋に戻り、考えていた
予想通りの反応だった
恐らくアンディは自分やスーを許さないだろう
自分達の勝手な思いが、アンディを振り回しているのだ
だが、あの時はそんな事まで考えてはいなかった
自分達の想いで一杯一杯で、その先の事なんて考えていられなかった
スザンナが皇太子妃選別に行く前の冬
スザンナは16歳
フレデリックは18歳だった
「フレッド、私選別になど行きたくないわ」
「行かないで、このままライシャワー公国に居ればいい」
スザンナは悲しそうに
「そんな事したら、お父様にご迷惑をかけるわ」
無力な自分が情けなかった
絶大な魔力を持ち、偉大な魔法使い達に引けを取らないとまで言われているのに、スーを攫う事も出来ないなんて…
「スー」
そう言いながらスザンナを後から抱きしめた
スザンナは自分の首に絡められたフレデリックの腕を触る
フレデリックはスザンナを自分の方へ向けると口づけをした
2人で額を合わせて、お互いの首に腕を絡めた
「フレッド、お願いがあるの」
「何だい?」
「皇太子殿下が私に触れないように、私に魔法を掛けて」
フレデリックは驚いて、スザンナの両肩を握ると自分から離した
「スー、それでいいのか?
君の宮廷での立場が悪くなるよ」
「いいのよ
私が生涯、愛するのは貴方だけだから」
「スー…」
フレッドとスザンナはお互いを強く抱きしめた
時が経ち、スザンナがライシャワー公国へお忍びでやって来た
あの別れから4年経っている
スザンナもフレデリックもすっかり大人になっていた
「老けたわね」
「君こそ」
2人で笑いあった
「色々、あったわ」
「うん、ティフから聞いてるよ」
「ふふっ
まさかティフがホワイト帝国に嫁いで来るなんて思いもしなかったわ
まさかの義理の姉妹よ」
「ホント、何が起こるかわからないね」
フレデリックはあの時のようにスザンナを後から抱きしめた
「会いたかった…」
「私もよ」
2人はキスをする
長い時間、離れていたのでお互いの衝動を抑えれなかった
フレデリックはキスをしたままスザンナを抱きかかえると、ベットへと運んだ
そのまま2人でベットに倒れ込み、会えなかった時間を埋めるかのように、激しく愛し合った
♪♫♬ ♬♫♪
ヴィッキーはデイヴの部屋にいた
夜着の上に裾の長いカーディガンを羽織っている
長椅子に座り
「叔父様が結婚をなさらなかったのは、皇后陛下を想ってらしたからなのね」
このライシャワー公国の大公であり、統治者だ
周りからは散々、結婚を言われていただろうに、頑なに結婚をしなかった
「皇后陛下も魔法を使ってまで皇帝陛下を拒絶されてた」
何でこんなに上手く噛み合わないんだろう
デイヴとヴィッキーは黙ってしまった
「でも…」
デイヴが口を開いた
「今、するべき事に目を向けよう
どんなに考えても悔やんでも、過去は変えれないよ」
「…そうね」
ヴィッキーはデイヴを見る
「まずはアンディを魔法使いとして導かなきゃ」
そう
魔力を上手く扱えないと、身を滅ぼす
しかもアンディに魔法を教えれるのは1か月だ
「アンディが落ち込んでても、明日から魔法の練習をするぞ」
「うん」
♪♫♬ ♬♫♪
翌日の朝食の席に、フレッドとアンディは表れなかった
デイヴとヴィッキーはやはりね、と思った
朝食を終えると2人はアンディの部屋の前まで来た
「行くぞ」
「うん」
デイヴがノックもせずにドアを開けた
ざっと見渡すが、アンディはいない
隣の次の間の寝室へ行くと、アンディはベットで横になっていた
「アンディ…」
ヴィッキーがそう呟くと
「ごめん、食欲なくて…」
と上半身を起こしながら、アンディが言った
デイヴはアンディのいるベットに座ると
「アンディ、落ち込むのはわかる
でも魔法を使えるようにしなきゃいけないんだ
だから今は魔法を学んでくれ」
僕は友達に心配を掛けてしまったんだ
でも今まで信じていた物が全て壊されたような気分だ
アンディは何も考えれなかった
「アンディ、無理を言ってるのはわかってるの
でも時間もないのよ
覚醒してしまったから、魔力をコントロールしないと危険なの」
「…うん
そうだね、やらなきゃね」
元気のない声だが、やると言ってくれた
デイヴとヴィッキーはホッとした
♪♫♬ ♬♫♪
デイヴとヴィッキーは、まずは居城の奥にある庭園で練習しようと考えて、アンディを連れ出した
空は雲ひとつない快晴だ
アンディは今の自分の気持と真逆の天気に、空すら恨めしく思ってしまう
「まずは魔力を形にしてみようか」
デイヴがそう言うと右手を前に出し、手のひらを上に向ける
すると、手のひらに銀色に薄い水色が混じっているような色の球体が現れた
「手のひらに魔力を集めるイメージをするんだ」
よくわからない
でも、やってみるか
アンディは言われたように、手のひらを上に向ける
意識を手に集中する
身体の奥底から何かが湧き出るような感じがした
それを手に集めるイメージする
すると手のひらにシルバーの球体が出来た
「…出来た!」
「うん、上手よ!」
ヴィッキーが嬉しそうに叫んだ
「でもデイヴと色が違うよ?」
「前に話したように、魔力にも個性があるんだ
俺は銀と水色だし、アンディは銀だ
ヴィッキーは…」
とデイヴが言うと、ヴィッキーも手のひらに球体を出した
ヴィッキーの球体は銀色に薄いピンクが混じっている
「ヴィッキーらしい色だね」
アンディが笑顔で言った
良かった
少し気が紛れたみたい
ヴィッキーは少し安心した
その後も、魔力の流れを練習した
アンディは自分の思った所に魔力を集めるようにはなってきた
「流れを自在に操れるようになるんだ
そうしないと魔力が暴走する」
「暴走したらどうなるの?」
「「………」」
デイヴとヴィッキーが黙ってしまった
そんなに恐ろしい事になるのか!?
アンディがビックリしていると
「…さあ?」
「え?」
デイヴとヴィッキーは
「見た事ない
師匠にも『大変な事になる』としか言われてなかった」
「そうそう」
「「「……………」」」
3人で見つめ合って、ぷっと笑ってしまった
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