102話 危惧
「何でフレッドがいるの?」
宮殿から帰って来たジェフェリーはティファニーと一緒にいるフレッドに驚いた
「お兄さまご本人じゃないのよ
使い魔よ」
ティファニーはにっこり微笑みながら教えてくれた
ジェフェリー同様アンディもデイブも驚いていたが、使い魔と聞いて更に驚いた
なんて精巧な使い魔なんだ!
全然、わからなかった!
いつもながらフレッドの魔力には驚かされるばかりだ
ティファニーと使い魔のフレッドはソファに座っているので、ジェフェリー達も座った
「ボルジアのローレッタ王女が魔法使いを連れているっていう情報が入ったんだ」
「魔法使いを!?
また拉致したんですか?」
デイブは怒りを露わにした
「いや、ボルジアの商人が所有していた奴隷の魔法使いを献上させたらしい」
「…という事は、何か企てている事は間違いないね」
ジェフェリーはため息を漏らしてしまった
ローレッタが何か企んでいるかもしれないとは考えていたが、あくまでも仮定だった
それなのに確定になってしまったのだ
「さっきボルジアからの一行を見に行ったけど、魔法使いは確認出来なかったよ
今はギルが監視してるけど、何か分かれば連絡が来るよ」
「ローレッタ王女は結婚式を潰すつもりですかね?」
デイブがフレッドに聞いた
「その連れている魔法使いにもよるよね
どの程度の魔力を持ち、どんな魔法を使えるかで予想はつけれると思ったんだ
でも馬車にでも乗せられているのか、見当たらなかったんだよ」
フレッドは苦笑いをした
「とにかくその魔法使いの確認がしたいね
ローレッタ王女が到着予定はいつなの?」
「4日後だよ」
フレッドの問いにジェフェリーが答えた
フレッドはローレッタ王女の姉・クリスティーナ第一王女からローレッタの暗殺を依頼された
だが王族を暗殺するという事は、その国の政治に干渉しているようなものだ
なので王族の暗殺は禁忌とされている
フレッドはクラリッサや他の魔法使いの長老達を納得させる為に、ローレッタがホワイト帝国の転覆を狙っているという確証を示さなければならなかった
もしかしたらそんな大それた事は考えていないかもそれない
フレッドはクリスティーナに暗殺を受けるには、確実にホワイト帝国に害を加えると確認したら、と条件を付けた
今はおかしな行動がないかとにかく監視するしかない
「まぁ、まだ到着してないし、こちらはまだ心配しなくても大丈夫そうだね
到着した頃にまた来るよ」
フレッドはそう言うと立上り、ぼん!と煙を出して消えてしまった
「かなり危惧してるわね」
ティファニーは頬に手を添えて、ため息を漏らした
♪♫♬ ♬♫♪
翌日のホワイト帝国は青空で雲ひとつない晴天だった
ウイリアムズ家の中庭には丸いテーブルが何個もあり、テーブルにはお菓子やケーキが準備されていた
ソフィアを紹介するお茶会なので、立食スタイルになっているが、庭園にある池の側にはベンチも準備されていた
招待客は思い思いの場所で立っている
「本日はお忙しい中、お集まり頂きありがとう
息子、デイビット・レイ・ウイリアムズの婚約者、ソフィア・アデル・ミッチェル侯爵令嬢です
皆さん、どうぞお見知りおき下さいね」
ティファニーがそう挨拶をして、ソフィアに手を向けた
ソフィアはドレスの裾を摘み、優雅に挨拶をした
「ソフィア・アデル・ミッチェルです
どうぞよろしくお願いします」
ソフィアの挨拶が終わると、招待客はお菓子やお茶を飲みながら、お喋りを始めた
ティファニーはデイブとソフィアを連れて、爵位の高い方から挨拶をしている
ヴィッキーはキョロキョロと会場を見渡した
「あ、あそこにダンとエマがいるよ」
アンディがヴィッキーより先に見つけた
「ホントだわ」
ヴィッキーはそう言うとエマの方へと向かった
「エマ!」
ヴィッキーに呼ばれ、エマとダニエルも気が付いた
「ヴィッキー」
エマはニッコリ微笑んでいる
旅の間は動きやすいドレスで過していたが、今日はしっかりとしたドレスを着ているエマだ
エマの隣には、これもまたしっかりと正装しているダニエルがいる
だが心なしか緊張しているようだ
「ご招待ありがとう、ヴィッキー」
「来てくれてありがとう
ダンもありがとう」
ダニエルはヴィッキーに話し掛けられて、少し緊張が解れた
「とんでもない
招待ありがとう、ヴィッキー」
「ベアトリスはいた?」
ヴィッキーの一言に、ダニエルはギシッと固まった
「ま、まだ見掛けてないよ」
「そう
まぁゆっくりしましょ
エマ、ケーキを食べない?」
「頂きます」
ヴィッキーとエマはお皿にケーキを取ると、お喋りをしながら食べ始めた
アンディはダニエルの側に行き
「始めてお会いする訳でもないんだから、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
落ちつかせようと、ダニエルの肩にポンと手を置いた
「1年ぶりだよ?
それに文通を始めてからは、初めて会うんだよ!?」
ダニエルは必死に訴えている
そんなダニエルを笑ってしまうが、仕方がないかと思うアンディだ
「僕はそのベアトリス嬢を知らないから
見掛けたら教えてよね」
「わ、わかったよ」
ダニエルは冷や汗を流している
普段はしっかりしているのに、この件になると落ち着きを無くしてしまうダニエルを笑ってはいけないと思うのだが、どうしても可笑しくなってしまう
しばらくはお茶を飲みながら、他の令息達と挨拶をしたりしていた
「あ、ベアトリス!」
ヴィッキーがこちらに向って歩いて来るベアトリスに気が付いた
先程まで招待された令息達と和やかに喋っていたダニエルが固まった
「ヴィクトリア公女殿下、ご招待ありがとうございます」
ベアトリスはヴィッキーの側に来ると丁寧に挨拶をした
「もう!そんなに畏まらないでよ、ビー」
ヴィッキーにそう言われると、ベアトリスはふふっと笑った
「久しぶり、ヴィッキー!
元気だった?」
「元気よ!ビーは?!」
「私も変わらないわ」
ヴィッキーとベアトリスは手を取り合って喋っていた
アンディはヴィッキーの側へと行くと
「初めまして、ベアトリス嬢」
と声を掛けた
ヴィッキーはアンディに気づくと
「ご存知とは思うけど、アンドレアス・ルウィズ・ライシャワー小公子よ」
ベアトリスは慌てて、深々とお辞儀をした
「初めてお目にかかります、アンドレアス小公子殿下
ベアトリス・ナイトレイ・ターナーと申します」
ベアトリスの挨拶を受け
「よろしく、ベアトリス嬢」
とにっこりと微笑んだ
アンディは先程まで自分が居た場所を見て
「ダン!」
と声を掛けると、ダニエルは石化しているのだった
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