快速列車は止まらない Chapter7 ~デイリーミッション、始動~
chapter7 ~デイリーミッション、始動~
「変な、夢だったな…」
お兄ちゃん…陽太はいつの間にか家からいなくなってしまい、その後行方を知らない。
ただみふゆのお父さんはひばりの知らない何かを知っているようだった。
さて、今日も学校があるので家を出て学校に向かう。
「「いってきまぁーす!」」
「行ってらっしゃい、二人とも気を付けてね」
よく晴れた空。所々にある小さな雲。隣には幼馴染のみふゆ。
ここ最近はいつもこんな感じだ。
「そういえば、前に陽太君がいなくなったことに関する話は聞いたけど、両親はなんでいないんだっけ?」
「…?両親…あぁ。ほらあの今から6年前の、あのとき」
「あぁ…あのころって…お母さんがいなくなったんだっけ」
「そう、お母さんは私の知るお兄ちゃん以外の唯一の家族だから…」
「お兄ちゃんは、陽太君はさ」
「ん?」
「その6年前のことの真相を知っていたんじゃないのかな」
「どういうこと?」
「だってひばりが生まれたときにはお父さん(信夫)がいたはずでしょ?で、そのあとお母さんがいなくなって今回陽太君がいなくなった。
1人ずつ消えていくっておかしいじゃん」
「で、でももしかすると誘拐とか自〇かもしれないし…」
「そんなこと言っててもしょうがないでしょ。それに夢で陽太君と会ったんでしょ?」
「う、うん」
「きっと正夢になるよ」
みふゆはからかうようにくすっと笑った。
「な、なぁにそれぇ!」
「ははは、ひばりって面白いなぁ」
「こいつぅ、あ、逃げんな、待てぇ」
みふゆはすぐに逃げてしまったがちょこちょこ後ろを見て、"煽り逃走"をしている。まあそれでもひばりは追いつけなかった。
でも、もしみふゆの言ったこと、"陽太が母親失踪の真相を知っている"のだとしたら。
私は今、お兄ちゃんに会って話をしたい。
けどその前に
「疲れたぁ。みふゆ止まってぇ」
「全然本気出してないんだけど。相変わらず、ひばりはもっと運動しないと」
「むう」
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田辺から東京へは、和歌山、大阪を経由して、またもや在来線で帰ってきた。
「久しぶりの大都会はやっぱ違うなぁ」
まあそれは大阪とも違うのだが。
さて家に帰ろうか。
いや、正しくは家を"経由"しようか。
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\\キーンコーンカーンコーン//
1限目の始まるチャイムが鳴った。すると、担任の三原詩織がやってきて、こう言った。
「今日からこの学校では、デイリーミッションが設定されることになりました」
クラス全体でどっとざわめく。
「え?デイリーミッションってどういうこと?毎日何かが課せられるってこと?」
「ちょ、俺英弱すぎて言葉の意味が分からない。デイリーって何?マ〇オのデ〇ジーしかしらないんだけど」
「お前あほか、でいりーっていうのは出入口の"でいり"に決まってんだろ」
「あー!お前天才じゃん」
ひばりは心の中で「なんでこのクラスにはこんなバカが多いのか」とあきれるとともに、
そのデイリーミッションとやらの本質が気になりだしていた。
そこで詩織は続けてこう言う。
「デイリーミッションは、この学校における生徒、つまりお前たちの態度が甘すぎて話にならないことから設定された。
このデイリーミッションは学校の始業開始時刻よりはるか前の7時にその日の担当の先生が職員室前に1分間だけ掲示する。
それをその日最後のチャイム、要するに17時の下校のチャイムが鳴る前にこなして、担当の先生のチェックを受けたら達成となる。
がしかし、もしチェックを受けられなかった場合や受けることのできる状態ではない場合には無条件でそのクラス全員にペナルティーを科す」
みふゆはこのことが明らかにやばいことであることをこの時点で十分すぎるほどに察知していた。
それでも詩織は容赦なく続ける。
「もしこのペナルティーを翌日のデイリーミッション掲示前までに達成できなかったら、全員まとめて"中1からやり直し"だ」
「え~!」「そんなひどい!」「中1ってことはまたあの難しい英語と数学と…を習うの?無理なんだけど」
(いや学習したことは定着させておけよ)
「ふーちゃん、これやばいよね。きっとデイリーミッションってクラスの中で1人が頑張ればいいものじゃなくて、全員で協力する系のがくると思うんだけど」
「まあ、こなせれば大丈夫なんだし何とかなって、それにきーちゃんのことは頼りにしてるし」
「では早速だが、今日のデイリーミッションを今ここで発表させていただく」
ドクンドクンと静かな教室の中で自分の鼓動だけが聞こえる。
「1~6限までの授業の内、どれか1つをハイジャックしろ、だ」
え?
ハイジャック?ハイジャックって言った?この人。この学校の生徒がたるんでいるから設定されたんだよね?これ。
なんで。ハイジャックにどんな意味があるっていうの。
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「ハイジャックというワードの意味は極めて簡単。『乗っ取る』という意味。
授業を乗っ取る。要するに主導権を握る先生を倒せというのと同義。
さて一体どうなってしまうのでしょうねぇ。
校長せんせ?」
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東京駅から山手線に乗り、私鉄線の快速に乗り換えた。
今日も…というか快速はもう止まらない。あの駅には賑わうための素材も、きらめくモノも何も備わっていないという位置づけに格下げされたからである。
玉に瑕というか玉をバイカル湖にでも沈めてしまっているかのようだ。
さて家まではあと少しだな。久しぶり。
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また次回の"かいとま"で会いましょう!またね!