魔物の特徴・生態紹介:その6
登場した魔物の紹介です。
◇刀狼
分類:哺乳種
食性:肉食
寿命:8〜15年
全長:1〜1.5m (成体の場合)
適性:火・土
刃物のように鋭い斬れ味を帯びた尻尾を携え、群れで動く事を得意とする狼型の魔物。
産まれ落ちた瞬間というより産まれ落ちる寸前、名前の由来たる刀の如き尻尾だけは小さくも成体と変わらぬ斬れ味を有しており。
一部の鮫のように母胎の中で殺し合い、そこで生存した個体が仔として産まれ落ちる。
大抵は一頭か、多くても二頭。
その為、産まれたばかりの幼体であっても非常に好戦的で精強であり、それを知らぬ他種の魔物や人間たちが返り討ちに遭う事も。
知能も高く遠吠えによる意思疎通や軍隊のように陣形を組み、群れで獲物を仕留める。
竜種を狩っていたという情報もあるとか。
非常に高い適性の火と土の魔力で以て、さも鍛治士のように尻尾を鍛える習性を持つ。
◇鎖蟷螂
分類:虫種
食性:虫食・肉食
寿命:6ヶ月〜1年弱
全長:1.5〜2m (成体の場合)
適性:風・土
虫種の中でも特に大きく、そして比類なき獰猛さと冷静さを併せ持った蟷螂型の魔物。
特徴は言うに及ばず鋭い斬れ味の鎌脚。
上述した刀狼の尻尾を遥かに上回る斬れ味を有しているだけでなく、しなやかでありながら強靭な鞭の如き関節を伸ばす事により数十m以上も離れた獲物すら両断してしまう。
また、およそ恐怖という感情を持って産まれず、どう考えても己より強い相手が目の前に居ようとも関係なく、その鎖鎌を振るう。
寿命こそ普通の蟷螂と同じか僅かに長い程度だが、その短い生涯で殺す命の数は他の虫種の比ではなく、加えて食欲も非常に旺盛。
ポーラが敗れていたなら、あの場で生きたまま貪り喰われていただろう事は半ば必然。
土の魔力で更に硬質化させた鎌を風の魔力で加速、不可視の斬撃を放つ事もあるとか。
一対一でも場合によっては幼体・成体を問わず竜種を狩る事ができる、数少ない虫種。
◇嵐輝竜
分類:竜種
食性:雑食
寿命:不明
全長:50〜100m (成体の場合)
適性:水・風・氷・雷
嵐の中で産まれ、嵐の中で暮らし、何もなければ嵐の中で生を終える完全空棲の竜種。
竜覧船などで空路を往くのでもなければ遭遇する事さえ稀である為、竜種の中でも殊更に珍しく、そのせいか研究も進んでいない。
寿命が不明なのも、その為である。
作中に登場した個体は、たまたま嵐の中から抜け出してしまった幼体をマキシミリアン自ら捕獲し、飼い馴らした個体だったとか。
嵐の中で一生を過ごす理由についても明らかにはなっていないが、おそらく嵐輝竜が生まれ持った四つの優れた適性を更に高め、あらゆる災禍や外敵を跳ね除ける力を仔に持たせる為なのではないか、と推察されている。
上述した通り非常に高い水・風・氷・雷の適性を持ち、たとえ己が産まれ落ちた嵐が自然消滅したとしても自ら嵐を巻き起こし、それを隠れ蓑、或いは盾や鎧として身に纏う。
仕掛けられない限りは自分から諍いを起こす事はせず、ギリギリまで嵐に近づいても追い払うどころか関心さえ持つ事はないとか。
ただし、怒らせたら怖いのは間違いなく。
かつて、とある街に嵐輝竜が棲まう嵐が接近した時、領地への被害を恐れた領主が私兵に命じて嵐輝竜を討伐しようと試みた結果。
超低温かつ雷雨や雹の入り混じる息吹により、領地そのものが滅んだ事もあるという。
刺激しないのが最善手であるものの、そもそも一般的には大気圏に近い超高々度に嵐の巣を作る為、過剰な警戒は無意味なのだが。