登場人物紹介:その14
味方サイド1人と魔族2体の紹介です。
◆アイザック (33・♂)
第二十六代ズォーネアル魔導師団長。
一人称は『俺』。
身長181センチ。
体重68キロ。
見た目や言動こそ軽く感じるが、その中身は真面目と言って差し支えない壮年の男性。
家名がない事からも分かる通り、平民。
ズォーネアル魔導師団の師団長に平民が就任したのは史上初であり、数多の貴族を押さえての事であった為、当初は逆恨みも多く。
それらを実力で黙らせる必要があった。
そして実際、彼に決闘を挑んで返り討ちに遭った貴族令息や令嬢が今の彼の部下たち。
カクタスとは師弟関係にあたる。
尤も、アイザックが無理やり押しかけて教えを請うていただけで、カクタスは別に彼の事を弟子だとは思っていない事は知らない。
ポールやポーラとは昔馴染み。
一時期はポーラに惚れていた事もあったようだが、ポーラの頭には王家への忠誠を除けば勇者への懸想しかなかった為、断念した。
適性は火・水・土・氷・闇。
魔導師としての実力は六花の魔女に劣りこそすれ、これでも美食国家では五指に入り。
魔力の質は元宮廷魔導師筆頭のカクタスにこそ及ばないが、魔力量だけなら匹敵する。
また、魔法の行使そのものより魔力の制御や魔法による製薬、魔導接合の製作に長けている為、今回の疫病騒動でフェアトに次ぐ立役者となったのは誰の目にも明らかである。
好きな食べ物は酒に合う塩辛いもの。
嫌いな食べ物は酒に合わない甘いもの。
典型的な中年男性のそれ。
◆ドリュー (??・♂)
15年前、聖女に斃された魔族。
一人称は『僕』。
身長178センチ。
体重64キロ。
美男美女ばかりな魔族の中でも、トップクラスと言っていいほど美形な好青年の魔族。
今世では細菌への転生を遂げさせられた。
あらゆる病を自在に操り、それらを発症させる事も治す事もできる【四百四病】という称号を賜った、並び立つ者たちの序列四位。
上述したように外見だけなら超美男子。
加えて所作も口調も声も綺麗で、外面に限って言えば魔王軍でも他の追随を許さない。
が、中身は最低最悪のサイコパス。
何をやっても他者に悪意を振り撒くだけ。
良かれと思っての行動でも同じである。
並び立つ者たちとして選ばれる前でもそんな感じだったのに、【四百四病】を得てからは頼んでもいないのに他種族との戦いで傷ついた味方の治療に手を貸しては逆に傷つけ。
これといった実害なく有象無象から疎まれていた七位や十四位と違い、ちゃんとした理由で避けられていた稀有な並び立つ者たち。
魔王カタストロも、XYZに次ぐ厄介な男と認めるような節があったとかなかったとか。
もし仮にドリューが人間や獣人、霊人といった知性ある生物として転生していたなら。
この世は彼の無自覚な悪意で、十五年前と同じかそれ以上に脅かされていた事だろう。
アストリットに感謝すべきなのかもしれないが、フェアトは彼女に何も言わなかった。
アストリットを含め、並び立つ者たちが転生してきたという事実自体が悪なのだから。
十五年前、大陸に住まう人間や獣人のみならず、およそ病というものに対しての耐性や免疫を生まれ持つ霊人すらも疫病で殺戮し。
単独で大陸の総人口を十分の一ほども削った所業を見過ごせるわけもなく、レイティアによって疫病の根絶とともに消し去られた。
かなりの数の死者蘇生にも対応せねばならなかった為、戦闘にかけた時間も含めると。
文字通り四百日ほどは必要としたらしい。
好きな食べ物はとにかく苦いもの。
嫌いな食べ物はとにかく甘いもの。
サイコパスは苦味を好む傾向にあるとか。
◆マキシミリアン (??・?)
15年前、勇者一行に斃された魔族。
一人称は『私』、或いは『Me』。
身長???センチ。
体重??キロ。
煌びやかな燕尾服と、派手な蝶々仮面が特徴的の長身かつ美形な金色の長髪の美青年。
……が、本当の姿なのかは不明。
虚構によって物質や建造物、生物などを創造したり、マキシミリアン自身が好む賭博に使用する様々な道具を戦闘の手段として扱う事ができるようになる【胡蝶之夢】という称号を賜った、並び立つ者たちの序列十三位。
三度の飯より賭博と娯楽を愛する狂人。
三度の飯だけならまだしも他種族はおろか同族の命、果ては己の命までベットする事も厭わないときている何ともタチの悪い狂人。
並び立つ者たちに選ばれる前も後も性格や言動、行動などに大差はなく、ある意味では二十六体の中で最も変化のない魔族だった。
他の誰にも伝わらない──アストリットだけは理解できていたが──妙な言語を織り交ぜての会話が常であり、それが伝わらないと分かっていても止めるつもりはないらしい。
魔族だった頃から賭博や娯楽とともに派手な事が大好きで、マキシミリアン自身の人望や危険な魅力に惹き寄せられた有象無象の女性魔族を侍らせ、カタストロを差し置いてパーティのようなものを開く事もあったとか。
自分から他種族を襲う事は殆どなく、カタストロからの命令があって初めて他種族相手に賭博を仕掛けたり仕掛けなかったりした。
基本的に同族相手でも賭博欲は充分に解消できていたのだが、どうしても勇者一行に賭博を仕掛けてみたくて堪らず、カタストロから命じられてもいないのに最後の大規模な戦場へ勇み飛び出していき、四方世界を展開。
スタークたちの時と同じように仲間の一人が犠牲を申し出た後、やはり同じように一行や連合軍の一部を駒としてチェスをし、スタークたちの時より有象無象が多かった両軍に多大な被害を出しながらも勇者一行が勝利。
勇者一行の総取りが確定、今まさに犠牲の取り立てをというタイミングで、ディーリヒトとレイティアが寿命の吸収を拒絶、圧倒的な力で以て何も奪わせずに彼を消滅させた。
その時の彼の遺言は奇しくも、スタークたちとの戦いの最後に叫んだものと同じ──。
──『Entertainment!』。
だったとか。
好きな食べ物は賭博で勝って奪ったもの。
嫌いな食べ物は善意で施されたもの。
刺激がなければ彼にとって価値はない。