聖女、魔族、大陸亀
七章から八章へ続く閑話的なやつです。
ここからの投稿は6日ごととなります。
ご了承いただければ幸いです。
『──ちゃんと伝えてくれてありがとう』
『……あ? あぁ、あの言伝か』
『そうそう。 これで、ようやくフェアトを調べられるよ。 たった一日だけなんだけどね』
『物好きな事じゃ』
『いやぁ、それほどでもないよ』
『……褒めてはおらぬのじゃがな』
『……何よ言伝って。 貴女、また何か──』
『……確かに、あの娘の【盾】に興味を抱くのも分からぬ事はないがの。 正直、大陸と文明の維持以外にかまける余裕はないゆえな』
『それはそれは、大変だねぇ』
『……他人事のように曰うのう』
『他人事だよ? キミに任せてあるんだから』
『……あの雷娘の愚痴も致し方なしか』
『エステルの事? あの子も大概だよね、聞こえてるの分かってて『チビ助』なんて──』
『──ねぇ、ちょっと』
『『ん?』』
『私を無視しないでくれる? 答えなさい、アストリット。 実験台にすると言っても内容によるのよ、あまりに酷いなら止めるからね』
『……あー……』
『……おや? レイティア、ちょっと元気になった? 顔色も良いし、力も戻ってきてるよ』
『え? あ、あぁそうね──じゃなくて!』
『……意志が弱いのう、お主』
『よっ、弱くないわよ! 黙ってなさい!』
『……三神獣にそのような口が利けるのは今やお主──……いや、お主らくらいのものじゃろうな。 もう勇者も魔王もおらぬしのう』
『……それが何よ、嫌味のつもり?』
『そんなつもりはないが──』
『そも、お主が調子を取り戻しておるのじゃとすれば──……それは妾の功績じゃろう』
『……まぁ、そうだけど……』
『ボクの功績でもあるんじゃない? ほら、レイティアが苦しんでるのを教えてあげたよ』
『……恩着せがましいわね』
『……感謝はしてるわ。 この調子なら、あの子たちが並び立つ者たちを全滅させるまでは生きられる──……かも、しれないし……』
『自信はないのかの』
『だって……何体か見逃してるんでしょ?』
『見逃したって言えるのは十八位と十九位だけなんだけどね。 その他は今のままじゃ敵わないから意図的に衝突を避けた感じかな?』
『そう……まぁ、貴女や三位の相手は厳しいでしょうね。 当時もかなり苦戦したし……』
『数年は覚悟しておいた方がいいやも知れんのぉ。 お主、本当に生きてられるのかの?』
『……私も聖女だもの。 がんばるわ』
『……まぁ案ずるでない。 こうして妾が手を貸しておる以上、世界の心臓の暴走は起こさせんよ──……尤も、あの【矛】が余計な事をしなければというのが大前提じゃがなぁ』
『……流石に想定してなかったわよ、まさか貴女の甲羅を貫いて星の核を剥き出しにするなんて……あの子、どんどん強くなってる』
『──勇者と同じ力に目覚めたみたいだよ』
『え!? リヒトの【一視同仁】を!?』
『そうそう、てっきりフェアトが獲得してるものだとばっかり思ってたんだけど……やっぱり違うみたいだね。 どういう事なんだろ』
『……分からないわ』
『……話は変わるがの。 妾はいつまで、あれを封印しておればよいのじゃ? 先刻も言うた星の核の制御との両立は厳しいのじゃが?』
『弱音なんて吐かずにがんばって。 じゃないと、キミの同胞がボクに解剖されちゃうよ』
『……その狂気じみた好奇心に僅かでも歯止めをかけろ、と言うておるのじゃがな……』
『それは無理かなぁ。 ね、レイティア』
『私に振らないで。 共感できないから』
『……そういえば、パイクとシルドは?』
『まだ覚醒はしてないよ。 人語は解してるけど話す事はできないみたいだし、もうちょっと時間かかるんじゃないかな? ねぇ大陸亀』
『……そうじゃなぁ。 あの方が真に復活なされば、お主ら魔族の殲滅も随分と捗ろうが』
『……それはボクらを舐めすぎじゃない?』
『はっ、舐めておるのはそちらじゃろう』
『『……』』
『──はいはいそこまで。 それ以上やいやい言うならもう終わりにしましょう。 聞きたい事は聞けたしね。 いいでしょ? 二人とも』
『……ふん、まぁよいわ』
『はーい。 じゃあね、レイティア』
『また何かあればの』
『えぇ、また──……あっ』
『……実験の内容、聞きそびれた……』
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