登場人物紹介:その7
魔族サイドの紹介です。
◆ラキータ(享年生後数ヶ月・♀)
16年前、勇者によって討たれた魔族。
今世は一人称なし。
前世の愛称、及び一人称は『ラッキーちゃん』。
自分でつけて、自分から呼ばせていた。
猫としての全長は約90センチ。
体重は約5キロ。
また、並び立つ者たちの序列十二位でもあった。
魔王カタストロによって生み出されてから数年ほどは、その愛らしい見た目も相まってアイドルのような扱いを受けており、ちやほやされていた事もあった。
しかし可憐な見た目とは裏腹に戦闘力も充分すぎるほどに持っており、その音速に近い移動速度にて通り過ぎざまに対象を屠る一撃は同胞の目にさえ映らず。
カタストロが目をつけるまで、その活躍を知る者はアストリットやセリシアといった強者だけだった。
……彼女の、げに恐ろしき凶行についても。
その凶行とは、先述した音速での攻撃の際に飛ばしたり引きちぎったりした、人間の部位での人形作り。
それまでは、どうにも不恰好な見た目の人形しか作れてなかったが、カタストロが授けた【電光石火】の称号によって光をも超える速度を獲得してしまい。
反応すらできない速度で欠損させ、『傷ついた事に脳が気づかない』という状態を引き起こす事により、その傷口から血を流させる事もなく綺麗に削り取る事が可能となった為に、ラキータ自身も心から満足いく綺麗で不気味な人形を作る事が可能となってしまう。
ただ、その事もあって油断していたのか同胞たちに裏の顔を知られてしまい、あれだけ彼女をちやほやしていた同胞たちは皆、彼女から離れていってしまう。
その後、一人で人形作りに精を出していた時に遭遇した勇者一行と交戦するも、たった数手で光を超える速度に目を慣らした勇者の一閃にて、あえなく死亡。
かつての魔王軍の看板娘は誰一人として死を惜しんでくれる事もなく、一度目の生を終えたのだった。
XYZを除いた、『魔王軍一の異常者』として──。
カタストロの最期の命令を受けて、『猫なら怪しまれないでしょ』と安易な考えを持って転生し、しばらく彷徨っているうちにジカルミアに辿り着いていた。
結局、彼女の異常性は一番の標的だったリスタルに知られる事はなかったが、それが彼女にとってプラスだったのかマイナスだったのかは誰にも分からない。
……ラキータ本人でさえも。
転生前は超光速の魔法や爪での一撃を得意とし、転生後は小さな身体を活かし人と人との間を縫って体当たりや爪での引っ掻きで被害を及ぼしていたようだ。
好きな食べ物は魚。
嫌いな食べ物は熱い物。
まぁ……猫。
◆ナタナエル(享年??・♂)
16年前、勇者と序列十位によって討たれた魔族。
一人称は『私』。
素の状態だと『俺』になる。
今世は精霊だった為、身長、体重、年齢は不詳。
また、並び立つ者たちの序列十四位でもあった。
転生前は、いかにもな黒い執事服を着こなす紳士のような風体だったが、着られている感じも強かった。
カタストロから称号を授かるまでは、ただ単に他の名もなき同胞と比べて多少なり魔力が多く魔法の技術も高かったというだけの凡百な魔族であったらしい。
しかし、カタストロは彼が心の奥底に秘めていた野心を──異常なほどの支配欲を看破しており、それこそ自分が王座を譲ると言えば喜んで尻尾を振るだろう事も理解したうえで、あえて並び立つ者たちに任命。
圧倒的な力を持つ勇者や聖女でさえ何某かの力を借りる事もある、『個』の力では限界がある事を理解せよ──そういう意味を込めて【月下美人】を授けた。
その称号は、ナタナエルの他にも並び立つ者たちとして任命された魔族が死ねば死ぬほど、それらの称号や経験、記憶といった有益なものが自分のものになるという他と比較してもぶっ飛んだ力を持っていたが。
裏を返せば『誰かが死ぬまで、その他大勢と何も変わらない』という事であり、そんな彼を僻んでいたその他大勢の名もなき同胞たちは彼を嘲るようになる。
だが、ひとたび勇者一行によって並び立つ者たちが斃され始めてから、ナタナエルは次々と力を獲得。
彼を嘲っていた同胞は、その殆どが彼に殺された。
その際、彼は自分の力に物足りなさを感じて『とある称号』を授かった同胞を手ずから仕留めんと企む。
それこそが、序列十位の【破壊分子】だった。
善は急げと──まぁ善ではないが──ジェイデンの居場所をアストリットに尋ねると、どうやら勇者一行と二度目の交戦中であるらしく、これはチャンスだとほくそ笑んだ彼は『分不相応だよ』という序列一位の忠告を無視してジェイデンを殺すとともに、その力で勇者一行をも討ち取ってしまおうと画策していたが。
戦いを邪魔された事で怒りを覚えたジェイデンが勇者と一時的に結託するとは思いもよらず、『個』の力の極地の二つを目前にして無様に敗北し、死亡した。
前世では支配者たれなかった事を悔いており、『今度こそは』と熟考した結果、王族の身体を奪えば効率的だと判断し、【契約】を履行できる闇の精霊へ転生して、ネイクリアスと半強制的に【契約】を交わす。
二度目の生の最期、支配者たる者の余裕はどこへやらという彼の素の状態が明らかとなっていたが──。
これは奇しくもナタナエルが勇者とジェイデンに追い詰められていた時も発露してしまっており、『勇者と共闘した同胞に殺される』という惨めな死に方を経験しても、ナタナエルは何一つ成長していなかった。
転生前は、そこそこ大きな魔力を活かした闇属性の魔法を得意とし、転生後はネイクリアスの六つの適正を活かして魔法を行使していたが、【金城鉄壁】を手にしてしまった事で魔法が使えなくなってしまった。
もっと称号を奪ってからであれば、スタークも更なる苦戦を強いられていたかもしれないが、おそらくアストリットはそれを【全知全能】で分かったうえで早めに彼と双子をぶつけておこうと判断したのだろう。
彼女は、どうにもナタナエルが嫌いだったから。
彼女にとってカタストロこそが全ての支配者で、また無二の親友でもあり、それを実行しなかったとはいえ蹴落とそうとする彼を好きになれる筈もなかった。
好きな食べ物は贅を尽くした料理。
嫌いな食べ物は質素な料理。
しかし、これはあくまでも他に誰かがいた時のみであり、ナタナエルが一人で食事をとる場合には──。
好きな食べ物は麦酒に合うつまみ。
嫌いな食べ物は作法に気を遣う窮屈な料理となる。
気位だけは王族もかくやというところであった。
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愛され人形使い!
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