表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

512/1452

512 注視

フィール視点です。

 まだ契約していなかったハイヘェンターを私とカイで契約し終えて、ダンジョンをさらに奥へと進んでいく。

 契約した鉱石は全てカイが持っているので、7体のハイヘェンター達も一緒に着いてきている。

 カイの後ろをアキナ様とハイヘェンター達、その後ろからフェルル、最後に私という順で歩いているので、アキナ様がハイヘェンターと遊ぶ少女に見えて、とても可愛いらしいと思う。


「あっ! アキナ様、ハイシープラムです……」

「俺が戦う!」

「ダメよ、流石に危ないわ。フィー、よろしく」

「かしこまりました」


 進んで行った先にいたハイシープラム2体を倒し、更に進んで行った先で、


「アキナ様、今度はハイバアドです」

「それも危ないわ。フィー」

「かしこまりました」


と、ハイバアド4体を倒した。

 以前より簡単に倒せるようになっているので、自分がちゃんと成長出来ているんだという事を実感出来た。

 でも、そんな私の戦い方を見ていたフェルルは、かなり不機嫌そうだ。


「いつ俺が1人で戦うのに丁度いい魔物とやらが現れるんだ?」

「さぁ?」

「お前、やっぱり俺に戦わせるつもりなんてないだろ?」

「そんな事はないわよ? それに、フィーの戦いを見ておく事だって、とても大切な事なのよ?」

「それは……」


 フェルルはずっと、自分がダンジョンに連れて来られた意味というのを考えているんだろう。

 今までにもダンジョンに行った事はあると言っていたし、ハイクラスの敵にこれだけ物怖じしないのだから、おそらくは人類種達の娯楽として、危険なダンジョンへ1人で行かされたりもしていたんだ。

 ミララを人質にとられたりして……


 だからこそ、今の現状に混乱している。

 今まで同様にダンジョンに行かされているというのに、自分がやる事が無さすぎるから……

 それに危ないからダメだと言われるのは、フェルルからしたら意味が分からないんだろうな……


 またダンジョン内を進んでいると、


「おい、お前は≪シールド≫を使えるんだろ? どうしてさっきのハイバアドに使わなかった?」


と、フェルルが質問をしてきてくれた。

 質問してくれるというのは、私を敵だとは思っていないという事だと思ってもいいだろうか?

 いや、敵だとは思っていなくても、味方だとも思ってくれていないという感じか……

 話しかけてくれたのは嬉しかったけど、そこまで喜んではいられないな……


「聞いてるのか?」

「あ、ごめんね。≪シールド≫を使わなかったのは、ハイバアドが魔法に対して敏感だからよ。本当にギリギリで≪シールド≫を使わないと、途中で気付いて避けてしまうのよ」

「ふーん……」

「だから、ギリギリまで引き付けるよりは、私の槍の間合いに入ったところで突く方が、安全に倒せるの」

「それ、槍なのか? 杖じゃないのか?」

「杖だし、槍にもなるわ。これはアキナ様が作って下さった武器なのよ」

「あいつが……」


 フェルルがアキナ様の方を見たので、私も釣られるように見ると、アキナ様は1体のハイヘェンターを抱きしめて歩いておられた。

 子供がぬいぐるみを抱きしめている様子にしか見えなくて、とても可愛いらしい。

 でも、どうしてあの1体だけ……?


「あのハイヘェンター、足を怪我してた奴だな」

「そうなの?」

「俺が契約に失敗した奴だ。契約呪文を唱えている時に、怪我があるのが見えた」

「フェルルはよく見てるのね。私は気付かなかったわ……」


 フェルルが契約に失敗した後で、眠らせたハイヘェンターと契約し直したのは私だ。

 風をイメージする事ばかり考えていて、全然ハイヘェンターの事は考えてあげれていなかった。

 だから気付かなかったんだな……


 魔物に人の魔力というのは毒になってしまうので、≪ヒーリング≫で治してあげる事は出来ない。

 だからアキナ様は、抱き締めて歩いておられるんだろう。

 ウィザルド国では、魔物の怪我を治す方法なんてないと言われていたけど、人類種には魔物使いなんていう職業もあるくらいなんだから、きっと何か怪我を治してあげる方法はあるはずだ。

 後でアキナ様に聞いてみるか……


「お前はあいつの仲間なんだろ?」

「仲間というか、私はアキナ様に助けていただいたし、たくさんの事を教えていただいたし……」

「無理矢理奴隷にされた訳じゃないんだろ? 自分からなったのか?」

「え? ふふっ」

「何がおかしい?」

「おかしい訳じゃないんだけどね、懐かしいなぁと思って」

「懐かしい?」

「無理矢理奴隷にされた訳ではないけど、自分からなりたいとも言っていないわ。最初に紅血奴隷印を刻むと言われた時なんて、失望したくらいよ」


 今でこそ新しくアキナ様の奴隷となった皆に、この紅血奴隷印は素晴らしいものだと説明出来るようになったけど、初めはそんな事を思いもしなかった。

 温かいと感じたくらいだ。


「フェルルは無理矢理奴隷印を刻まれたから、アキナ様を信用出来ないっていうのも分かるんだけど、アキナ様は本当に優しい方だから」

「……でも、人類種だ」

「私も元は人類種に使われていたから、人類種を許せない気持ちは分かるわ。でも、全ての人類種がそういう人だという訳では……」

「お前に何が分かるっ! 俺は、俺達の故郷は! 人類種共に焼かれたんだぞっ!」


 私の声を遮り、そう叫んだフェルル……

 泣きたいのを必死に堪えているような、悲痛な顔をしている。


 同じように人類種の奴隷にされていたとはいえ、事情はそれぞれ違う。

 それは分かっているつもりだったのに……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ