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奴隷の国  作者: 猫人鳥
1章

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21 好物

あけましておめでとうございます!

「それにしても質のいい茶葉ね。人類種がこんなに質の良い茶葉を、普通に売っているなんてね」


 アキナ様は、私がウバさんの所で買ってきた茶葉を見ておられる。

 茶葉だけで質が分かるとか、やっぱりアキナ様は相当紅茶に詳しいみたいだ。


「あの、アキナ様」

「何?」

「紅茶1杯の相場はどれくらいなんですか? 何も分からずに買ってきてしまいましたので……」


 結局喫茶店の店員さんにも紅茶代を払っていないし、ウバさんもちゃんとした金額は教えてくれなかった。

 私はもっと紅茶について勉強していかないといけない。

 アキナ様が紅茶をお好きなんだったら、尚更に。


「そうねぇ、安物なら銅貨3枚ってところね。いいお店に行けば大銅貨1枚くらいかしらね。フィーが買ってきてくれたこの茶葉はかなり質もいいし、この量なら銀貨1枚くらいはしたんじゃない?」

「あ……」

「どうしたの? あぁ、お金を使い過ぎちゃった? 別にいいわよ。だって道具もくれて、フィーに紅茶の淹れ方まで教えてくれたんでしょ」


 私が変な反応をしたせいで、お金を使い過ぎたと思われたアキナ様は、軽い調子で気にしなくていいと言って下さった。

 でも、そうじゃない……


「いえ、その……全部で大銅貨5枚でいいと言われました……」

「え? それだけしか払っていないの?」

「はい」

「それは安過ぎるわ。そもそもこの茶葉だけで銀貨1枚くらいはするのよ? ティーセットも大銀貨1枚はすると思うわ。淹れ方を教えてくれた事も含めたら……」

「この道具は、紅茶の淹れ方を楽しく教えられたお礼だと言われていただいたんです」


 まさか道具もそんなに高価な物だったなんて……

 いくら私が物の価値を分かっていないからといって、これは本当に貰い過ぎだ。

 もっとしっかり断っておけばよかった。


「お金以外の要求とか、フィーが何かされた訳ではないのよね?」

「はい。とても親切な方でした」


 アキナ様は私を心配して下さっている。

 これだけしてもらって大銅貨5枚しか払っていなかったら、安過ぎて逆に怖いだろう。

 私がお金以外の物で見返りを払ってきたと思われるのも当然だ。

 本当にただ親切なだけだったんだけど、信じてもらえなくても仕方ない……と、思っていたのに、


「そうよね、フィーに何かあったら私に分かるはずだし……」


と、アキナ様は仰った。


「え? そうなのですか?」

「そのための紅血奴隷印でもあるから。それにしても変な店ね。まぁでも、フィーが無事ならそれでいっか」


 さりげなくアキナ様は仰られたけど、それはかなり凄い事だ。

 私に何かあったらアキナ様に分かるという事は、おそらくこの紅血奴隷印は特殊奴隷印でもあるのだろう。


 あの時アキナ様は、元の奴隷印を解除する為の解除魔法……それも奴隷印を刻んだ本人じゃないから、本来なら解除できないはずの解除魔法を使い、新しく紅血奴隷印を刻む為の契約魔法、そしてその際の痛みを抑える為の状態魔法まで使っていた事になる。

 魔法の三重詠唱……それもあの短時間で……

 それだけでも凄いと思っていたのに、更にこの紅血奴隷印が特殊だったとか……


 本当に何者なんだろう?

 私はまだ、アキナ様の事を何も知らない。

 紅茶がお好きなんじゃないかというのも、私が勝手に思っただけだし……


「あの、アキナ様は紅茶がお好きなんですか?」

「そうね」


 よかった。

 紅茶がお好きなのは間違っていなかった。

 でも紅茶の種類はたくさんある……

 アキナ様は何が一番好きなんだろう?


「その、アールグはお好きでしたか?」

「ええ、美味しかったわ」

「一番好きな紅茶を教えていただいてもよろしいでしょうか?」

「んー、だいたいなんでも好きだけど、カモミルが使われているのが一番好きかしらね」

「かしこまりました」


 カモミル……確か、ウバさんのお店の棚で名前を見た覚えがある。

 でもウバさんのお店にはアールグだけでもたくさんの種類があった。

 全く知識のない私があの店に行くより、アキナ様がご自身で選ばれた方がいい気がする……


「あの、今日の茶葉を買ったお店、店員さんもとても親切で素敵なお店でした。紅茶が好きな人しか来ない感じの所で、きっとアキナ様にも気に入って頂けると思うのですが……ご一緒に、行かれませんか?」


 私ももう一度ちゃんとウバさんにお礼を言いたいし、紅茶が好きで紅茶に詳しいアキナ様なら、ああいうお店は楽しい場所だと思う。

 だから一緒にお店に行ってほしくて聞いてみたけど、アキナ様は首を振って、


「私はやめておくわ。届かない範囲に知り合いを作りたくないの」


と、仰られた。

 それがどういう意味なのかは分からないけど、断られてしまったのでこれ以上は何も言えない。


「私は行かないけどフィーがまた行きたいのなら、行っていいわよ。ただし、ちゃんと気をつけて行くのよ」

「はい。ありがとうございます」


 一緒には行って下さらないけど、私が行く事は許可していただけた。

 これで改めてちゃんとウバさんにお礼が言えるし、新しくカモミルを買うことも出来る。

 問題は、また道中で鬱陶しい男に出会わずに行けるかどうかだけだな。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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