202 発達
カイ視点です。
フィールさんと2人で、ウバさんのお店にお邪魔している。
アズリィさんから好きに準備をしていいといわれたので、ウバさんに教えてもらう用のティーセットを用意させてもらった。
準備が終わってフィールさん達の方を見ると、フィールさんとアズリィさんは何か難しい話をしているみたいだった。
あれは、邪魔をしない方がいいかな……?
どうしようかと思っていると、
「帰ったぞ……ん? あぁ、フィールにカイ! よく来たな」
「え、フィールさん? わぁ! 久しぶりだね! あと、カイ君は初めましてだね!」
と、ウバさんと一緒に、元気なお姉さんが帰ってきた。
「お邪魔してます。ウバさん、ルフナさん、お久しぶりです」
フィールさんがルフナさんと呼んで挨拶をしている。
このお姉さんもフィールさんの知り合いみたいだ。
「あの、ウバさん。お久しぶりです。あと、あの……えっと、ルフナさん……? 初めまして……」
「ごめんよカイ君。怖がらせてしまったかな? アタシはルフナ。この顔の怖い男と、あそこでフィールさんを独り占めしている女の娘だよ」
「ウバさんと、アズリィさんの……」
「そう。よろしくね!」
「よろしくお願いします」
ルフナさんは、優しく笑いながら話してくれた。
初めて会う人で少し怖かったけど、ウバさんとアズリィさんの娘さんなら、怖がる必要なんてない。
とてもいい人みたいだ。
「ん? カイ、お前大きくなったんじゃないか?」
「え、そうですか?」
ウバさんは俺の頭をポンポンと撫でながら、そう言ってくれた。
俺は成長したんだろうか?
「前より背も延びてるみたいだし、翼も立派になったと思うぞ」
「確かに……毎日見ているからか、あまり気にしていませんでしたが、カイの背はかなり伸びたと思います」
「そうですね。この間来てくれた時より、顔付きも凛々しくなったんじゃありませんか?」
フィールさんやアズリィさんも、楽しそうな笑顔で、俺が成長出来ていると言ってくれた。
ずっと出来なかった沢山の事をやらせてもらえて、力がついてきたという自覚はあったけど、体もちゃんと成長していたみたいだ。
「全部アキナ様のお陰ですよ」
「よかったね、カイ君」
「はいっ!」
アキナ様は俺の翼を治してくれて、御飯もたくさんくれて、運動もちゃんとするようにと、体の事も考えてくれている。
その上、俺のために色んな経験もさせてくれて、俺のやりたい事を優先してくれているんだ。
これだけしてもらっているんだから、俺が成長するのも当然だ。
少し前の自分は、本当に情けない奴だったと思う。
何をするにも怖がって、震えていた。
そんな俺にアキナ様は優しくて、何度も抱き締めてくれて、笑顔で安心させてくれた。
怖い事はまだたくさんあるけど、今の俺はちゃんと立ち向かえるようになってきたと思う。
これも全部、アキナ様のお陰だ。
あれ? だから最近、アキナ様は俺を抱き締めてくれなくなったんだろうか?
俺がもう震えていないから……
寝るのも別々になってしまったし……
このまま俺が成長し終わってしまったら、アキナ様はもう……俺に構ってくれなくなってしまうのかな……?
……って、ダメだ! 何考えてるんだ、俺は!
もっと成長して、アキナ様の役に立てるようになるって決めたんだから!
変な事を考えてたらダメなんだ!
「そういやカイ。お前、歳はいくつだ?」
「え? あ、分からなくて……」
「そうなのか……」
ウバさんが声をかけてくれたお陰で、変な事を考えそうだった思考を、一旦止める事が出来た。
でも歳か……確かにいくつなんだろう?
あまり離れ過ぎていないといいけど……
「でもそうだな……前はまだ10歳そこそこだと思ったが、今は12か13か、そんぐらいに見えるぞ。ちゃんと食ってなかったから成長出来てなかっただけで、以外と上なのかもな。これからもっと大きくなる事を踏まえると、15歳位か?」
「えっ、そんなに上なんでしょうか……?」
もし15歳だったらどうなんだろう……
離れすぎてるのかな?
それはちょっと……嫌だな……
「どうしたカイ? 嫌か?」
「あまり離れすぎてるのは、ちょっと……」
「あぁ、なるほどな」
「カイ君。歳の差なんて、歳をとるに連れて気にならなくなっていくもんだよ。仮に5歳差だとしても、そんなのは気にする程の差ではないよ」
俺が歳の差を気にしていたのを分かってくれたみたいで、ルフナさんが励ましてくれた。
「なんならアタシとガイスなんて、8歳差だからね!」
「ガイス?」
「アタシの旦那だよ」
「ルフナさん、旦那さんがいるんですね。それも8歳差……」
8歳差でも、気にならないものなのか……
でもそれは、ルフナさんが気にしないだけで、アキナ様は気にするかもしれないよな……
「カイ君。大切なのは歳の差とかじゃなくて、互いに尊重し合えるかって事だと思うよ」
「はい……ありがとうございます」
こんな風に言えるなんて、ルフナさんって格好いい人だな……
互いに尊重し合う事が大切か……よく覚えておこう。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




