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奴隷の国  作者: 猫人鳥
2章

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202/1634

202 発達

カイ視点です。

 フィールさんと2人で、ウバさんのお店にお邪魔している。

 アズリィさんから好きに準備をしていいといわれたので、ウバさんに教えてもらう用のティーセットを用意させてもらった。


 準備が終わってフィールさん達の方を見ると、フィールさんとアズリィさんは何か難しい話をしているみたいだった。

 あれは、邪魔をしない方がいいかな……?


 どうしようかと思っていると、


「帰ったぞ……ん? あぁ、フィールにカイ! よく来たな」

「え、フィールさん? わぁ! 久しぶりだね! あと、カイ君は初めましてだね!」


と、ウバさんと一緒に、元気なお姉さんが帰ってきた。


「お邪魔してます。ウバさん、ルフナさん、お久しぶりです」


 フィールさんがルフナさんと呼んで挨拶をしている。

 このお姉さんもフィールさんの知り合いみたいだ。


「あの、ウバさん。お久しぶりです。あと、あの……えっと、ルフナさん……? 初めまして……」

「ごめんよカイ君。怖がらせてしまったかな? アタシはルフナ。この顔の怖い男と、あそこでフィールさんを独り占めしている女の娘だよ」

「ウバさんと、アズリィさんの……」

「そう。よろしくね!」

「よろしくお願いします」


 ルフナさんは、優しく笑いながら話してくれた。

 初めて会う人で少し怖かったけど、ウバさんとアズリィさんの娘さんなら、怖がる必要なんてない。

 とてもいい人みたいだ。


「ん? カイ、お前大きくなったんじゃないか?」

「え、そうですか?」


 ウバさんは俺の頭をポンポンと撫でながら、そう言ってくれた。

 俺は成長したんだろうか?


「前より背も延びてるみたいだし、翼も立派になったと思うぞ」

「確かに……毎日見ているからか、あまり気にしていませんでしたが、カイの背はかなり伸びたと思います」

「そうですね。この間来てくれた時より、顔付きも凛々しくなったんじゃありませんか?」


 フィールさんやアズリィさんも、楽しそうな笑顔で、俺が成長出来ていると言ってくれた。

 ずっと出来なかった沢山の事をやらせてもらえて、力がついてきたという自覚はあったけど、体もちゃんと成長していたみたいだ。


「全部アキナ様のお陰ですよ」

「よかったね、カイ君」

「はいっ!」


 アキナ様は俺の翼を治してくれて、御飯もたくさんくれて、運動もちゃんとするようにと、体の事も考えてくれている。

 その上、俺のために色んな経験もさせてくれて、俺のやりたい事を優先してくれているんだ。

 これだけしてもらっているんだから、俺が成長するのも当然だ。


 少し前の自分は、本当に情けない奴だったと思う。

 何をするにも怖がって、震えていた。

 そんな俺にアキナ様は優しくて、何度も抱き締めてくれて、笑顔で安心させてくれた。

 怖い事はまだたくさんあるけど、今の俺はちゃんと立ち向かえるようになってきたと思う。

 これも全部、アキナ様のお陰だ。


 あれ? だから最近、アキナ様は俺を抱き締めてくれなくなったんだろうか?

 俺がもう震えていないから……

 寝るのも別々になってしまったし……

 このまま俺が成長し終わってしまったら、アキナ様はもう……俺に構ってくれなくなってしまうのかな……?


 ……って、ダメだ! 何考えてるんだ、俺は!

 もっと成長して、アキナ様の役に立てるようになるって決めたんだから!

 変な事を考えてたらダメなんだ!


「そういやカイ。お前、歳はいくつだ?」

「え? あ、分からなくて……」

「そうなのか……」


 ウバさんが声をかけてくれたお陰で、変な事を考えそうだった思考を、一旦止める事が出来た。

 でも歳か……確かにいくつなんだろう?

 あまり離れ過ぎていないといいけど……


「でもそうだな……前はまだ10歳そこそこだと思ったが、今は12か13か、そんぐらいに見えるぞ。ちゃんと食ってなかったから成長出来てなかっただけで、以外と上なのかもな。これからもっと大きくなる事を踏まえると、15歳位か?」

「えっ、そんなに上なんでしょうか……?」


 もし15歳だったらどうなんだろう……

 離れすぎてるのかな?

 それはちょっと……嫌だな……


「どうしたカイ? 嫌か?」

「あまり離れすぎてるのは、ちょっと……」

「あぁ、なるほどな」

「カイ君。歳の差なんて、歳をとるに連れて気にならなくなっていくもんだよ。仮に5歳差だとしても、そんなのは気にする程の差ではないよ」


 俺が歳の差を気にしていたのを分かってくれたみたいで、ルフナさんが励ましてくれた。


「なんならアタシとガイスなんて、8歳差だからね!」

「ガイス?」

「アタシの旦那だよ」

「ルフナさん、旦那さんがいるんですね。それも8歳差……」


 8歳差でも、気にならないものなのか……

 でもそれは、ルフナさんが気にしないだけで、アキナ様は気にするかもしれないよな……


「カイ君。大切なのは歳の差とかじゃなくて、互いに尊重し合えるかって事だと思うよ」

「はい……ありがとうございます」


 こんな風に言えるなんて、ルフナさんって格好いい人だな……

 互いに尊重し合う事が大切か……よく覚えておこう。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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