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奴隷の国  作者: 猫人鳥
1章

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10 服屋

「金貨1000枚も返してもらえたし、ラッキーだったわね」


 アキナ様は楽しそうに笑いながら歩いていく。

 金貨1000枚の入ったパンパンのリュックは、変わらずアキナ様が背負っている。

 私もその後ろをついていく。


「実はコレ、私の全財産だったから、宿も泊まれなくて困ってたのよね」

「そうなのですか?」


 宿に泊まるということは、アキナ様はこの国の方ではないということだ。


「そうそう、野宿予定だったからね。よかったわよね、フィー」

「の、野宿ですか?」


 野宿なんてものとは縁のない様な、こんなに綺麗な身なりをしているのに……

 だいたいこんな子供のアキナ様から、当たり前みたいに野宿という言葉が出てくること事態がおかしい気がする……


「あ、あの、アキナ様。一つ質問してもよろしいでしょうか?」

「質問くらいにいちいち許可を取らなくていいわよ。答えられる事なら何時でも答えてあげるから」

「で、では……アキナ様はおいくつなのですか?」

「ん? 歳? 10歳よ。それ以上に老けて見える?」

「いえ、年相応かと……」

「なら良かったわ」


 見た目通りの10歳だった。

 行動や言動が、10歳とはかけ離れている気はするけど……


「フィーはいくつなの?」

「私は16歳です」

「そう。6こ上なのね」

「はい」


 今日が誕生日で16になったばかりだけど……

 まぁ、そんな事は言う必要はないか。

 それにしても、今までで一番衝撃の多い誕生日だ。


「あ、あの……ではもう一つ質問しても?」

「だから質問に許可は要らないって。で、何?」

「アキナ様は、マジックキャンセラーの影響を受けずに魔法が使えるのですか?」

「え? 何で?」

「先程は一体、どんな魔法を使ったのかと……」

「私は魔法なんて使ってないわよ」

「えっ?」


 あの飼育係の拳を止めたんだ。

 あんなこと、魔法も使わずにできるものなのか?


「あのねフィー。私は自分で言うのもなんだけど、かなり強いのよ。だからあれくらいの奴は簡単にやれるわ」

「それは、さっきの戦闘を見れば……」

「そう。でもね、魔法は使えないの。正確に言うと使えるんだけど、使うと尋常じゃない体調不良になるの」

「え? でもさっき奴隷商に、≪ヒーリング≫を使ってあげましょうかって言ってましたよね?」

「あんなのは脅しで言っただけ。使う気なんてなかったわ。だからちゃんと断らせたでしょ? もし魔法を使ってたら私は倒れてただろうし、そうなったら私は殺されてたわよ」


 笑いながらそう話すアキナ様。

 そんな話、全然笑い事じゃないのに。

 アキナ様は魔法を使えない……だから私を買ったんだろう。


「さてと、とりあえず宿へ行きましょうか」

「はい……アキナ様」

「いや、先にフィーの服を買いましょうか」

「え? 私の服ですか?」

「そう。やっぱり魔神種って目立つからね」

「そ、それはそうですが……」


 奴隷の私の服を買うなんて……

 いや、今までも服を買われた事はあるけど、あれは鑑賞用というか愛玩用というか……そんな感じだったからな……


「帽子か何か、フィーの角を隠せる物を買いましょう。とりあえず、あの辺の服屋で」

「は、はい。アキナ様」


 アキナ様について入った服屋は、質のいい服ばかりが売られており、貴族とまではいかないだろうが、庶民の中でもお金に余裕のありそうな者達が買い物に来ているような店だった。


「い、いらっしゃいませ……」


 私を見て驚き、若干引きつつもアキナ様の対応をする店員。

 私は見るからに魔神種の奴隷だけど、アキナ様は見るからに貴族だ。

 大きなリュックは似つかわしくないが、それを踏まえてもアキナ様から気品の様な凛々しさは感じさせられる。

 だからいくら子供といえど、しっかりとした接客をするのだろう。


「あれと、それと、これもいいわね。あとは、大きいローブか何かないかしら?」

「こ、こちらはいかがでしょうか?」

「いいわね。それにするわ」


 入っていきなり適当に服を選んだアキナ様。

 買い物は慣れているという感じだ。


「合計で銀貨25枚になります」

「はい、これで」


 アキナ様は支払いに金貨1枚を出した。

 さっきあの金貨1000枚が全財産だと言っていたし、アキナ様は金貨しか持っていないのだろう。

 お金は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨と価値が上がっていく。

 銅貨10枚が大銅貨と同等の価値だ。

 大金貨も存在はするらしいが、あまり流通はしていない。

 そもそも金貨でさえ貴族や金持ち達でなければ、そんなに持っている者は多くないだろう。


 今の支払いは銀貨25枚が必要な所に、金貨1枚を出した。

 そして御釣りに大銀貨7枚と銀貨5枚をもらっている。

 そのもらった御釣りはアキナ様が雑に背中のリュックへ入れた。

 金貨や銀貨は価値は違えど重さはさして変わらない。

 つまりあのリュックは今、1枚だった物が12枚になった上に、大銀貨の方が金貨よりは重いはずなので、最初より重くなった事は間違いない。


 さっきは奴隷商達を倒した事の方が驚きすぎて気にならなかったが、金貨や銀貨が1000枚以上もあったら相当重いだろう。

 それをこんな10歳の少女が持っていても誰も何も言わないのは、軽減魔法をかけてリュックを軽くしていると誰もが思うからだ。

 私も、最初にアキナ様がリュックから金貨1000枚を取り出した時はそう思った。

 でもさっきアキナ様は、自分は魔法を使えないと仰った。

 つまり、あのリュックは軽減魔法も使わずに背負っているという事だ。


 だけどさっきのアキナ様の戦いぶりを見た後だし、アキナ様ならそれぐらい普通……なのか?

 私の感覚もおかしくなってきていた。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 10話まで読破 おもしろかったです [一言] アキナの圧倒的な技量、戦技 とてもよかったです でも10歳って^^; あんたの方が魔神かと(^o^)
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