第φ幕
私は巻山信彦(27)。若きミュージシャンだ。今日はお歌のレッスンを受けにきた。
やっぱりミュージシャンたるもの、第一に必要なのは歌唱力だろう。聞いてるか?中居?キャラで押し切りやがって。
お、ついたついた。鴨川音楽教室。割と遠かった。
さて、どんな奴がいるかな?
「僕を弟子にしてください!」
お、良い感じの少年じゃねえか。雰囲気でるねえ。
「やだ。ちゅーか、お前、ウザいんだよ。」
何この人。だらしない格好に画家みたいなベレー帽。
いや怖すぎだろ。私はヨットを習いにきたわけじゃないぞ?
あーあ、少年泣いちゃったじゃない。良い大人が何やってんのよ。まあ良い。少年、私をみていなさい。これが弟子入りを望む者のあるべき姿だ。
「す、すみませーん、あ、あのー霧山三郎さんの紹介で来たんですけど〜」
あの(笑)仮面は割と名前が通っている奴らしい。この前はあいつの名前でエロサイトに登録させてもらった。わたしはやなことに巻き込まれたくないから助かった。ありがとう。さあさあどう出る?先生?
「良いだろう。だがお前に試練をやる。」
「なんでしょうか?」
「お前陸の方から来ただろ?船だ。船に乗ってこい。」
船は嫌いだ。大っ嫌いだ。みたくもない。嘘つこ。
「実は私生まれは北海道なんですよー」
沖縄だったら嘘がバレたかもしれないが、北海道ならバレないだろう。
「わかった。なら船はいい。弟子にしてやろう。」
「ありがとうございます」
「私との特訓を全てこなせば、お前に芸名をやる。そして卒業だ。」
ほう?名付け親にまでなってくれるのか。どうもご親切に。
「じゃあ毎週土日は修行漬けだな。」
さらばマイバケーション。ノーバケーションノーライフ。
あ、そうだ。あの泣いてた少年、励ましてやろ。
「おい、そう泣くんじゃないぞ。私のように誠意を込めてお願いするんだ。そうすればきっと先生も君を認めてくれるだろう。」
「おじさんコネって誠意に入るの?」
「…」
「入るさ。生かせるものは何がなんでも生かす。それが人間の使命なんだ。」
よーし。なんか良い雰囲気にして押し切ったぞ。さあ、帰ろうか。
午後5時帰宅。
「ただいまー。」
「まっきー友達きてるよ?」
誰だ?霧山か?あいつしつけーなー。
「久しぶり。巻山。」
嘘だろ?お前は
第φ幕 師と私