第2幕
私は巻山信彦(27)。喫茶店で働いているキャリアマンだ。
「まっきー今日はもう帰っていいよー」
此奴は田口悠斗、喫茶店の店主だ。ちなみに私はほぼ住み込みでこの店で働いている。わかりにくい冗談だ。追い出されたんじゃないかと少しひやひやした。
今日8月13日、私は夢に向かう。行き先は楽器屋さんだ。
ドアを開ける。というより勝手に開いた。入ると真っ先に目に飛び込むのは流行りのCD。DA.PUMPで流行が止まっている私には関係ない。さて、楽器を選ぶとするか。まずは管楽器。トランペットとかのザ・楽器だ。すげえ、やべえ、かっけえ。これに決めた。嘘。電話番号みたいな金額だ。買えるわけがない。弦楽器もだ。何か、何かわたくしの手が届くものはないのか?いろんなコーナーを巡る。ない。まじでない。リコーダーに塗るあれぐらいしか買えない。そんな時、私は運命に出会う。初心?原点?序章?そんなものではない。私の物語は、ここで大きな転換点を迎える。
「すみません、これください。」
7時、住み込み部屋に帰る。
「おかえり。ご飯できたよ。」
ちなみにご丁寧に食事付きである。
あと店長と店員と私の3人暮らしだ。
「今日は皆さんに大切なお知らせがあります。」
「財布見つかったの?」
「犯人捕まえましたか?」
2人とも私に釘付けだ。
「カスタネットのミュージシャンになりました。」
第2幕 ナウでヤングな私
続きです。