男爵令嬢の場合
なに、この状況・・・?
アタシは過去最高に混乱していた
奥様に呼ばれて部屋に入ると、そこには奥様と旦那様、そしてリュミエール伯爵夫妻が居た。
そして言われた
「レナさん、あなたマロンの専属侍女になってリュミエール家に来ない?」
「・・・・・・・・・・・・」
マロンの、
専属侍女?
え、つまり、アイツはリュミエール伯爵夫妻の養子になるの?
いや、なんで?
「はい?」
つい、我ながら間抜けな声が出た
意味がわからない・・・
「マロンちゃんはリュミエール家に養子に行くことになったのだけど、流石に夫妻以外に知り合いが居ないのも寂しいでしょう? だから仲のいい貴女にも一緒にと思ってね」
いやいや奥様、仲良くないから!
何をどう見てアタシとアイツが仲良いとか、
「ほら、小麦粉を一緒に取りに行ったり」
「・・・」
「何かと面倒をみてお世話しているみたいだから、」
「・・・」
あれ、これ、もしかして、アタシの嫌がらせ(効いてないけど)バレてる?
恐る恐る奥様の目をみると、にこーーり、とてもいい笑顔。
ねっとりと嫌な汗が吹き出てきた気がする・・・
「あ、誤解しないでね、これはイリア夫人たっての希望でもあるの」
「リュミエール伯爵夫人、の?」
アタシが伯爵夫人を見ると、頷いた夫人は真剣な顔で言った
「レナさんこれはお願いです、イヤなら断って頂いて構いません、ただ来て頂けるのならこちらとしても相応の報酬をお約束します」
「報酬・・・」
「そうね、まず侯爵家から正式な推薦状と紹介状」
「伯爵家からは十分なお給金と、レナさんが希望するのであればマロンと一緒に淑女教育を、ひとり見るのもふたり見るのも手間は変わらないし・・・」
「行きます、宜しくお願い致します奥様!」
アタシはその条件を聞いて飛び付いた
だって侯爵家からの紹介状でリュミエール家に行ける、しかもあのイリア夫人の淑女教育を受けられるならマロンの専属侍女なんて気にもならない。
近い世代なら、あのエリザベス・マスティーゼ公爵令嬢の教師をした伯爵夫人の教えを受けられるのは何にも変え難いメリットだと思ったから。
噂によると他の侯爵家や公爵家、格上の爵位からの依頼も受けるかどうかは夫人次第で金を積めば動く訳ではないらしい。
とは言っても、男爵家が積める金額ではまず夫人の教えを受ける事は期待出来ない。
それが働きながらお給金も貰えて受けられるなんて最高だ!
「あ、レナさんが良ければ、いいご縁も紹介しましょうか」
「はい!是非ともお願い致します!あ、条件に関しては後ほど詳細を・・・」
やった、侯爵家を背後に伯爵家の紹介となれば凄く期待できる、お父様の選ぶ婚約者は太ってたり借金があったりでイマイチ過ぎた。
貧乏はイヤ!お金はある方が良いけど冷たい結婚生活もイヤだし、アタシは家を出ないといけないから嫡男を見つけないと平民になっちゃう。
家を継ぐ嫡男は数の少ない飴玉の奪い合いだ、男爵家からのツテでは男爵か子爵が関の山、でも奥様の紹介なら伯爵家か子爵家でも裕福な家は堅いだろう!
ウキウキで引き受けたレナだったが
公爵令嬢の受けた淑女教育の厳しさに悲鳴をあげることになるとは露ほども思っていなかった。
そして、マロンはそれをほぼ修めていて隣で平然として、逆に教えられることになるとは・・・




