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続、観察しまして

「エリザベス嬢、これからよろしく頼む」

「はい」

「私、としては、出来るだけ良好な関係を築きたい」

「わたくしとしては否やは御座いません」

「そ、そうか・・・」

「はい」




うーん、王子はエリーと仲良くしたいみたいだけど

エリーは警戒しているみたいだ


こうして見るとエリーは外ではしっかり貴族してるんだね

ボクの前では目尻を下げて柔らかく微笑んでいるから知らなかったよ。


貴族なエリーは結構壁があるんだね

元々目元も眉もツリ気味だから、とても気が強そうに見える。

実際は優しくてそんなことはないんだけどね。

あ、だからこそ作った笑いとは言え硬い表情からの笑顔にやられたのかな王子は。

ギャップ萌えってやつだね。


王子もエリーも7歳

王子は気の利いた話を出来るでもなく

エリーも最初から柔らかい態度を出来るでもなく

微妙に気まずい空きグエッ



エリーを観察するのに気を取られて、いつの間にか従者の人が近くに来ていたみたいだ

隠れていた生け垣に手を突っ込みボクは捕まえられた


「カ」


ぐええ、ちょっと首輪掴まないで、首締まっ・・・


「・・・イタチ? いや、」

「どうした、アラン」

「いえ、先程から視線を感じまして、イタチが・・・」


「あ、マロン!」


「「マロン??」」


「あっ」


ゴメン、エリー・・・








「なるほど、マロンはエリザベスの家族なんだな」

「は、はい、申し訳ございません」

「何故謝る、私は気にしていない」


ボクはエリーの膝の上に乗っていた

従者は王子のすぐ隣に控えている


婚約者同士で、という場に動物も同席

従者もあまり近くに置くなんてあまりない事だ

でも王子は寧ろ歓迎しているとばかりの態度になっていた



まあ、ボクがエリーの前に来たことで淑女の仮面を剥ぎ取ってしまったからね

今もなんとかエリーは取り繕っているけど

頬が緩んで、明らかに雰囲気が柔らかくなっているもんね・・・


「しかしオコジョとはこんなに大人しいものか」

「殿下、基本的にイタチの類いは気性が荒く、ましてや野性のものとなれば手なずけるなど困難でしょう」

「そうなのか?」

「はい肉食ですし、愛らしい外見とは裏腹にその体躯以上の動物を狩ったりと、野性を持つ動物です」

「そう、は、見えないのだが・・・」


王子と従者がちらりと見た視線の先は勿論オコジョ


しかし、エリザベスの膝の上でお腹を撫でられたり

頭を撫でられたりして気持ち良さそうに目を細めている件のオコジョはそう見えなかった。


「・・・例外として考えていただければ」

「そうか」

「はい、野性のものを決して飼おうとして懐く類の動物ではありません、・・・多分」


オコジョは置いといて、エリザベスの態度が柔らかくなったのは複雑な気持ちで見ていた王子である。


実はこの婚約、政略ではない


ある機会にエリザベスを見た王子レオンがエリザベスを気に入って申し込んだものだったのだ。

息子の希望を叶えたのは父国王だが、それには条件があった


「婚約は整えるが、令嬢の心が向かなければ無かった事にする」


そんな条件の婚約なのだ、意外と血が通っていた。


帰りの馬車では・・・

「可愛らしかったですね」

「ああ・・・」

「オコジョの話ですよ」

「・・・」

「冗談です、ですがエリザベス様が心を開くのは遠い道のりですね」

「俺はオコジョ以下か」

「そうですね、明らかに態度が変化しましたから」

「いつか勝つ!」

「くく、オコジョにですか?」

「アラン!」


揶揄う従者とムキになる王子が居たとか居ないとか・・・





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