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コーディネート 2

「アラン、ボクは気にしないよ?」


元々全裸なオコジョで過ごしていたので羞恥心はあまり育っていないマロン

流石に裸になれと言われてジロジロと見られるのは恥ずかしいが、現状身近で最も信頼のおける存在であるアランにチラっと見られた程度なら構わない。


「マロンはもう少し恥じらいを持つんだ、淑女教育は受けただろう!」

「アランなら別に良いけど・・・」


(((((まあ!)))))


2人のやり取りに店員が色めきたつ

店員も半分以上は貴族だ、長らく御相手が不在だったアランに遂に伴侶が!と目を輝かせるのも無理はない。

職務中に得た情報の全てを外に洩らす事は禁じられているが、アランにいい人が出来たという噂がジワジワと拡がっていった。


結局身の回り品をひと揃えするのに昼まで掛かる

品物は侯爵家へとまとめて送られる事になった。





「マロンちゃん、またね」

「ありがとう、クリスさん」

「あん!みずくさいわよ、クリスでいいわ!」

「うん、分かったクリス」


バチーン!とウインクしたクリスに見送られ、ボクは手を振るとアランと一緒に商会を出た。

太陽が空高く輝いていて、お腹も空いているから多分お昼!


「マロン、人が多いから手を・・・」

「ありがとうアラン!」


お昼時なので通りはとても賑わっている

ガヤガヤと見たことの無い人の多さ、先が人で全く見えないし、迷子になったら怖いもんね

左手を差し出して来たから、右手で指を絡ませてアランの腕にギュッと抱きついた。

これで安心!


「あっちからいい匂いがするよアラン!」

「あ、ああ・・・」


いい匂いのする方向へアランと一緒にボクは通りへと飛び出した。




マロンに引き摺られるようにして行くアランの背中をクリスは微笑ましく見守っていた。


「彼女とはそんな関係ではない、ねえ?」


学生時代からの仲で、どれだけアランが生真面目に女性と距離を取っていたのかを知っているクリスは思った。

身内以外のエスコートなど見たことないし

マロンが服を着替えては「似合うよ」と微笑む姿など、どう見ても貴族の仮面を被ったお世辞には見えなかった。


極めつけは手を繋いで腕を組んで行った事

それを許している時点で十分()()()()()に見えるのだけど、アラン貴方は気付いているのかしらね。


「うふふ」


やだもう!面白いわ、アランの赤面する顔なんて初めて!

早速メイベル侯爵夫人にお手紙出してワタシもまぜて貰わなきゃ!


この先もアランの珍しい姿を見られそうで楽しくなってきたクリス、その後ろに静かに男性店員が控えた。


「若様、行きましょうか?」

「ダメよ~、デートをつけ回すなんて野暮は、馬に蹴られて死んでしまう前にワタシがシメちゃうわよ?」

「は、申し訳ございません」

「良いのよ、ありがとう」


ワーナード伯爵家の情報網は交友関係の広さの他にも幾つかあるが、信念に基づいて友達の売り買いは絶対にしないと決めている。

ただ、面白そうな事には首を突っ込むし、引っ掻き回すことも偶によくやるだけだ。


「うふふ・・・」


妖しく笑うクリス

時を同じくして、ぞわりとアランの背筋に悪寒が走ったとか走らないとか・・・






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