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デート 4

程なくメイベル侯爵家の馬車はワーナード商会の前に止まった。

貴族の馬車が横付けされたとなれば、すかさず店員数名が出迎えにと立ち並ぶ。

キースは踏み台を置いて待った


「・・・」

「・・・」

「・・・あれ?」


キースは気を利かせて扉は開けなかった

暫定的ではあるが恋人マロンとアランの時間を邪魔するのは気が引けた。

出立の時点で膝の上にマロンを乗せたアランを見ては空気を読むのも当然である。


店員は無言で待つ、キースも無言。

ふと車室内から微かに会話が聞こえた


「ほら、着いたみたいだから」

「ん、もう1回して」


もう1回? 何がもう1回?


「仕方ないな、ほら」

「えへへ、ありがとう、アラン大好き、あったかいね」



「「「「「!!!!!!」」」」」



な に し て る ん だ 坊ちゃん!

はっ!?


キースは動揺を噛み殺しチラリと商会側を見る

4人程女性店員が並び、1番歳かさの店員に反応は見られない。

ホッとしたのも束の間、視線を横に滑らせて他の店員の様子も窺った。


「ね、これメイベル侯爵家の馬車よね」

「ウィリアム様かしら、婚約者様居たわよね」

「え? アランって呼ばれたの聞こえたわよ、それに声が幼かったから違うんじゃない?」

「ナニしてると思う?」

「ヤダー、やめてよ」


「・・・」


ヒソヒソと唇を動かさずに話すのは流石だがキースには聞こえてしまった、若い店員に至っては頬を少し赤く染めていた。


うん、聞かれてしまったみたいだね、どうすんのコレ。


一部の人間には常識であるが

ワーナード商会の強みは手広い商品の取り扱いでも、多くの貴族との縁でもない、その真髄は情報力の高さと知られているのだ。

噂も流行も思いのままと考えれば、それがどれだけ恐ろしい事か理解できるだろう。


まあワーナード商会の若君とアラン様は学校の同期で顔見知りな筈だ、流石に友人の情報は売り買いしないだろう。

・・・しないよな?


キースは主の今後を心配したが、面倒くさくなって考えるのを止めた。

可愛い女の子とイチャイチャしてるのを心配なんて馬鹿らしい、妬み半分、僻み半分で嫉妬全開のキースであった。


間もなく馬車の扉は開かれてアランが先に降りる

店員は頭を下げ、


「おいでマロン」

「ありがとうアラン」


マロン?


誰だ、と疑問を持つ店員が3人

まさか、と視線だけを上げる店員が1人

その店員は先日商会を訪れたマロンに接客をしたサリーである。


アランがエスコートする手の先、馬車から降りてきたのはそのマロンである。

貴族が着るような仕立ての良い白のワンピース

サラサラと美しい栗色の髪の毛が朝日に照らされて輝いていた。

その髪はサリーが裁量をもってマロンに贈ったリボンで品良くまとめられている。





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