デート 2
恵まれた快晴の天気、青空の下でアランと御者キース、クロードは馬車の前で立ち話をしながらマロンを待っていた。
女性の支度に時間が掛かるのはいつもの事である
「何処の世界も女は変わんないな」
「女は女、男は男ってか」
「クロード、キース、そんな事を言っていると女性陣から言われるぞ」
「そう言いながらアランだって否定しねーじゃねえか」
「ノーコメントだ」
苦笑しつつ2人を窘めるアラン
古今東西、世界も国も関係ない、女性はそういうものだと理解していた。
愚痴を言う程ではないが、夜会や茶会でもないのだからそこまで外見を気にしなくても、とは思わなくもない。
そんな男3人の所に声がかかった
「アラン、お待たせー」
マロンの声を聞いて男3人は屋敷の方へと顔を向けた
そこには着飾ったマロンが居た。
襟が広めのワンピースで鎖骨がチラチラと見える
スカートの丈は足首より上、ふくらはぎの途中くらいの長さで、タイツに包まれているものの透けているので細い足首は見えていた。
貴族の感覚としては露出が多い
基本足首を晒す事さえはしたないとされる文化なので、これはどうなのだとアランは思った。
着飾ったのは夫人とタチアナ付きの侍女なので抜かりはない、15歳のタチアナのように成人を迎える直前の貴族ならばはしたないとされる格好だがマロンは12歳。
年齢的にはギリギリであるのだが許容される格好である。
薄手のタイツも履いていて、素足を晒している訳でもない
ただ、マロンの神製肉体の宿命か、どこをとってもやたらと魅力的で目を引くので外に出て大丈夫かと心配するアランの気持ちもまた正しい。
その証拠にキースは見蕩れているし、クロードだって・・・
「おー!マロン可愛いじゃん」
「!?」
ポンポンと頭を撫でていた・・・
クロードにとってマロンは目の離せない妹か娘みたいな感覚である
精神年齢が幼いマロン、逆に転生記憶持ちのクロードは前世併せて40近い歳を重ねている
またゲームや映画と言った娯楽に触れているので
手が届かない美に羨望や欲情の目はなかった。
テレビで活躍する妹、芸能人を見ている意識である。
「クロード、女性の頭を撫でるのは関心しない」
ムッとしたアランはやんわりとクロードに注意しつつ、マロンにも続けた。
「マロンもそんな格好では目立ってしまうぞ」
「ダメ? 似合わない? みんなは褒めてくれたのに・・・」
「う、」
アランの意外と鋭い口調にマロンはシュンとした
「お兄様、オシャレをした女の子に言う最初のひと言がそれ? 確かにクロードみたいに気安く触るのもどうかと思うけど、第一声で褒めたクロードの方が余程女心を分かっているわよ」
「あ、いや、」
追い付いてきて言ったタチアナの言葉も最もだった
自分でもトゲのある言い方になったのが信じられなかった
アランは何にムッとしたのか分からなくて困惑したが
直ぐに改めた。
「マロンすまない、とても似合っているよお姫様みたいだ」
「ホント?」
「ああ」
マロンは笑顔に戻り、クルリとその場で回ってスカートを持ちちょこんとカーテシーをした。
その際フワリとスカートが広がり、膝が見えた事でアラン、ついでにキースもドキリとしていた事をマロンは知らない。
更にその一部始終は窓から侯爵夫人がニヨニヨと見ていた事は誰も気付いていなかった。
「ふふ、王子にかまけていて漸く春が来たのかしら?」