婚約者が決まりまして
それはボクがエリーに飼われるようになって2年程経った日だった。
朝からドタバタとエリーはたくさんの侍女に囲まれておめかしされていた
「お可愛いですわ!お嬢様」
「まるで天使のよう・・・」
「あ、ありがとぅ」
周囲の称賛を浴びて頬を桃色に染めるエリザベス
照れた様子さえも拍車をかけて称賛は加速して行った
そんな様子をテーブルに置かれたクッション入りバスケットの中からオコジョは見ていた。
何かあるのかな?
エリーの誕生日でもないし、公爵、公爵夫人の誕生日でもない
不思議そうに見つめるオコジョ
エリザベスはフワリと笑って優しく撫でる
「マロン今日はお留守番しててね、夕方には帰ってくると思うから」
「キウ」(うん)
オコジョは立ち上がって近くに立て掛けてある文字盤を叩いた
い つ て ら つ し や い
「うん、いってきます」
公爵、夫人、侍女を伴って馬車でどこかへ行ってしまった
パステルカラーの淡い水色のドレスに身を包み
サラサラで真っ直ぐな金の髪
青空を映したような青い目
まるでお姫様のようなエリー
その日マスティーゼ公爵令嬢エリザベスと第二王子の婚約が整った。
「レオン王子殿下と婚約だって」
ドレスを脱いでゆったりとしたワンピースに着替え、どこか他人事のように言ったエリー
ボクは文字盤を叩く
とういうひとなの?
「んー、優しい、とは思う」
すき?
「会ったばかりだから分かんない」
でもけつこんするの?
「それは、貴族だから仕方ないよ」
なかよくなれるといいね
「うん、お父様とお母様も最初は政略だったんだって」
政略結婚についてはエリーは受け入れてるみたいだ
ボクはエリーが幸せなら相手は誰でも良いと思う
パパさんとママさんもそうだと思っていたけど、帰って来た時の様子を見るとあまり喜んでいるようにも見えない
もしかして問題のある人なのかな?
王子はエリーと同じ7歳、子供だから仲良くなれる時はあっという間になれる
エリーは優しくて可愛いし、嫌いになる人なんて居ないはずだよね!
もしエリーを悲しませるような男なら容赦なくお尻を蹴っ飛ばして追い出してやる!
・・・足短いから、お尻に噛み付いてやる!