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公爵の疑問 2

朝一番に城へ行くとして、アダムスの身辺は一度洗うか

周辺には警護として数名置いたがこれは監視の意味合いが強い

申し訳ないが引退した家令を一時的に呼び戻して・・・


「あなた、エリザベスの部屋を片付けていた使用人がマロンが居ないって」

「なに!?」


エリザベスの寝室を確認するとオコジョが寝床にしていた空のバスケットだけしかない

そう言えば侵入者の子供がクッションを盗っていったな、アレはマロンの物だったのか・・・


そんな事よりマロンが居ないのはマズい

エリザベスが可愛がっていたオコジョだ

最近は寝て過ごす事が多く、寿命が近いのではと言われていた

いつかは別れの時が来る

仕方の無い事ではあるが、10年飼っただけにしっかり別れをさせてあげたいのが人情だろう。

侵入者との争いに驚いて逃げて行ったか?

いや、あのオコジョは頭が良い、落ち着いたなら自分で帰って来る筈だ。

どちらにせよ真夜中では探すことも出来ない、日が昇ったら手隙の者で探させる事にしようか。




翌朝、城へ行けばエリザベスのひと言目に焦る


「お父様、マロンの様子は・・・」


襲撃を受けて自分も不安だというのに、相当心配しているエリザベスに本当のことなど言えなかった


「大丈夫ぐっすり眠っているよ、念の為にお医者様を呼んで診て貰おう」


嘘だった

しかしエリザベスを安心させる為なら幾らでも嘘吐きになろう

なに、エリザベスが屋敷に戻るまでに見付けておけば良いのだ。

帰り際、レオン王子と会ったが王族襲撃にエリザベスが巻き込まれた事に当たってしまった、少し悪い事をしたか、いや!エリザベスの伴侶となるならば事が起こる前に潰して貰うくらいでないと困るのだ!





屋敷に戻ると前家令のダドリーが待っていた

既に引退した身、息子のアダムスに後を譲って悠々自適な生活をしていたであろうに少し申し訳なく感じるが、端的に要件を伝える。


昨夜の侵入者とのやり取りの一部始終

アダムスが裏切った可能性があること

上着から数枚の白金貨が出てきた事


ダドリーは驚いていた

その様子を見るにアダムスの嫌疑とは無関係に思える

動揺が治まるとダドリーは底冷えのする声で言った


「旦那様、アダムスに会っても?」


その瞳は長年仕えた家令ダドリーのものだ

私情を挟まない彼は信頼出来る。


「あ、ああ、だが大怪我しているから穏便にな」

「なあに、ただ顔を見るだけで御座います、子供が怪我をしたのだから見舞いに来た老骨ですよ」


にこりと笑ったダドリーの目は全く笑っていない

頼もしい限りだが黒と判断した時にはどうなってしまうのだろうか

人選を間違ったかも知れん

家令という立場上、己を特に律していたダドリーは身内にこそ容赦が無い。

アダムスを後継として鍛えていた時などは、いや止めておこう・・・







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