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公爵の疑問 1

昨夜から何が起こっているのだ


エリザベスの部屋に侵入者が入り込み

襲われた家令は大怪我

警備は選りすぐった精鋭であるのに侵入者には全く歯が立たない

まんまと逃げられ、手元には毒の瓶


侵入者の言葉の中に「エリーが襲われた」とあって

念の為確認の早馬を出そうとしていた矢先に血塗れのアラン君が飛び込んで来た。


エリザベスの乗った馬車が襲撃された

ついでに王子も居たらしいがそこは重要ではない

久しく握っていない剣を取り出すと妻とアラン君に止められた、私だって賊の一人や二人・・・

学生時代、騎士の友人に「お前は剣を握るな、恐ろし過ぎる」と言わしめた腕前があるのだ。




王子の指示でエリザベスは王妃様の庇護下に置かれたらしい、まあ及第点をやろうじゃないか

アラン君はひと言ふた言話すと、他にやる事があると言って格好を気にすることも無く帰った。


剣の腕も立ち、腹も据わっている、頭も良い、立ち居振る舞いも申し分無い

今度ウチに来ないか誘ってみようか

いや、不本意ながら王子がウチに来る時にそのまま一緒に来てもらうか

余っている爵位もいくつかある、侯爵家と今度話し合いの席を・・・


「あなた」

「ん、ん? どうした」


妻が声を掛けてきたので思案を打ち切る

見れば、妻は真っ青な顔色になっていた。


「どうした?」

「・・・・・・アダムスが」

「アダムスがどうした」

「旦那様、アダムス様の治療が終わりました、麻酔が効いているので今は眠っておりますが」

「ああ、怪我は?」

「左鎖骨と上腕、右脚、それと肋骨が数本骨折、背中に打撲と擦り傷でした」

「随分やられたな、公爵家の者に手を出した報いは・・・」

「それなんですが、その、」


従者はとても言いにくそうに躊躇った


「なんだ?」

「アダムス様の上着から数枚の白金貨が・・・」


なんだと・・・

アダムスは代々公爵家の家令を務める私の片腕だ

その職位に恥じることの無い給金を支払っているが

それでも白金貨数枚を手持ちにするには不自然だ。


信じられない、まさかという疑念が自分の中に湧き出た



「アダムスがウチを裏切ったんだ 、さっきエリーを襲った奴らの一味と組んでるかも、」



侵入者の子供は言っていた



「アダムスの懐に白金貨が数枚ある、受け取ってた」



アダムスが白金貨を受け取っていたと



「公爵、信じるも信じないも公爵次第、でもエリーを護るなら使用人を全員調べ直した方がいいと思う、そもそも男の入室が禁止されている部屋にアダムスが踏み込んだ事自体がおかしいんだ、調べて」



子供が言っていた言葉は、エリザベスを案じていた



指摘の通り、エリザベスの部屋に関しては誰であろうが自分と婚約者のレオン王子しか出入りを認めていない。

アラン君も立ち位置を扉の横と指定して限定的に認めていただけ。

家令のアダムスにさえも許可していなかったのに

何故アダムスは一人でエリザベスの部屋に居た?

通りがかりで物音がしたから? 侵入者が居たから?

それならば警備を連れて踏み込むのが上策だ

何故、一人で侵入者が居るかも知れない部屋に踏み込んだ?


考え始めると疑惑はいくらでも湧いてくる



男の出入りの制限を、あの子供は何故知っていた?

ずっと見張っていたのか?

何故エリザベスを心配していたのか、敵ではない?

味方だとすれば誰が背後に居るのか

王家か? いや、王家が遣わした者ならあの場で名乗れば良いし、公爵家側に何の通達も無いのはおかしい。



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