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オコジョ、話しまして

ボクは頑張って意思疎通を図った

練習したけどオコジョの声帯では言葉を発することが出来なかった

せいぜい「キイ」「キウ」と「ジジジジ・・・」という唸り声程度、これでは無理だ。

文字を書こうとしてもペンは持てない

インク瓶をひっくり返しそうになったから止めた、紙は高級品なんだ。


となれば、書いてある文字を使った変則的な筆談だ


えりい


何度も何度も本に触った、全部「イタズラしちゃダメだよ」と本を取りあげられてしまい中々上手くいかない

今日も今日とて休憩を見計らって本に近寄ってペシペシと指し示した。


「エリザベスお嬢様、同じ文字を示しているようですが」

「え?」


ナイスだよ先生!


オコジョは目を輝かせた、期待が胸を掠める

いくら賢いオコジョで人の言葉を理解している事を認めても、まさか会話出来るなど思いもしないだろう。


え り い



「マロン、まさか私の名前を?」

「キウキウ!」


やっと気付いてくれた!

ボクはエリーと目をしっかり合わせて首肯する


「すごいすごい!ねえマロンは?まーろーん!」


キラキラと目を輝かせて喜ぶエリザベス

一般的にはこんなオコジョは認められないだろう

事実、エリザベスの隣で先生は絶句していた

エリザベスが5歳で常識が固まっていないこと

彼女がマロンを可愛がっていたこと

ふたつの理由から素直に受け入れたのだった。


なんなら言葉を理解しているどころか互いに意思疎通を図れる、おしゃべりできると喜んだ。


ま ろ ん


オコジョが本の中の文字を抜き出して指し示したことで

エリザベスは更に大興奮、キャーキャーと喜びオコジョを振り回した。


その後、先生からの忠告によりオコジョの天才具合は秘される事となった。

これでは実験動物一直線、マロンのことを想うのなら他人に話してはなりませんよと、エリザベスそしてその場に居た侍女に言い含め

オコジョと会話が出来ることは公爵、公爵夫人、エリザベス、侍女、先生だけの秘密となった。


公爵夫妻は娘が可愛がるペットなので余計な波風は立てない

侍女はエリザベス専属で、オコジョが来てからエリザベスの笑顔が増えたので洩らすつもりは毛頭ない

先生は教師として公爵邸に出入りしている、雇い先で得た情報を他に洩らすような人間はそもそも公爵によって振るいにかけられていた為安心である。





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