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アランの長い一日 3

「落ち着いたか?」

「ゔん・・・」

「取り敢えずウチに来るといい」

「ゔん、ありがど」


暫く泣いていたマロンがアランから体を離すのと同時にそれは起きた。


「坊っちゃん大丈夫ですか」


あまりに戻りが遅いアランを心配して御者のキースが探しに来たのだ。


パサリ・・・


丁度タイミング良く、いやこの場合は最悪と言っていい事に

マロンの体に巻かれたカーテンが地面に落ちた

無論、その下は・・・


「・・・」

「・・・」


沈黙がその場を支配する

全裸の()()と抱き合う(アラン)

しかも涙の跡も新しい様子


チェックメイトである。


「違うんだ」

「坊っちゃん俺は大丈夫です、分かってますから」

「そうか、分かって、」


一見誤解されそうな場面だったが、侯爵家の使用人だ

助かったとアランはホッと、


「外に女を囲っているからこれまで見合いとか断ってたんですね」

「違う!そうじゃない」


ホッと出来なった・・・


「大丈夫ですって!小さな女の子が好きなんですよね、でも外で致そうとするのはどうかと思いますよ」

「待て待てキース、落ち着け」

「大丈夫です、大丈夫ですから」


分かってますからと言うキースに

違うからと焦るアラン

更に燃料は投下される


「アラン連れてってくれるんでしょ、早く行こ?」


「っ!」

「っ!?」


ハッした表情で固まるアランとキース


「坊っちゃん、旦那様と奥様に紹介するなら今日はやめた方が・・・、いやあ殿下方が襲われて彼女のことが不安になったのは分かりますけどね、せめてドレスを贈って・・・」

「違うんだキース、話を聞いてくれ」


アランはどうにか誤解を解こうと言い募りながら

マロンには自分の上着を脱いで被せてあげた

汚れてはいるが女の子が肌を晒すなど以ての外だ。


そもそもである、アランはいつの間にかマロンの事を男だと思っていた

それはやはり数刻前に馬車を襲った賊を、マロンが打倒していたせいだった。

女性騎士も居るには居るが、やはり殺し合いの場では男が体を張るべきなのだ

女性が殺し合いの現場に居るなど有り得ない

しかも賊を素手で幾人も倒してしまうのだから、強い子供=男の子だと思い込んでいたのだ。


改めてマロンを見下ろすアラン


「?」


ブカブカの上着を着せられたマロン

細くサラサラの髪の毛に、長い睫毛

キメ細かい美しい肌と桃色に色づきふっくらとした唇

上着の隙間から見える華奢な鎖骨と筋肉のないホッソリとした手足


どう見ても女の子である・・・


「・・・」


あの戦場でも努めて冷静であろうとしていたアラン

それでもやはり空気に呑まれていたようだ

はあぁ・・・、と深いため息を吐く



疲れた・・・



アランが誤解を解くのに半刻程有したのだった。



誤字報告有難うございます、とても助かっています。

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