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平穏でして

結果から言うとオコジョは受け入れられた

オコジョが心配する事態は欠片も起きなかった


「マロンは賢いんだね」


(エリザベス)の一声である



仕事や社交に忙しい公爵夫妻は

寂しい思いをさせている娘に滅法甘い

オコジョを拾って来てからは笑顔が増え、寂しがる様子も少なくなった

そう使用人から報告が挙がっている要因のオコジョを排除などすれば娘に嫌われてしまう


確かに賢すぎて不気味ではあるが娘が可愛がっているし、オコジョ自身も大人しく言うことを聞く

躾のならない獣より遥かにマシだと結論付けられた。



と、言う訳で・・・



「ですからエリザベスお嬢様、———となるのです、よろしいですか?」

「分かりましたわ、イリア先生」


只今、エリーはお勉強の時間

先生はイリア夫人

このイリア先生は侯爵家出身の貴婦人で、公爵令嬢のエリー専属の家庭教師。

ボクは近くにクッションを詰め込んだバスケットの中で静かに講義を聞いていた


「では、休憩にしましょう」

「はい」


リリーン


エリーが鈴を鳴らすと静かに侍女が入って来て、勉強していたテーブルとは別の、ソファーの置いてあるテーブルに紅茶とお菓子の準備を始めた。

ボクは寝床から出て、エリーの肩に飛び乗る


「ん、マロン」


首にスルリと身を寄せるとエリーは優しくボクを撫でた


「本当に賢いオコジョですわねエリザベスお嬢様、まるで言葉を理解しているかのような」

「えへへ、はい! マロンは本当に頭が良いんです」


教師を務めるだけあって厳しい夫人ではあるが、基本的に公私の使い分けが出来ていればとやかく言わない。

勉学の時間ならそれに集中するし、休憩と言えば砕けた言動もする

普通のペットなら問答無用で締め出すがマロンは大人しく講義の邪魔をしない為、特別に同席を許可していた。



ふとマロンがエリザベスの首から離れ、テーブルの上に降り立った


「マロン?」


粗相をしないオコジョが突如テーブルの上に乗ったことを訝しむ

羽根ペンにインク、ノートが広がる卓上

トコトコと広げられた教本に近付くとオコジョは本に触れた


「キウ」トントン

「マロン、ダメだよ」


(長い)胴に手を差し込んで持ち上げてもバタバタと暴れてクネらせ、ヌルりと逃げる

オコジョは再び本に触れた


「キウ」トントン

「マロン?」


こんなに聞き分けのない様子のマロンは初めてでエリザベスは困ってしまった

平素、言うことを聞くオコジョが聞かない

いやオコジョはそもそもそこまで言うことを聞く動物ではないが、マロンは別だ。


「あら、エリザベスお嬢様なにか同じ所を触れているような・・・」

「え?」


先生の指摘でエリザベスはよく見た

するとマロンは本の同じ文字を何回も何回も触れていた

その文字は3つ



え り い




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