表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/170

圧倒

エリザベスの部屋でマロンと公爵家警備の睨み合いが続いていた

小柄な子供のマロンとは言っても片腕で大人のアダムスを押さえ付けているので警備も気が抜けない


家令アダムスはズタボロだ

左肩がダラリと垂れ下がっている、恐らく折れていた

先程マロンが飛び掛った時にアダムスは反射的に肩を竦ませて避けようとした

その為、顔面を捉えようとした拳は肩に当たり、上腕と鎖骨を叩き折られた。


もし、顔を捉えてアダムスを倒していれば

毒瓶と白金貨を近くに置いてマロンは離脱していただろう

そうすればアダムスに疑念が向いていたのだ


しかし、怪我をした家令、侵入者で恐ろしい力を有した子供

どう見てもマロンが犯罪者で、家令は被害者のようにしか見えなかった。

マロンの口先でどうにか出来る段階はとっくに過ぎた


「見ろ・・・、毒を持っている、」


アダムスは頭も口も回った

マロンが毒を奪取して持っていたことも状況を悪くする


警備が動かないのは人質(家令)を盾にされているから

それぞれ腰には剣を刷いているが未だ抜いてはいない

刺激してはいけないと先に動くのは躊躇われた為だった。


切っ掛けはそう間を置くことも無く訪れた


「どうした騒ぎだ?」


落ち着いた声が殺気立つ部屋に響く


「旦那様、いけません!」


公爵だった


警備が止めようとするも部屋に入って来た公爵

流石に睨み合っている警備より前には出なかったが、マロンと公爵の視線が合った。


「キミは、どういうつもりだね? 此処が公爵家・・・の一室と理解した上での行動か?」

「っ!!」


マロンはビクリと肩を震わせる

公爵家の名に怖気付いた訳では無い

ただ、期待していただけだ。

公爵(パパさん)が自分のことを分かってくれるかも、と。


しかし公爵の視線は冷徹な為政者のそれであった

マロンはその視線に憶えがある、レオンが初めて屋敷に来た時も舌打ちしながらこんな目をしていた・・・



公爵にとってボクは、異物なんだ・・・



マロンからすれば、「此処は公爵家の・・・」と言い淀んだ所でさえ「愛娘エリザベスの」と察する程に知っている仲なのに、それを相手に伝える、納得させる術に乏しい。


動揺するマロンの隙を警備は見逃さず踏み込んだ

相手の様子をしっかり見た上で不意をついたその動きは、並の人間なら成功していただろう。


しかし神の言う「人並み」は全くどうして「人並み」でなく、マロンは恵まれた身体能力と反射神経で対応した

不意をついた()()()の警備は逆に不意をつかれた形になる。


マロンは片手でアダムスを振り回すと、正面の警備二人へと投げた


「旦那様!」

「うわっ」


警備は後ろに公爵が居ることで避ける事は出来ない

アダムスを受け止めると、勢いと重さに負けて倒れ込む


マロンの投擲動作の隙を、脇から抜けた一人、アンドレアスがついた

その手には剣が抜かれている

これもマロンは対処する


マロンがこの屋敷で知らないことはほとんど無い

訓練している警備も見学している


()()()()、敵の無力化を狙った太刀筋は予想通り足を狙ってきた下段薙ぎ

余程の事態でない限り、敵も生かして捕らえることが大前提の指導だ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ