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信用と裏切りと

エリザベスの部屋に入って来たアダムスを

マロンは寝室から観察する



キョロキョロと部屋を見渡すアダムスは徐ろに窓際へと歩み寄った

キィ、と音を立てて開けられたそこには黒い影

マロンが先程張り倒してきた襲撃者と似た格好の男が居た。


「首尾は?」

「まだ交戦中だ、だがあの数を捌けはしない」

「そうか、毒は?」

「ほら」


影男(仮)は懐から小瓶を取り出す

真紫の液体、見るからに毒と理解出来る代物である。


「助かる、公爵は用心深くて外からは中々物を持ち込めないからな」

「しくじるなよ」

「しくじれば自分が危ういからな、それより前金をくれ」

「ほらよ」


影男は数枚の硬貨をアダムスに渡す

色は輝く白、白金貨である



アダムスがウチを裏切ったんだ!


マロンは怒りで体に熱が籠るのを自覚した、が


「おい、誰か居るぞ・・・」


ギクリとマロンは重心を後ろに移し、息を殺して扉から離れようとする


「ああペットだよ、お嬢様ご執心のオコジョだ」

「令嬢と同じ部屋に飼っているのか」

「昔からな、最近は歳のせいか寝てばかりでずっと寝室(そこ)に居るのさ」

「ならいい、じゃあな」

「成功報酬忘れるなよ」

「成功したら払うさ、極秘での隣国への亡命も手配してやる」

「分かった、またな」


影男が居なくなるとアダムスは毒瓶をエリザベスの机に入れた


「ふ、お嬢様も公爵家も終わりだ」


月明かりに照らされた横顔は醜悪に歪んでいる


「お前、裏切ったな」

「っ!?」


ボクは許せなかった

エリーを、公爵家を裏切ったアダムスを


アダムスは数年前に一線を退いたお父さんのダドリーさんから引き継いで公爵家の家令になった

代々公爵家に仕える家の出身で、家令、執事、領地の代官を任せられた事もある公爵(パパさん)からとても信頼されていた人であり、家であったのに・・・



「だ、誰だ」


アダムスは現場を見られて狼狽えた

ボクは静かに出て行くつもりだったのに、コイツだけは放置していけない

寝室の扉を開けて、アダムスの前に出る



「子供? 何故、こんな所に」

(それ)、どういうつもり」

「・・・」


アダムスは答えない、敵か味方か測りかねている

いや、公爵家令嬢の部屋に知らない人間が居ることは有り得ない、侵入者と考える方が自然だろう。

毒に対して警戒している事から公爵が裏で雇っている影か?

だとすればこの状況はマズい、アダムスはありとあらゆる可能性を頭の中で計算し始めた。





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