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オコジョを見た侍女

侍女は見た。


オコジョを見た。




少し前にエリザベスお嬢様がボロボロの小汚い状態で拾って来て飼われる事になったオコジョ。


病気対策を施し、洗浄し、飼育する環境を調べ整えた


綺麗になったオコジョは意外にも毛並みが良かった

暫定でお嬢様の香油と石鹸を使われた為、何処のお貴族様かと言わんばかりの艶と香りを纏っている。


痩せ気味だった胴(長い)は、今ではぷっくりとして健康的になっていた。


(なんて贅沢なオコジョなのかしら・・・)


少し・・・、いやかなり妬ましく思って、つい言ってしまった


「アナタ、お嬢様に感謝しなさいよね、粗相をしてお嬢様に恥をかかせたら許さないわよ」


なーんて、オコジョに何言ってるのかしら私・・・

動物に嫉妬なんて馬鹿みたい

そう思った瞬間、


「キウ!」

「え!?」


オコジョはスクと立ち上がってペコリと頭を下げた

・・・下げた!?


「・・・ねえ、アナタ意味わかってる?」

「キウ」


コクリと頭を縦に振るオコジョ


「・・・声に反応してるだけよね、私疲れてる、わ」

「キウ」


オコジョは頭を横に振る


「・・・」

「・・・」


いえ、うそうそ、そんなはずないわ!


侍女は動揺した、それはそうだオコジョと意思疎通が出来るなど有り得ない。

犬や鳥なら兎も角、オコジョだ


「ねえ、右手挙げてくれる?」

「キウ」


ヒョイと右手を挙げるオコジョ


「・・・左手」

「キウ」


左手を挙げるオコジョ


「・・・」

「・・・」


「お、おじょ、じゃない!旦那様ぁーー!!!」


明らかに異常なオコジョ

侍女は大きな声を上げてパタパタと駆けて行った


この数日だけでもそうだ

エリザベスが話し掛けていると相槌を打つ

芸はすぐ覚える

ドアノブに飛び付いて自分で開ける

人用のトイレを使う

手(足)洗いは欠かさない

公爵夫妻は忙しく、寂しがるエリザベスの食事に同席させる時は

エリザベスが食事に手を付けてから「キウ」とひと鳴き

礼をして手をつける。





オコジョ、やりすぎだ。



中身の魂、意識は人であるが

それを知るのはオコジョ本人と神様のみ

他人から見ると賢すぎるオコジョ

いくらなんでも不気味すぎたのだ。



オコジョにも無論思惑はあった

普通のオコジョとして過ごすか、神オコジョとして過ごすか

ぶっちゃけると全く意思疎通出来ないという状況はとんでもないストレスだった

可能ならばエリザベスと話をしたい

野良の時は生きる事に精一杯だったが、衣食住足りると今度は話し相手が欲しくなってしまった。



これは賭けである


気持ち悪いと捨てられる

実験動物としてモルモットになる

そんな可能性もあるが、絆が深くなる前にと

そう動いたオコジョはとても現実的だ。


仲良くなり過ぎてから正体を明かして捨てられるより

飼い始めの今の内に受け入れてくれるか、捨てられた方が自分も傷つかずに済む

そんな人間的な打算から動いたオコジョだった



願わくば、受け入れて欲しい

そんな望みを強く抱いて・・・





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