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去る子供

倒しても倒しても湧いてくる賊は栗色の髪を持つ子供の活躍によって撃退された。

たかが子供一人で戦局が変わるものかと笑われるかも知れない、しかし闘っている者の背後に突然現れるとんでもない力を持った存在。


下段蹴りを食らえば膝を折って立っていられず

懐に入ったかと思えば肝臓打ちで悶絶させる

そんな子供が居ると周囲の状況に気付いたならば警戒も出来たが、まさか命のやり取りをしている相手から目を外すなんて出来ないだろう。

子供の常人でない身体能力も相まって、ほぼ100パーセント不意打ちが通っていた。





馬車は無事、アランはホッと息を吐く

騎士達は賊の捕縛と怪我の治療を始めた

王族襲撃は処刑が常だが、力が余っている者は鉱山奴隷として使われる程度には価値があるとされている

どちらにせよ録な未来ではないが、それを決めるのは騎士ではなく法である。


アランが子供を探し始める

身元を確認したいのと助力してくれた理由を聞きたい事もあるし礼もしたい

それに『彼』の話を考えると他人とも思えなかった


栗色の髪にライトブラウンの瞳、アランはその色を知っている・・・


騎士や賊、血溜まりのと道を横切って路地へと歩いて行く子供が見えた


「待っ、」

「やるじゃねえか優男!」


子供に声を掛けようとした瞬間

騎士の1人がバシバシとアランの背中を叩く


「レオン様の横で澄ましているいけ好かない野郎だと思ってたけど強えじゃねえか」


ガッハッハッと笑う男にアランは苦笑する、いけ好かないって・・・

裏表の無い言動は貴族の婉曲な言葉と違って、それそのものは好ましい、しかしそんな風には思われていたのか。


騎士に気を取られている内に子供が見当たらなくなっていた

周囲を見渡す、居た、建物の屋根の上だ

アレだけの身体能力だ、ひとっ飛びなのだろう。


子供は馬車をジッと見つめていたが

小さく呟いたように口が動くと、踵を返して屋根をピョンピョンと飛び跳ねて去ってしまった。



夜闇と距離もあって、全ては読みきれなかったが

読唇術の心得があるアランはなんとか一言だけ読み取れた



さよなら



アランは半ば確信した、きっとあの子供は・・・





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